
カテゴリー: ゴルフクラブ分析
2013年05月20日重心距離が長いクラブはなぜ振りづらいのか?
昨日のブログで、ゴルフクラブは進化の仮定でヘッドが大きくなり、それにともなって重心距離が長くなってきたと書きました。ドライバーとアイアンに関しては、この25年ぐらいで重心距離が10ミリ以上伸びてきています。パーシモンドライバーの頃は重心距離が31ミリ前後でしたが、今どきの460CCドライバーは重心距離が40ミリを超えているのがザラにあります。モデルによっては重心距離が44ミリ以上もあったりします。
さて、この重心距離。
重心距離とはシャフト軸線からスイートスポット(フェース面上の重心位置)までの距離のことです。通常はヘッド(フェース)を大きくすれば、それに比例して重心距離も長くなります。そして重心距離が長くなるほど、飛距離性能がアップします。正しいタイミングでインパクトを迎えられるという前提においては、重視距離が35ミリと45ミリのドライバーを比較した場合、後者の方が飛び指数がアップします。マーク金井が打ち比べた場合、重心距離が5ミリ伸びてくると、3~5ヤードぐらいキャリーが伸びてきます。
そして、同じクラブ重量で重心距離が異なるドライバーを打ち比べてもらうと、90%以上のゴルファーは重心距離が長くなるほどほとんど振りづらいと感想を漏らします。加えて、重心距離が長くなるほど振り遅れのミスが目立つようになります。なぜ振りづらさに違いが出るかというと‥‥
重心距離が長くなるほどフェースを返すのに大きな力が求められるからです。特に、テークバックでフェースが開く人、トップでシャフトクロスになっている人の場合、重心距離が長くなるほど振り遅れのミスが出やすくなります。重心距離が長いクラブの場合、いったんフェースを開いてしまうと開いたままインパクトを迎えることになるからです。意識するしないにかかわらず、重心距離というのはスイングに多大な影響を与えるのです。
重心距離がスイングに与える影響‥‥
これを理解するには実際に体感してもらうのが一番確実です。アナライズの神田スタジオには世界一番で重心距離が長いゴルフクラブと、世界で一番重いと重られるゴルフクラブがあります。それがこれと、これっ!!
世界で一番重心距離が長いクラブはXLアイアンと呼ばれる練習クラブ。ヘッドの大きさは卓球のラケット以上、テニスのラケット以下という大きさ。日本オープンが古賀ゴルフクラブで開催された時、優勝した片山晋呉はこの超デカヘッドアイアンで毎朝練習していました。フェース面がプラスティックなのでゴルフボールを打てませんが、スポンジボールならば打てます。ちなみに片山プロは金属の板を張り付けてゴルフボールを打っていました。
世界で一番重いと思われる練習器具はモメンタススイングトレーナー。重量は約1150g。非常に重いですがヘッドは昔の7番アイアンぐらいと非常に小ぶりです。重いけれど、こちらは重心距離が非常に短いクラブです。
どちらもゴルフクラブとはかなりかけ離れていますが、振った時に感じる抵抗の違いがハッキリと感じ取れます。モメンタスは重いので早く振ることはできませんが、振り遅れる感じにはなりません。シャフトを振ることができれば振り切れます。対して、XLアイアンは軽く振っても手に抵抗が強くかかります。フェース面があまりにも巨大なので空気抵抗も大きいですが、それ以上に感じるのがフェースの回転しづらさ。ネック軸回りモーメントが巨大になるため(シャフト軸をしてヘッドが回転しづらくなるため)、テークバックでフェースをいったん開いてしまうと、ダウンスイングで元に戻そうと思っても、なかなか戻ってくれません。
ダウンスイングはこんな感じになってしまい、フェースが開いたままインパクトを迎えることになります。そして、フェースをスクエアに戻すためには1キロを超えるモメンタムスよりも大きなパワーが必要なことが体感できます。
XLアイアンはこれでもかってぐらい重心距離が長いですが、これでボール打つと重心距離がスイングに及ぼす影響がいかに大きいかを身をもって体感できます。そして、重心距離が長くなればゴルフスイングのセオリーが劇的に変ることも分かってきます。クラブ設計家の竹林隆光さんは自著、「ゴルフクラブの真実」(パーゴルフ新書)の中で、
クラブを無視してスイング理論を論じるケースが多いのですが、基本的にはそれは間違いで、クラブが変ればスイング理論は変るし、クラブがゴルファーのスイングを構築していきます。
重心距離の違いによってもスイング理論は変ります。
