マーク金井blog

2013年04月17日改めて思う‥‥ゴルフ雑誌を読んでも上手くならない理由とは!?

毎週火曜日は週刊ゴルフダイジェスト週刊パーゴルフが発売されます。第2と第4木曜日にはアルバ、そして月刊では月刊ゴルフダイジェストチョイスゴルフクラシックゴルフトゥディワッグル、そして隔月刊でビジョン72ゴルフスタイル‥‥米国よりも日本の方が、ゴルフ雑誌の発刊数は圧倒的に多いです。

そして米国ゴルフダイジェストゴルフマガジンに比べると‥‥国内のゴルフ雑誌はレッスン記事の比率が非常に多い。表紙には「100を切る○○」「速攻、これでスライスは直る」「バンカーショットはこれでベタピン」等々の見出しが所狭しと並んでいます。

米国ゴルフダイジェスト誌。なんか表紙がエロいですね

米国ゴルフダイジェスト誌。なんか表紙がエロいですね

さて、このゴルフ雑誌におけるレッスン記事の数々。プロや上級者の中には、「ゴルフ雑誌を読んで上手くなったら苦労しないよ」とか、「ゴルフは読んでも上手くならない」なんてことを言う人がいます。実際、ボクの回りでもゴルフ雑誌を一生懸命読んでいる人の何人かは、残念なスイングをしている人が少なからずいます。また、そういう人の多くは、「スタック&チルト」と「4スタンス理論」はどちらが自分に合っているののか? とか、「あのプロの理論は古い」とか「あの理論は俺には合わない」なんてことを口にしがちです。

そこで今回のテーマは、ゴルフ雑誌のレッスン記事の限界性について。

ゴルフ雑誌のレッスン記事は「正しいのか? 間違っているのか?」と、いろんな人から質問を受けます。この問いに関してマーク金井は、

「レッスン記事はすべて正しいでしょう」

と即答します。何もゴルフ雑誌からの執筆依頼を減らしたくないからヨイショしているわけではありません(笑)。レッスン記事に登場するプロが、わざと間違ったことを言うメリットは何もないじゃないですか。どんなテーマであっても、取材に応じるプロ達は真摯にテーマに取り組み、解決法をアドバイスしています。スライスの直し方しかり。バンカーショットの脱出法しかり。飛距離アップしかり‥‥誤解を恐れずに言えば、間違ったことをレッスンすることよりも、正しいことをちゃんとレッスンした方が簡単だからです。

では、なぜ多くのアマチュアはレッスン記事を読んでもいっこうに上手くならないのか?

それは雑誌記事という表現方法には限界があるからです。例えば、FWを上手く打つにはダウンスイングからインパクトゾーンにかけて、動きのキモは左右の手の使い方にあります。それを言葉にすることこんな感じです。
ダウンからインパクトにかけて、左手は体に近づいて、右手が飛球線方向へ出て行きます。この右手が飛球線方向(前に行く)感覚がないと、FWは上手く打てません。

 

FWが上手く打てる人にとっては、このフレーズはすんなり納得できますし、勘違いや誤解もありません。ところが、ところが‥‥FWを苦手にしているゴルファーにとっては、この言葉の意味を理解しても、日本語をちゃんと理解しても、動きとして明確に頭にイメージすることが極めて難しいのです。

それは何故か?

例えば、動物の絵を描くことをイメージして下さい、ゾウを一度でも見たことがあるならば、「耳が巨大で、鼻がものすごく長い」と説明されたら、それだけでちゃんとゾウが描けますよね。上手下手の違いはあっても、実際のゾウと似た絵になるはずです。ところがゾウを一度も見たことがない人ならばどうでしょうか。いきなり「耳が巨大で、鼻がものすごく長い」という説明だけでは、ゾウは描けません。と言うよりは想像すらつかないでしょう。頭の中にゾウのイメージが描けない人にとっては、この説明から具体的な全体像が見えてこないからです。もし、この説明だけで実際のゾウを描ける人がいたならば、その人は正真正銘の天才でしょう。

