今日はゴルフクラブを「試す」ことについて考えてみたいと思います。昭和の時代にゴルフを始めた人にとっては、今のゴルフ市場は非常に恵まれていると感じるのではないでしょうか? なぜなら、新しいゴルフクラブをショップに行って存分に「試す」ことができるからです。ローンチモニターでインドアでも飛距離や方向性、初速やスピン量もわかってしまう。30年前には想像もしなかった試打天国です。
その抜群の環境を活かして、しっかり「試して」買ったのに、いつまで経ってもコレだ!という一本に巡り会えていない。実際はそんな人も多いでしょう。うまくいったのは最初の数ラウンドだけ。あるいはお店では良かったのにラウンドでは全然ダメだった。そんな失敗経験もあるかもしれません。どうしてそんな残念なことが起こるのでしょうか。
問題点の一つは「試しているようで試していない」ことが挙げられます。簡単にいえば“いつものスペック”から逸脱したものを打ってみることをしていない。そういう人がほとんどなのです。
例えば、いつもロフト10.5度でシャフトは50g台のSフレックス、長さは45・5インチのドライバーを使っているから、今回もそれと近いスペックで。某社の新製品も、話題のニュードライバーもとりあえずスペックは似たようなものを選んで比較する。その結果、得られる違いは……、正直言って“微差”なのです。そしてわずか数球の試打では結局、たまたまうまく当たったモノが「良いモノ」となってしまう。似たようなモノを試し、たまたまの結果に一喜一憂する。その繰り返しになってしまうことが多いのです。
しかしもう一つ、抜群の環境を活かした「試し方」があります。
それがモデル比較ではなく、同モデルでスペックを変えて打ってみること。同じスペックで数社のドライバーを打つのではなく、このドライバーが気になると思ったら、まずそのモデルの「シャフト長さ」を変えて比較してみるのです。いろいろなシャフトの銘柄を試すのではなく、同じ銘柄で「長さ」を変えて試すのです。
残念ながら、抜群の試打環境であってもシャフトの「長さ違い」をストックしているショップは少ないのが現状。数千本の中から一本を選べるようなお店でも、クラブメーカーのフィッティングでも「長さ違いは打てません」ということが多いのです。
結果をはっきりと変える「スペック」は、似たモノ同士の打ち比べでは見えて来ないもの。長さ違いの試打シャフトがなくても、「短く握って打ってみる」。その時に弾道がどう変わるのか? そういう「お試し」をしているうちに、自分に合ったスペック(長さ・重さ・ロフト)のドライバーが見つかってくるのだと思います。
長さが変われば、シャフトの重さもロフトも変わってきます。自然といつもと違うスペックになるのです。
マーク金井流に言えば、オルタナティブ(別)と思うくらい離れたモノの中に、ゴルフコースでの結果を変える一本が隠れているかもしれません。とにかく、握る長さを変えながらいろいろと試してみてください。
(書き手/高梨祥明)
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