(以上、ゴルフクラブの真実から引用)
マーク金井は練習器具マニアでもありますが、野球のバットタイプの練習器具にはまったく興味を示しません。バットタイプの練習器具は重心距離が無いからです。対して、ゴルフの竪琴はゴルフクラブとは似ても似つかないユニークな形状ですが、シャフトの先端にはヘッドが付いていて重心距離がちゃんとあります。重心距離を感じ取ることができるので、竪琴で練習すればスイング作りに不可欠な重心距離をコントロールする感覚も養うことができます。
明日からは、長重心距離のクラブといい関係を築くためのスイング理論について詳しく説明していきましょう。
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PS.ゴルフの竪琴で練習すると、手打ちを解消するために不可欠なハンドアクションを学べます。ダウンでシャフトが寝てしまう人、手打ち癖がなかなか治らない人にオススメです~。
2013年05月19日今どきのクラブが求める理想的なスイングとは‥‥その1
今週、キンドルストアから「ロケットボールズ完全使いこなし術」(マイナビ)、発売してから5日ほど経過しましたが、今のところ売り上げランキング2位をキープしています。改めてロケットボールズの人気の高さを感じております。
ロケットボールズは従来のFWに比べるとヘッドが大きく、460CCドライバーとも相性が良いです。投影面積で比べたら、パーシモンやメタルヘッドのドライバーよりも大きいでしょう。大きいヘッドは慣性モーメントが増大してミスに強くなりますが、加えて重心距離も長くなってきます。ロケットボールズ、そしてキャロウェイのXホットは、わざと重心を浅くすることで低スピン弾道で飛び指数を上げてますが、実は、ロケットボールズの場合は重心距離が長くなったことでも飛び指数を上げているのです。
重心距離とはシャフト軸線からスイートスポット(フェース面上の重心位置)までの距離のことです。通常はヘッド(フェース)を大きくすれば、それに比例して重心距離も長くなります。ちなみに、テニスのラケットの場合は大きくしても重心距離は変りません。ラケットはシャフト軸線上に重心がある、すなわち重心距離がゼロだからです。野球のバットも重心距離はゼロです。棒状の道具を使う球技で、重心距離が存在する道具はゴルフクラブと、ホッケーやクリケットのスティックぐらいだけです。
重心距離に話を戻すと、パーシモンやメタルヘッドの頃のドライバーはヘッドが小ぶり(体積200CC未満)なこともあって、重心距離が35ミリを超えるモデルはほとんどありませんでした。唯一、重心距離の長さを感じたのは、マルマンのスッポンぐらいです。スッポンはわざとネックをヘッドから遠ざけるように作られたドライバー。ヘッドは小ぶりでしたが、ネック位置が意図的に離れているために重心距離が長くなっていました。具体的な数値を上げると、
パーシモン 体積170CC前後 重心距離 30ミリ前後
メタルヘッド 体積170CC前後 重心距離 31ミリ前後
初期チタン 体積200CC前後 重心距離 32ミリ前後
20年前のチタン 体積250CC前後 重心距離 34ミリ前後
10年前のチタン 体積350CC前後 重心距離 37ミリ前後
現在のチタン 体積460CC前後 重心距離 33~45ミリ
重心距離はモデルによっても異なりますが、ざっくりと平均的な数値で比較するとこんな感じです。ゴルフクラブはヘッド素材が変ることで進化してきましたが、実は、素材の変化ととともにヘッドが大きくなり、そして重心距離が少しづつ伸びてきまました。言い換えると、重心距離が伸びたことで多くのゴルファーは飛距離アップを実現できているのです。
重心距離が長くなるとシャフトよりもスイートスポット位置の方が遠くなります。同じ45インチでも重心距離が長い方が、実質的には長いクラブを振っていることになり(結果、打球面のヘッドスピードが上がり)それが、ボール初速のアップさせることにつながります。前述したマルマンのスッポンをはじめ、クラブメーカーの多くは、これが飛距離性能につながるものだとコメントしています。
もちろんこれも一理あるでしょう。1センチ重心距離が伸びてくれば、1センチ長いクラブを振っていくことになって、その分だけヘッドスピードが上がる可能性があります。しかし、たかが1センチ。ヘッドスピードが1m/sもあがることはないです。
では、なぜ重心距離が伸びると飛び指数が上がるのか?