ゴルフのレッスンもこれと同じなんです。前述した左右の手の使い方についても、すでに動きを理解してできる人にとっては「的を射たレッスン」ですが、動きを理解していない(実際にそう動けない)人にとっては、雲をつかむような言葉なんです。そして、大抵の人は言葉の意味を誤解し、本来の動きとはかけ離れた動きをしがち。アナライズには、年間1000人以上のアマチュアが来られますが、スイングがちゃんとできていない人ほど、ゴルフ雑誌のアドバイスを曲解、誤解した状態に陥っているのです。

では、どうすればゴルフ雑誌の記事を役立てることができるのか?
まずは雑誌の記事、雑誌の表現には限界性があることを理解することです。そして、アドバイスを勘違いしないためには、実際にレッスンを受けることです。直接プロからアドバイスを受ければ、曲解、誤解を防げます。実際にレッスンを受けることができないならば、客観的に自分をチェックすること。iPhoneやスマホなどでスイング動画を撮り、アドバイス通りに体が動いているかどうかチェックして下さい。ゴルフ雑誌の記事通りのことをやっているのに、実際の動きが間違っている場合は、そのほとんどはレッスン内容を曲解、誤解しています。

もうひとつの方法は練習器具を積極的に使うことです。アナライズではスイング作りにゴルフの竪琴を推奨しています。竪琴は左右の手を3次元的に離して持つことができます。これにより、前述した左右の手の使い方を勘違いしないで会得できます。もちろん、竪琴を使って練習する場合も動画チェックは必要不可欠です。

ゴルフ雑誌のレッスン記事を読んでも上手くならない‥‥これはゴルファーの理解力に問題があるわけではないと、ボクは思っています。人間は見たこともない、経験したこともないことを‥‥言葉だけでは理解することが出来ない生き物なんです。人間の想像力は無限ですが、ことゴルフスイングの会得においては、その想像力がデメリット方向に働くことが多いような気がします。
んじゃ(▼▼)b

関係過去記事

「ゴルフ雑誌を読んで上手くなれるのか?」

 


2013年04月16日改めて思う‥‥ゴルフルールは何のためにあるのか!?

2013年のマスターズトーナメント。プレーオフの末、アダム・スコットが豪州勢としては初の優勝で幕を閉じました。アンヘル・カブレラとの死闘はマスターズの歴史に残る名勝負でしたが、今年はもうひとつ歴史に残る出来事がありました。

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GDOより転載

タイガー・ウッズの池ポチャ騒動です。マーク金井4月14日のブログで書きましたが、予選ラウンド2日目、タイガーは15番の3打目でスーパーショットを放ちましたが、ボールはピンにダイレクト(もしくはショートバウント)に当たり、当たった反動でボールは手前の池の中に沈みました。タイガーは池ポチャ後、ドロップして打ち直して5オン。ワンパットで沈めてボギーでホールアウトしたのですが、ラウンド後にタイガーは「3打目よりも2クラブ下がって打ち直した」とコメントを残しました。彼のこの一言がルール解釈の物議を醸し出し、結局、タイガーはスコアカードを出した後に2打罰のペナルティが科せられたのです。(ルール専門家のマイク青木さんも詳細をレポートされています)

このドロップのシーンが騒動の始まり‥‥

このドロップのシーンが騒動の始まり‥‥

GDOより転載

タイガーのような偉大なゴルファーがルールを誤解していたのは予想外でしたが、今回はゴルフにおけるルールの役割について考えてみたいと思います。

まずルールというと、皆さんはどんなことを頭に思い浮かべるでしょう?

2度打ちしたら罰を科せられる‥‥
OBを打ったら1ペナ払って打ち直し‥‥
ボールが木の上に止まったらアンプレして1打罰‥‥

なんてことが頭に浮かぶ人も多いでしょう。ゴルフのルールとは、ルールを破ると(守らないと)、ゴルファーは「罰」を受けるもの。学校の校則、会社の社則、法律的な役割として受け止めている人が結構多いです。

その一方で、ルールで定められたOB後の処置やアンプレアブル宣言というのは、罰打はあるものの「救済」だと考ている人も少なからずいます。こういう人はルールは罰を与えるものではなくて、ゴルファーの手助けになるものだと解釈しています。

もちろん、どちらも間違っていません。ルールには「罰」の要素と「救済」の要素があります。では、なぜルールは「罰」「救済」を定めているのでしょうか? そもそもルールとは何のためにあるのか?

