今週、キンドルストアから「ロケットボールズ完全使いこなし術」(マイナビ)、発売してから5日ほど経過しましたが、今のところ売り上げランキング2位をキープしています。改めてロケットボールズの人気の高さを感じております。
ロケットボールズは従来のFWに比べるとヘッドが大きく、460CCドライバーとも相性が良いです。投影面積で比べたら、パーシモンやメタルヘッドのドライバーよりも大きいでしょう。大きいヘッドは慣性モーメントが増大してミスに強くなりますが、加えて重心距離も長くなってきます。ロケットボールズ、そしてキャロウェイのXホットは、わざと重心を浅くすることで低スピン弾道で飛び指数を上げてますが、実は、ロケットボールズの場合は重心距離が長くなったことでも飛び指数を上げているのです。
重心距離とはシャフト軸線からスイートスポット(フェース面上の重心位置)までの距離のことです。通常はヘッド(フェース)を大きくすれば、それに比例して重心距離も長くなります。ちなみに、テニスのラケットの場合は大きくしても重心距離は変りません。ラケットはシャフト軸線上に重心がある、すなわち重心距離がゼロだからです。野球のバットも重心距離はゼロです。棒状の道具を使う球技で、重心距離が存在する道具はゴルフクラブと、ホッケーやクリケットのスティックぐらいだけです。
重心距離に話を戻すと、パーシモンやメタルヘッドの頃のドライバーはヘッドが小ぶり(体積200CC未満)なこともあって、重心距離が35ミリを超えるモデルはほとんどありませんでした。唯一、重心距離の長さを感じたのは、マルマンのスッポンぐらいです。スッポンはわざとネックをヘッドから遠ざけるように作られたドライバー。ヘッドは小ぶりでしたが、ネック位置が意図的に離れているために重心距離が長くなっていました。具体的な数値を上げると、
パーシモン 体積170CC前後 重心距離 30ミリ前後
メタルヘッド 体積170CC前後 重心距離 31ミリ前後
初期チタン 体積200CC前後 重心距離 32ミリ前後
20年前のチタン 体積250CC前後 重心距離 34ミリ前後
10年前のチタン 体積350CC前後 重心距離 37ミリ前後
現在のチタン 体積460CC前後 重心距離 33~45ミリ
重心距離はモデルによっても異なりますが、ざっくりと平均的な数値で比較するとこんな感じです。ゴルフクラブはヘッド素材が変ることで進化してきましたが、実は、素材の変化ととともにヘッドが大きくなり、そして重心距離が少しづつ伸びてきまました。言い換えると、重心距離が伸びたことで多くのゴルファーは飛距離アップを実現できているのです。
重心距離が長くなるとシャフトよりもスイートスポット位置の方が遠くなります。同じ45インチでも重心距離が長い方が、実質的には長いクラブを振っていることになり(結果、打球面のヘッドスピードが上がり)それが、ボール初速のアップさせることにつながります。前述したマルマンのスッポンをはじめ、クラブメーカーの多くは、これが飛距離性能につながるものだとコメントしています。
もちろんこれも一理あるでしょう。1センチ重心距離が伸びてくれば、1センチ長いクラブを振っていくことになって、その分だけヘッドスピードが上がる可能性があります。しかし、たかが1センチ。ヘッドスピードが1m/sもあがることはないです。
では、なぜ重心距離が伸びると飛び指数が上がるのか?
パーシモンのドライバーと重心距離44ミリの今どきドライバーを振り比べると、その答えを窺い知ることができます。アナライズの神田スタジオにはクラブ診断、スイング診断用にマグレガーのパーシモンドライバーがあります。シャフトはもちろんスチール。重量は350g前後と非常にヘビー。タイガー・ウッズが使っているドライバーよりも重いぐらいです。なのに、アマチュアゴルファーに振ってもらうと、皆さん口を揃えて‥‥
案外、振りやすい~。
とおっしゃいます。重くて硬いドライバーなのに‥‥重くて振りづらいという人は10人に2人ぐらいです。対して、重心距離44ミリのドライバー(325g)を振ってもらうと、多くのアマチュアは振りづらそうにスイングにします。ヘッドスピードが40m/sぐらいだと、重くて振りづらいと口にされるゴルファーが多いです。
この違いはどこにあるのか?
察しのいい人はもうお分かりでしょう。そうです。パーシモンと今どきのドライバーの決定的な違いは重心距離。ほとんどのゴルファーは重心距離が短いクラブは振りやすく、重心距離が長いクラブは振りづらく感じる。なぜ振りづらさに違いがでるかというと、重心距離が長くなるほどフェースを返すのに大きな力が必要なってくるからなんです。特に、テークバックでフェースが開く人、トップでシャフトクロスになっている人の場合、重心距離が長くなるほど振りづらさが増してきます。
重心距離が長いほどヘッドを返すのに大きなエネルギーが必要なのは紛れもない事実です。これは物理的にも証明されており、重心距離が長くなるほどシャフト軸周りの慣性モーメントの数値が大きくなります心距離が長くなるほどヘッドを返すのに大きなエネルギーが必要だということは、ヘッドをタイミングよく返せると、ボールには大きなエネルギーをぶつけられることが推察できます。例えば、ヘッド重量が200gのドライバーの場合、重心距離が35ミリと45ミリを比較した場合、圧倒的に後者の方がインパクト時のエネルギーが増すのです(フェースをタイミング良く返せると)。
そして、重心距離が変ってくると求められるスイングも変ってきます。重心距離とスイングの関係については明日からじっくり説明していきましょう~。
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