パーシモンのドライバーと重心距離44ミリの今どきドライバーを振り比べると、その答えを窺い知ることができます。アナライズの神田スタジオにはクラブ診断、スイング診断用にマグレガーのパーシモンドライバーがあります。シャフトはもちろんスチール。重量は350g前後と非常にヘビー。タイガー・ウッズが使っているドライバーよりも重いぐらいです。なのに、アマチュアゴルファーに振ってもらうと、皆さん口を揃えて‥‥
案外、振りやすい~。
とおっしゃいます。重くて硬いドライバーなのに‥‥重くて振りづらいという人は10人に2人ぐらいです。対して、重心距離44ミリのドライバー(325g)を振ってもらうと、多くのアマチュアは振りづらそうにスイングにします。ヘッドスピードが40m/sぐらいだと、重くて振りづらいと口にされるゴルファーが多いです。
この違いはどこにあるのか?
察しのいい人はもうお分かりでしょう。そうです。パーシモンと今どきのドライバーの決定的な違いは重心距離。ほとんどのゴルファーは重心距離が短いクラブは振りやすく、重心距離が長いクラブは振りづらく感じる。なぜ振りづらさに違いがでるかというと、重心距離が長くなるほどフェースを返すのに大きな力が必要なってくるからなんです。特に、テークバックでフェースが開く人、トップでシャフトクロスになっている人の場合、重心距離が長くなるほど振りづらさが増してきます。
重心距離が長いほどヘッドを返すのに大きなエネルギーが必要なのは紛れもない事実です。これは物理的にも証明されており、重心距離が長くなるほどシャフト軸周りの慣性モーメントの数値が大きくなります心距離が長くなるほどヘッドを返すのに大きなエネルギーが必要だということは、ヘッドをタイミングよく返せると、ボールには大きなエネルギーをぶつけられることが推察できます。例えば、ヘッド重量が200gのドライバーの場合、重心距離が35ミリと45ミリを比較した場合、圧倒的に後者の方がインパクト時のエネルギーが増すのです(フェースをタイミング良く返せると)。
そして、重心距離が変ってくると求められるスイングも変ってきます。重心距離とスイングの関係については明日からじっくり説明していきましょう~。
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PS.ロケットボールズ用のシャフト、好評発売中!! 純正シャフトよりもタイミングが取りやすく、ミート率が良くなるシャフトです~。マーク金井ももちろん装着して使っています~。
2013年05月10日テーラーメイドのドライバーを性能比較してみて分かったこと 完結編
マーク金井が白い恋人と名付けたテーラーメイドのドライバー。現行モデルとしては、R1、グローレ(そしてグローレリザーブ)、ロケット ボールズ(RBZ)ステージⅡがラインアップ。体積はルール最大級の460CC。同じヘッドサイズで3モデルを揃えているのはテーラーメイドぐらいでしょう。
さて、この3つのドライバー。一昨日と昨日のブログで性能比較をしてきました。調べれば調べるほど、R1、グローレ、RBZⅡはクラブのキャラクターが異なっています。この3モデルを価格帯が大きく異なりますが、実は価格以上に対象ユーザーが異なっていることが分かります。特にグローレはテーラーメイド中では異色な存在で、リアルロフトが非常に多くてボールが上がりやすく作られています。表示ロフトとリアルロフトが異なることは、もはやゴルフ業界の常識ですが‥‥グローレの場合はそれが顕著に表れてました。
そして、テーラーメイドの3モデルを比較してわかったことがもうひとつあります。それは重心距離と捕まりの因果関係です。具体的な数値を上げると、
グローレ 重心距離41.2mm
重心深度38.5mm
R1 重心距離38.5mm
重心深度35.0mm
RBZⅡ 重心距離40.0mm
重心深度32.0mm
一般的には重心距離が長くなるほど「捕まりづらい」、重心距離が短いと「捕まりやすい」と言われてます。重心距離だけでジャッジすると、一番捕まるのがR1、次がRBZⅡ、そして一番捕まらないのがグローレになります。
しかしながら、実際に打ち比べてみんるとこの3モデルで一番捕まる(ヘッドが返りやすい)のはグローレ、次がR1、一番捕まらない(ヘッドが返りづらい)がRBZⅡです。
では、なぜ一番重心距離が長いグローレが、この3モデルの中で一番捕まりやすいと感じるのか?