ルールのない世界を想像してみて下さい。

ティグランドを無視してボールを打ち始めていいのか?
他人のボールを打ってもいいのか?
クラブを15本以上使ってもいいのか?

ひとつは「無秩序」になるのを防止するために、ルールは存在します。ゴルファーがたった1人でプレーするならばルール無用でも無秩序にはなりません。何でもありです。でも、大抵の人は1人でも何らかのルールを定めるでしょう。好き放題にプレーするよりも、秩序あるプレーの方がやりがいがあるし、プレーを楽しめるからです(もちろん例外もありますが)。

次に「何故ルールを破ると罰せられなけばならないのか?」という問いに答えましょう。これも前述したことと同じで、無秩序な状態になるのを防止するためです。ルールはプレーヤーが「ちゃんと守る」ことで成立します。罰を強いることでプレーヤーを不利な状況に追い込めます。加えて、「罰」を設けることで、「ルールを守る」という空気も作れます。実はこれは大事なことで、無秩序を「抑止」することにもつながるのです。

そして、もうひとつルールには役割があるのです。これはスポーツ全般にも当てはまりますが、特にゴルフでルールのもう一つの大事な役割は‥‥
円滑なプレー進行
ためです。例えば、OBやアンプレ、そしてタイガー騒動のような池ポチャ後の処置。普通、OBゾーンというのはプレーが困難なエリアです(河川敷とかだとそうじゃない場合もありますが)。ブッシュとかにボールが入ってしまうと、ボールを探すのに時間がかかる。ボールが見つかったとしてもそこから脱出するのにさらに時間がかかりますよね。でも「OBを打ったら、元の場所から打ち直す」というルールが定められていれば、プレー進行が遅くなるのを防げるのです。池ポチャの処置でも、「あるがままの状態でプレーせよ」とルールで定められたらどうでしょう。池に入ったボールを下がすのに時間がかかります。運良く見つかったとしても、池の中のボールを打つことは大変なことです。しかし、池に入った時は「元の場所から打つ」「境界線とピンを結んだ後方にドロップ」というルールがあれば、プレー進行を早められるのです。
ゴルフは他のスポーツに比べると、プレータイムが長い競技です。そしてプレーそのものに制限時間がありません(プロやアマチュア競技会ではプレータイムを定められています)。なので、放っておくとそれことプレータイプが長くなることはあっても、短くなることはありません。だから、ルールでは遅延行為について罰則が定められていますし、他のルールも進行が早くなるような配慮がなされているのです。

4月14日のブログでタイガーは「ルールを熟知」していないと書きました。ルールを熟知するには「ルールブック」をしっかり読み込むことが大事ですが、そのルールは「何のために定められているのか」を知っておくことも大事だとボクは思います。河川敷のワンペナ、OBを打った後の特設ティからのプレー。これらはゴルフ本来から外れたルールだと解釈している人が少なくありませんが、「プレー進行」という観点から考えれば、決して間違ったローカルルールではないのです。

ルールは何のためにあるのか?

プレーが遅いゴルファーというのは、たとえマナーが良くても他のプレーヤーに迷惑をかけるだけでなく、ルール違反を犯しているとボクは思います。そして、プレーが遅いゴルファーには「ルール違反」している自覚がありません。残念なことに。白州次郎さんは「play first」を強くアピールしていますが、これはマナーが悪いだけでなくて、ゴルフルールに違反していることを強く警告しているのです。

おっと、メルマガの締切り時間が迫ってきました。プレー時間を短縮する方法については、日を改めてじっくり書きましょう~。

 

PS.最近は乗用カートでプレーするのが当たり前になってきました。大事なiPhoneやスマホが傷つかないように、天然皮革のスマホケースを作りました~。出し入れするだけで液晶画面が綺麗になるスグレモノです~。
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2013年04月15日改めて思う‥‥日本人がマスターズに勝つための条件とは!?

