かつてドライバーは「1番ウッド」と呼ばれた。諸先輩方には何を今さらと怒られそうだが、最近ゴルフを始めた人たちにとって「1番ウッド」は、完全に昔話である。
なぜなら、今のドライバーには「1」なんて刻印は打たれていないからだ。
あえて「1」と書かなくても、問題なくゴルフができている。これが今日のポイントである。過日、お気に入りのUT(21°)よりも飛んで、ドライバーよりも飛ばないフェアウェイウッドを、「色々持っているコレクション」の中から改めて探してみていたのだが、「そういえば」と思い出して、ブリヂストンのJ’sメタル(初代)の4番ウッドを引っ張り出してきた。
化石のような古いメタルヘッドだが、シャフトは日本シャフトのレジオフォーミュラに替えてある。最近、思うところあってわざわざ組んだ実験クラブだ。「そういえば」、このクラブが一番思った方向と高さに飛んでくれていたな、と思い出したのである。
改めて打ってみたが、やはり出球の感じは以前感じた通り。イメージした感じでボールが出ていってくれる。インパクトでボールに当たるタイミング、球離れのタイミングも心地よい。ステンレスメタルだがキン!と弾く感じがなくて、今使っているティショットクラブにも似ているような気がした。
ソールには「4」「17°」と刻まれている。ロフト17°の4番ウッド(バフィ)である。
1990年代初めのメタルウッドの4wと、今現在の最新4wを比べたらどうなるか? なんてことからはもうとっくに卒業している。それをすれば、ほら、やっぱり昔のクラブは全然飛ばない!というレッテルを貼るだけになることがわかりきっているからだ。
4番ウッドとして考えると、○○○ヤード飛んでいなければならない、今の4番と同レベルに飛んでいないとならないとなってしまうが、そういうコトからはもう卒業しているのである。
「4」と書いてあろうが、「17°」とあろうが、そのクラブで出る距離をきちんと把握する。そして、その「距離」という数字を持って、愛用セットのどこに差し込むのかを考える。そういう感覚になっているのである。距離的には、最新のクラブからすればキャリーは7wくらいだろう。弾道が低めなぶんランが出るので、それよりは飛ぶ感じになるはずである。
個人的には、「4」「17°」も書かれていなくてもいい数字。世の中にはもっと飛ぶ「4」もあれば、もっと高く上がる「17°」があると思うが、それを手にしたとて…である。書いてあるから比べたくもなる。ゴルフクラブ選びの楽しみ、基準は、○番で○○○ヤードだけではない。「よくわからないけど、構えやすいし、打感が気持ちいし、だいたい意図した方向に飛んでいってくれるんだよね」、そんなふうに感じられる自分だけのモノを手にする喜びだってあるのだ。
古くても、最新でも。安くても高くても。不人気でも人気でも。○番って書いてあっても、なくても。とりあえず関係ないではないか。コースに出た時に、残り○○○ヤードだからコレで打つ!ということがわかってさえいれば、気持ちよくゴルフができる。実際にあえて「1」と書かなくても、問題なくゴルフができているのだから。
(書き手/高梨祥明)
もっと遠くへ!ではなく、狙った距離にコントロールして打つゴルフの面白さ。マーク金井のYoutubeチャンネル「オルタナゴルフ」素人のゴルフ・スコットランド編もぜひご覧ください。