R1やRBZⅡと比較した場合、グローレはフックフェースでリアルロフトが一番多い。この2つの要素は「捕まり」に影響が出るスペックですが、実はもうひとつ大きい要素があるんです。
それは‥‥グローレが一番、「捕まり係数」が大きから捕まるのです。マーク金井から以前からヘッドの挙動は重心距離と重心深度のバランスが大事だといい続けてます。例えば重心距離が40mmのドライバーが2本あった場合、1本は重心深度が40mm、もう1本は重心深度は32mm。この2本を比較すると誰が打っても前者の方が捕まりが良く感じ、後者の方が捕まりが悪いと感じます。そうです、この重心距離と重心深度の関係を数値化したのもの‥‥
重心深度÷重心距離=つかまり係数
です。この捕まり係数で3モデルを比較してみると‥‥
グローレ 捕まり係数 0.934
重心アングル 23.5度
R1 捕まり係数 0.922
重心アングル 23.0度
RBZⅡ 捕まり係数 0.800
重心アングル 18.0度
この数値の違いを見ると一目瞭然でしょう。グローレはフックフェース、リアルロフトが多いことに加えて、3モデルの中で捕まり係数は一番大きくなっています。そして「捕まり係数≒重心アングル」。重心アングルが大きいとヘッドが返りやすい(捕まりやすい)ことを考えると、捕まり係数はかなり信憑性が高いデータになると思われます。そして、捕まり係数が一番小さいRBZⅡに関して言うと、実際に打ってみても捕まりが良くありません。ダウンからインパクトにかけて、シャフトを軸にしてヘッドが左に回転したがらない。重心距離の数値以上にヘッドが返りづらく感じます。その理由は重心の浅さにあって、重心が非常に浅いから捕まり係数が低く、重心アングルも小さくなっているのです。
つかまり係数については、これから色んなドライバーでデータを取っていきたいと思いますが、マーク金井がドライバーを試打する時、0.93以上になってくるとヘッドが返りやすく感じ、0.9未満になるとヘッドの返りづらさが手に伝わるとコメントを残しています。
ちなみに、重心距離と重心深度の関係についてはクラブ設計家の竹林隆光さんは、かつてゴルフ雑誌でLD値という数値を紹介されています。
重心距離をLとし、重心深度をDとして、それを掛け合わせた数値がLD値である。主に、重心距離が飛距離に、重心深度が方向性に大きな影響を与えることから言えば、この数値が大きいほど、ボールがとらえやすくて方向性が良く、しかも飛ぶ可能性が高いと見ていい。
(以上、チョイス1995年7月から引用)
このLD値は恐らく、やさしさの目安となっているヘッド慣性モーメントの数値と関連性があるでしょう。「LD値≒ヘッド慣性モーメント」です。言い換えると、LDを計測すればヘッド慣性モーメントをわざわざ計測しなくても、ミスに強いヘッドなのか、ミスに弱いヘッドなのかが分かってきます。ボクがこんなことに気が付くぐらいだから、恐らく、クラブメーカーもLD値についてはかなり研究がすすんでいるでしょう。
んじゃ(▼▼)b
PS.テーラーの白い恋人にぴったりマッチするカラーシャフトを作りました。重量は60g台。FW用に作りましたが、45インチ前後でしたらドライバーにも装着できます。限定生産なのでお早めにどうぞ~。
関係過去記事
「テーラーメイドのドライバーを性能比較してみて分かったこと、その2」
2013年05月09日テーラーメイドのドライバーを性能比較してみて分かったこと、その2
ドライバーで市場占有率の高さを誇るテーラーメイド。現行モデルとしては、R1、グローレ(そしてグローレリザーブ)、ロケット ボールズステージⅡがラインアップされています。いずれも目にも鮮やかな白ヘッドで体積はルール最大級の460CC。カテゴリーとしては、いずれもデカヘッドです。