2013年のマスターズトーナメントは、アダム・スコットが豪州勢としては初の優勝で幕を閉じました。雨の中、アンヘル・カブレラとのプレーオフは死闘とも呼べるもので、手に汗をかきながら、息を詰めながらテレビ観戦した人も多かったかと思います。

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GDOより転載

もちろんボクも朝5時ぐらいからテレビ観戦してました。タイガーの追い上げを期待していたのですが、パットがことごとく打ち切れない。本人もラウンド後にコメントしてましたが、オーガスタの超高速グリーンは雨が降ると途端に遅くなります。その遅さに対応できなかったことを本人は悔やんでいました。アダム・スコットも本戦中はパットが打ち切れてませんでしたが、本戦18番のバーディパット、そしてプレーオフで勝利を決めたパットも下りのラインでした。強めに打てなかったアダム・スコットに対して、ゴルフの神様は彼に少し味方したのかも知れません。

日本勢では石川遼が最終日に7つのバーディーを奪って、4アンダーの68を出しました。優勝争いに関係ない場面、ノープレッシャーのラウンドとはいえ、スコアはスコア。数字は数字。遼クンにとって自信初めての60台のスコア。この数字はきっとこれからのゴルフの支えになるでしょう。対して、4位タイに終わったタイガーは2日目に池ポチャ処理を誤っての2打罰があったとはいえ、4日間とも70以上のスコア。「最終日に65を出せば優勝できると」コメントを残していましたが、まさにその通りの結果になりました。

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GDOより転載

今年もマスターズはTV視聴者に色んなシーンを見せてくれましたが、ボクが注目したのは最終18番のティショット。カメラがティマーク付近にあるのでしょう。世界のトッププロ達のスイングを下からあおり気味に、これでもかって見せつけてくれました。そして、その連続写真的なスイングを見てみると‥‥プレーオフを戦ったアダム・スコットアンヘル・カブレラとの間には年齢以上、スイングの世代間ギャップを感じました。

アンヘル・カブレラ43歳
アダム・スコット32歳

その差は11歳ですが、カブレラは「パーシモンでゴルフを覚えた」かのようなスイングの持ち主。対して、スコットは「460CCチタンでゴルフを覚えた」かのようなスイングをしていたからです。

 

どこがどう違うのか?

それはトップの位置です。カブレラはトップでフェースがスクエアからややオープン。トップの位置でフェース面は斜め45度から正面の間ぐらいです。フェースがスクエアかオープンなトップは、パーシモンのように重心距離が短いクラブと相性が非常に良く、そしてフェースを開閉して打った方が飛びますし、方向性も安定します。かれのトップはボクがゴルフを始めた頃(30年以上前)、最高のお手本でした。

対してスコットはトップでフェースがシャット。宮里藍ちゃん同様、トップでフェースが空を指しています。シャットフェースなスイングは重心距離が長いドライバー(大型ヘッド)と相性が非常に良く、そしてフェースをシャットに使った方が飛びますし、方向性も安定します。30年前だとシャットフェースは悪いスイングと評価されていましたが、重心距離が長いクラブが当たり前な今では、これが最高のお手本です。

このトップのフェース向きの違いは持ち球の違いにもあります。カブレラはピンの大型ヘッドを使っていますが、ドライバーの弾道は基本フェード。ピンの大型ヘッドは重心距離が長い。オープンフェースだとボールを捕まえたり、ドローを打つのが難しくなります。カブレラはそれを本能的に察知したのでしょう。彼は捕まらないドライバーを無理に捕まえようとせず、フェードを打っています。プレーオフの2ホールは10番ホール。ここはほぼ直角ってぐらい左にドッグレッグしていて、ドライバーの弾道がフェードだと攻略ルートが非常に狭くなる。彼はドライバーや3Wでフェードを打つと攻めきれないとジャッジし、ロングアイアンでティショットを打ちました。

対して、フェースをシャットに使うスコットは3Wでティショットを打ってフェアウェイをキープ。ちなみにスコットの場合、ドライバーに比べると、3Wやアイアンを打つ時はシャットの度合いが少し弱まっています。ドライバーに比べると3Wはアイアンはヘッドが小さく、その分だけ重心距離が短い。彼は重心距離の違い(ヘッドの返り具合の違い)を本能的に察知し、クラブによってスイングを変えているわけです。恐らく、本人にトップのフェース向きの違いを質問しても「よく分かったね。そうだよ、クラブによってフェースの向きを変えているよ」なんて答えないでしょう。なぜなら本能的、無意識レベルで打ち分けているからです。

では遼クンのトップはどうなのか?