さて、この3モデル。昨日のブログではヘッド重量で明確なジャンル分けが成されていると書きました。ヘッド重量が195g前後のグローレは非力な人向き、そして長尺向きに作られています。パワーのある女性にも扱いやすく、国内女子ツアーでは使用率が高いです。マーク金井もグローレを使ってますが、ヘッドに鉛を5g以上貼り付けています。対してR1は重ヘッド。米国仕様は210g強、日本仕様も約206g強あります。これは市販で最も重たいヘッド。R1には重量調整ネジが2つついてますが、一番軽く調整しても(1g×2)ヘッド重量は200g前後です。
RBZⅡ(ロケットボールズ ステージⅡ)はヘッド重量が200g強。長尺仕様ですがグローレに比べるとヘッドは重め。ヘッド重量を考えると、45~45.5インチぐらいで仕上げた方がバランスが良く、振りやすくなるでしょう。アナライズではRBZⅡ専用カラーのW65をラインアップしてますが、RBZⅡに装着する場合は45インチ前後を推奨しています。
テーラーの場合、ヘッドの重さ以外にもこの3モデルには明確な性能差があります。そのひとつ目はボールの上がりやすさ。いずれも弾道調整機能でロフトを調整できますが、ノーマルポジションでのリアルロフトとフェース向きががかなり違います。具体的に言うと‥‥
グローレ リアルロフト 13.75度(表示9.5度)
フェース向き +1.5度
R1 リアルロフト 9.5度(ノーマルポジション10度)
フェース向き -3.5度
RBZⅡ リアルロフト 8.5度(表示9.5度)
フェース向き -2度
リアルロフトに着目するとRBZⅡとR1は表示ロフトよりもリアルロフトの方が少ない。これは吹き上がりづらいとも言えますし、ボールが上がりづらいとも言えます。そしてフェース向きがオープン。弾道調整機能が付いているとはノーマルポジションでここまでフェースが開いていると、スライサーにはかなり扱いづらい(構えづらい)でしょう。裏読みすると、メーカー側はフッカーをかなり意識して設計しているのかも知れません。
対してグローレは、RBZⅡとR1と真逆のスペック。リアルロフトが非常に多くて強めのフックフェース。ノーマルポジションで13.75度というのは、非力なオジサンゴルファーを意識したのでしょう。加えて1.5度のフックフェースというのは、フッカーにはかなり扱いづらいスペック。メーカー側はヘッドスピードが遅いスライサーを強く意識して設計していることが、窺い知れます。
リアルロフトの数値で分かることは、同じロフトで比較した時、グローレはR1やRBZⅡよりも、かなりボールが上がりやすくなっています。グローレならば9.5度でもボールが上がるから、ロフトで見栄を張れます(笑)。マーク金井は女性ゴルファーに11.5度を勧めていますが、ヘッドスピード35前後の白ティ女子達は「ボールが楽に上がる」と口を揃えていいます。理由は単純、リアルロフトが多いからでなんです。逆にRBZⅡは「ボールが上がりづらい」という声をよく聞きますが、これはリアルロフトが少ないからに他なりません。よっぽどのハードヒッターを除けば、RBZⅡを購入する場合、普段よりも1度以上ロフトを増やした方が、イメージ通りの弾道を打ちやすいでしょう。
捕まりについても、これまた3モデルで違いがハッキリと出ています。
グローレ 重心距離41.2mm
重心深度38.5mm
R1 重心距離38.5mm
重心深度35.0mm
RBZⅡ 重心距離40.0mm
重心深度32.0mm
一般的には重心距離が長くなるほど「捕まりづらい」と言われてます。重心距離だけでジャッジすると、一番捕まるのがR1、次がRBZⅡ、そして一番捕まらないのがグローレになります。しかしながら、実際に打ってみると一番捕まる(ヘッドが返りやすい)のがグローレ、次がR1、一番捕まらない(ヘッドが返りづらい)がRBZⅡです。
なぜ一番重心距離が長いグローレが、この3モデルの中で一番捕まるのか??