マスターズでのスイングを見る限りでは、フェースの向きはシャットではありませんでした。どちらかというとカブレラ同様、スクエアフェース。昔からの基本に忠実なトップを作っていますし、使っているドライバー(キャロウェイのレーザーフィットエクストリーム)も重心距離はそれほど長くありません。スイングとクラブの相性はマッチしています。

しかしながら、もし遼クンがドライバーの飛距離を更に伸ばしたいのであれば‥‥スコットのようなシャットフェースにした方がボクは良いと思っています。プレーオフで死闘を演じたカブレラスコットに比べると、遼クンの体つきは迫力あるとはいえません。筋肉量、骨格が全然違います。ゴルフは道具(クラブ)の依存度が高い競技です。今どきの重心距離が長いドライバーは、重心距離が短いドライバーと比較すると「飛び」に有利。遼クンも重心距離が長いドライバーを使った方が飛ばせる。体力差を補える。今どきの道具を味方につけるには、シャットフェースのトップが不可欠だからです。

もちろん、トップのフェース向きを変えることは用意ではありません。今はいろんな重心距離のドライバーを選べます。460CCでも重心距離が35ミリ前後のモノもあれば、460CCで重心距離が45ミリ前後のモノもある。しかし、10ミリ重心距離がことなると飛距離にして5~10ヤードぐらい差が出てくる場合があるのです。カブレラのようにエンジンがデカイならばどんな打ち方でも飛距離を稼げますが、遼クンのように体がとりわけ大きくないプレーヤーは、飛ぶ道具を使った方が体力差をカバーできるからです。

習うよりも慣れろではありませんが、欧米ツアーで戦っている選手の多くはクラブが変わると、クラブに合せてスイングをモデルチェンジしています。昔の小さいヘッドのドライバーを使う選手はほとんどいません。対して、国内ツアーを見てると、大型ヘッドではなくてヘッド体積が小さめ(重心距離が短め)のドライバーを好んで使うプロが少なからずいます。

道具が先か、スイングが先か

と聞かれたら、マーク金井「道具が先」だと即答します。歴史を振り返れば一目瞭然です。パーシモンとメタルの切り換え時、めざましい活躍をしたのは真っ先にメタルを使い始めたジャンボ尾崎です。ドライバーのヘッドが大型化した時、めざましい活躍をしたのは片山晋呉です。野球と違ってゴルフは道具で飛距離を稼げます。道具(クラブ)を味方につけることの優位性‥‥遼クンがこのことに気づくのか、それとも気づかないのか?
これからも遼クンの使用ドライバー、そしてスイングについて追いかけていきたいと思います。
んじゃ(▼▼)b

「アナライズからの宣伝」

マーク金井が、スイングとシャットフェースを覚えるために作った。「スーパーシャット君」もうすぐ発売します!ご期待ください


2013年04月14日ゴルフルールの真実‥‥タイガー・ウッズの2ペナ騒動

いよいよ今年のマスターズも決勝ラウンド。トップは7アンダーのスネガーとカブレラ。3日目を終えて大混戦模様になってきました。明日の優勝争いが楽しみになってきましたが、昨夜はタイガー・ウッズの池ポチャ後のドロップ処置について騒動がありました。予選ラウンド2日目、タイガーは15番の3打目でスーパーショットを放ちましたが、ボールはピンにダイレクト(もしくはショートバウント)に当たり、当たった反動でボールは無情にも手前の池に‥‥コロコロと転がり落ちました。まるでゴルフ漫画「風の大地」(坂田信弘原作、かざま鋭二画)に出てくるようなシーンでした。

タイガーは池ポチャ後、ドロップして打ち直して5オン。ワンパットで沈めてボギーでホールアウトしました。TV画面からは‥‥

このドロップのシーンが騒動の始まり‥‥

このドロップのシーンが騒動の始まり‥‥

同じ場所で打っているように見えましたが、ラウンド後にタイガーは「3打目よりも2クラブ下がって打ち直した」とコメントを残したそうです。これが物議を醸し出し、タイガーはスコアカードを出した後に2打罰のペナルティが科せられました。誤所からのプレーということなんでしょう。

誤所からのプレーは規則 20-7 により 通常 重大な違反がない限り (詳細後述) ストローク・プレーでは2打罰、マッチプレーでは そのホールの負け のペナルティーが科される。