それにはちゃんとした理由があるので、次回じっくり説明しましょう~。
んじゃ(▼▼)b
参考記事
「ロケットボールズ ステージⅡをちょびっとだけ裸にしてみた~」
2013年05月08日テーラーメイドのドライバーを性能比較してみたら‥‥
ロケットボールズが大ヒットしたことにより、フェアウェイウッド(以下、FW)では圧倒的なシェアを獲得したテーラーメイド。同社はドライバーも大きなシェアを獲得しており、ツアープロはもとより、多くのアマチュアの間でも人気を集めています。もちろんマーク金井もご多分に洩れずテーラーのドライバーを買い漁っております。現行モデルではグローレ、R1、そしてロケットボーズのステージⅡを所有してます。昔からテーラーは好きなブランドでしたが、現行3モデルをすべて同時所有しているのは初めてかもです。
さて、このテーラーのドライバー。色は白で統一、ヘッド体積は460CCで統一されていますが、キャラクターはかなり異なっています。ちょびっと長いですが、メーカーのキャッチコピー(謳い文句)はこんな感じです。
グローレ
反発力の高い鍛造フェースを搭載。加速するヘッドスピードでやさしく高弾道で飛ばす。
後半部分は形容詞満載のキャッチコピーですが、ヘッドスピードの加速の意味は「軽いヘッドと長尺の組合わせ」高弾道で飛ばすの意味は「リアルロフトが多い」ってことです。実際クラブを計測してみても、3モデルの中ではヘッドが最も軽く、シャフトが最も長い。そしてリアルロフトも最も多くなっていました。
ヘッド重量 195.6g
クラブ長さ 46インチ
リアルロフト 13.75度(表示9.5度)
フェース向き +1.5度
重心アングル 23.5度
R1
さらに進化した調整機能で飛距離を伸ばす。ONE HEADでコアロフトをすべて網羅するドライバー。
調整機能で飛距離を伸ばすという意味はカチャカチャすることで、「最適弾道で飛ばしましょう」ってことでしょう。R1はロフト調整機能を強くアピールしているのでヘッドはひとつだけ。ひとつのヘッドで8度~12度まで調整できることをアピールしています。進化した調整機能の意味は、ソールのダイヤルのメモリが増えたこと、そしてカチャカチャの調整範囲が増えたこと(結果、R11のスリーブが使えない)をアピールしています。
ヘッド重量 206.5g
クラブ長さ 45.5インチ
リアルロフト 9.5度(ノーマルポジション10度)
フェース向き -3.5度
重心アングル 23度
ロケットボールズ ステージⅡ(RBZⅡ)
あのぶっ飛びフェアウェイウッドが、さらにスゴクなって、飛距離を伸ばす
上記2モデルと比較すると、なんともシンプルなキャッチコピー。要するに、ロケットボールズのFWはドライバーも揃えましょうっていうなんでしょう。ちなみに、このキャッチコピーからはFW同様、ドライバーも重心が浅いってことを読み取ることができます。
ヘッド重量 200。5g
クラブ長さ 46インチ
リアルロフト 8.5度(表示9.5度)
フェース向き -2度
重心アングル 18度
ヘッドのスペックを比較すると、3モデルのキャラクターがかなり違うことが読み取れます。ヘッド重量が一番軽いグローレは非力な人向き、長尺向きであることが分かります。テーラーの中では一番ヘッドが軽いですが、この重さならばパワーのある女性にも扱いやすいです。女子プロに使用率が高いのもうなずけます。マーク金井もグローレを使ってますが、ヘッドに鉛を5g以上貼り付けています。対してR1は市販トップクラスの重ヘッド。ピンがヘッドの重さをアピールしてますが、R1はそれと同等。ちなみに米国仕様のR1はヘッド重量が約210g。これは市販で最も重い!!!!というか3Wに近い重量です。ちなみに、R1は重量調整ネジが2つついてます。一番軽くしても(1g×2)ヘッド重量は200g前後。この重さでも国内メーカーのドライバーと比較すると、ヘッドは重めの部類です。
RBZⅡはヘッド重量が200g。長尺仕様ですがグローレに比べるとヘッドは重め。テーラーの場合、60度測定法なので実寸は45.5インチぐらいです(ヒールエンド法計測)。ヘッド重量を考えると、45~45.5インチぐらいで仕上げた方がバランスが良く、振りやすくなると思います。アナライズではRBZⅡ専用カラーのW65をラインアップしてますが、RBZⅡに装着する場合は45インチ前後を推奨しています。
たかがヘッド重量、されどヘッド重量。
ドライバー選ぶ場合、クラブの総重量と同じぐらいヘッド重量にこだわることも重要な要素です。メーカーが側もモデル毎の違いをハッキリさせるためにもヘッド重量をカタログ等で公表してもらいたいものです。軽いヘッドは鉛を張ることで重くできますが、重いヘッドは軽くできません。R1は重量調整ネジが付いてますが、ネジ無しでもかなり重い。一番軽くしても女性が扱えるほど軽くなりませんし、46インチ以上の長さに組み上げるのも難しいでしょう。
おーっと、締切りの催促の電話が入りました。この続きは明日アップします~。
んじゃ(▼▼)b