これに該当するとスコアカードには2打罰が科せられたスコアを記載しなくてはなりません。池に入って打ち直す場合、「プレーした元の場所」、もしくは「ボールがハザード境界線を横切った地点とホールを結ぶ線上の後方」にドロップしてプレーを続行することがルールで義務付けられています。タイガーの場合、このどちらにも当てはまらなかったものと思われます。

ですので、マスターズ2日目のタイガーの場合、15番は「6」ではなくて「8」のスコアを記入することになります。ところがタイガーは「6」のままスコアを提出しています。なので、今度はスコア誤記で過少申告をしたことになります。ゴルフの場合、スコアを多く書いてもルール違反ではありませんが、スコアを少なく書いたら即、失格処分です。これを受けて、一部のメディア、一部のプロの間では「タイガーは失格なのでは?」というコメントを発しているのです。

ちなみPGAツアーでは、このような騒動が過去にもありました。
http://news.golfdigest.co.jp/news/pga/article/26355/1/

今回、マスターズ委員会は失格処分ではなくて、2打罰の処分を下しました。これまた物議を醸し出しましたが、ゴルフには超法規的なルールもあります。

どうやら規則33-7が適用されたようで、この超法規的処置でタイガーは失格処分ではなくて、2打罰処分が下されたのです。

これが今回のタイガーの「池ポチャ打ち直し騒動」の大まかな流れです。無罰でもなく失格でもない。2打罰というのは玉虫色の裁定のような感じがしますが、マスターズに限らずアマチュアの月例競技にも競技委員は必ずいます。競技委員は野球に例えるならば、審判です。ルール上のトラブルをいかに裁定するか審判(競技委員)に委ねられる。これがゴルフに限らず、スポーツ全般の基本であり鉄則なのです。これが揺らいでしまうと競技そのものが成立しなくなるからです。先々週の女子ツアー同様、競技委員が裁定を下したわけです。タイガーはそれを受け入れ、そしてプレーを続行しているのです。タイガーを批判するのは的外れだとボクは思います。

もちろん、タイガーにも落ち度はかなりあるでしょう。落ち度とは、彼がゴルフのルールを熟知していないことです。アマチュア(プロにも多いです)の中には、ルールで分からない時は「自分に不利に処置すればいい」と思っている人が少なからずいます。例えば、カート道路にボールが止まった時、フェアウェイ側にドロップすると有利になるから、自分は不利な方であるラフにドロップすればいい‥‥確かにこれはフェアプレー精神に溢れていますが、これもルール的には正しい処置ではないのです。ルールには「自分に有利とか不利」なんてことは一切書かれていません。カート道路を含め、動かせない障害物にボールがある時は、

動かせない障害物の中や上にボールがある時、または、スタンスやスイングを妨げる時の救済は、救済の二アレスト・ポイント(邪魔にならない場所)から 1クラブ・レングス以内にボールをドロップして 無罰でプレーをすることが許される。

ルールには「自分に有利、不利」は一切明記されていません。先ほどのカート道路の処置については、フェアウェイ側にニアレストポイントがあれば、ラフにドロップすると、タイガー同様、「誤所からのプレー」となってしまい、2打罰が科せられるので。合点がいかない人も多いと思いますが、これがゴルフのルールなのです。ルールというのは損得勘定で作られているのではありません。損得というのは主観的なものだからです。ゴルフに限りませんが、ルールは主観的な考え方が徹底的に省かれているので、時には自分に不利なことをやっても、「ルール違反」と見なされてしまう場合があるのです。

タイガーのような偉大なゴルファーがルールを誤解していたのは予想外でしたが、ギャンブラーであり小説家の森巣博は、これからカジノに試みようとする人にこんなアドバイスを送っています。

1.ゲームのルールをよく覚えなさい。

無境界の人、森巣博著。引用)

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たかがルール、されどルール。

ゴルフは紳士のスポーツであり、フェアプレー精神でプレーしたいものです。しかし、それ以前にルールに熟知すること。自分が損する(不利益)ことをやっていればルール違反にならない‥‥これは大きな間違いだということを肝に銘じておきたいものです。
んじゃ(▼▼)b

◆JGA ゴルフ規則はこちら


2013年04月13日マスターズでの石川遼の名言‥‥

米男子ツアーのメジャー開幕戦となるマスターズ。今日は予選ラウンド2日目。昨年までは44位タイまでが予選通過でしたが、今年は50位タイまでになりました(トップから10ストローク以内は継続)初日1アンダーだった石川遼は2日目にスコアを落としながらも、何とか予選通過しました。その遼クンの初日終了後のコメントで目に止まったのがこれです。

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「調子が悪くなった時も、絶対に前の感覚を思い出そうとするのは嫌なんです。そう思った時点で後戻りになるからです」

「これだっ」という感覚を掴むと、アマチュアのみならずプロでも「いい時の感覚」というのがスイングのよりどころになります。例えば、○○のような感じでスイングしたら上手くいくと、その○○を自分のスイングのバロメーターにしたり、その○○をナイスショットと関連付けたくなります。

しかし、感覚というのはまったくもって当てになりません。身体は日々変化します。感性や体調も日々変化します。練習でどんなに良い感覚が得たとしても、その感覚が役立つのはその日限り。持続したとしてもせいぜい数日でしょう。例えば、トップからダウンの切り返しで右ひじを真下に下げたら、スイングプレーンに乗って良い球が打てた。動画でチェックしてもスイング軌道が良かったとしましょう。こうなると「右ひじを真下に下ろす=ナイスショット」の感覚図式が出来上がりますが、これは永久保存できる感覚ではありません。その時限りの成功体験の感覚なんです。

ところがアマチュアのみならず、ツアープロでも調子が悪くなると、調子が良かった時の感覚をよりどころにする場合が少なからずあるのです。しかし昔の感覚はどんなに素晴らしものであっても、それを求めるほどに後戻りすることになるのです。今シーズンの遼クンは思うような結果が出てませんが、こんなセリフをマスターズの大舞台でサラッと言えてしまう。これだけでも、彼が並の選手ではないことが明かです。

その一方で名前は出せませんが、昔の感覚を戻そうとして練習したり、昔のクラブに戻して復調を試みるプロもいます。しかし、そういうことをやって見事にカムバックした選手はほとんどいません。クラブに関してはパターやウエッジは昔に戻してもスイングに影響は出ませんが、ドライバーやアイアンは昔に戻しても前の感覚は思い出せないからです。

では、感覚は役にたたないのか?

遼クンの言葉を思い出して下さい。前の感覚を思い出そうとするのがダメであって、感覚そのものを否定しているわけではありません。練習で大事なことは昔を思い出そうとするのではなく、これからやるべき事に対して感覚を磨くこと。そのためには、調子が悪い時は、何が不調の原因なのかを客観的にチェックすることが必要不可欠です。スイングのどこが悪いのか? フォームなのかリズム&テンポなのか? それともアドレス時の体の向きなのか? これらをチェックするには感覚ではなく、自分のスイングを客観的にチェックすること。ビデオやデジカメ、iPhone‥‥とにかくスイングを客観的に丸裸にしてしまい、どこをどう修整していくのかを決めることです。感覚に頼るのではなく、とにかくスイングをじっくりチェックする。そうすると、自分がどこに勘違いしていたのかがかなり正確にジャッジできますし、スイング修整の糸口も見えてくるのです。

もちろんスイングを正しくジャッジするためには、スイングを見る目も養うことも必要不可欠です。いいスイングと悪いスイングの違いが分からなければ‥‥スイングの問題点を見つけ出すことはできません。問題点が見つからなければ、どこを修整すれば良いのかも分からないからです。

昔の良かった時の感覚、これはいわば「成功体験に縛られる」ことになります。ゴルフに限りませんが、成功体験に縛られるのは非常に危険です。おちまさとさんもブログで、

 

何かに挑む時
何か新たな展開をする時

つい

「あの時
ああやって成功したのだから
“また”あの成功パターンに
はめ込めば大丈夫だろう」

と思ってしまうことが
ありがちなのではないだろうか。

これはとても危険なサイン

(おちまさとブログから引用)
http://ameblo.jp/ochimasato/entry-11143298704.html

書かれています。ボクもまったく同感です。ゴルフ上達に必要なのは、ビデオでのスイングチェック、そしてひざ立ち打ちや、ゴルフの竪琴などを使って、日々感覚を磨くことが大事だと思います~。
んじゃ(▼▼)b

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マーク金井がいつも練習に使用している「ゴルフの竪琴」はこちらへ