カテゴリー: ゴルフの竪琴
2013年04月05日スイングのウソ、ホント その5 「作用と反作用と意識すると正しくコックできる!!」
前回のブログ(4月1日)で、手首のコックの重要性について説明しました。プロの中には「コックは自然にできる」「コック意識しなくていい」と教える人もいます。確かに意識しなくてもできる人はいますが、アマチュアのスイングを分析すると、そんな人はほんの一握りです。アマチュアゴルファー全体の2割以下でしょう。8割近くの人は誤ったコックをしているか、もしくは手首のコックが不完全なままでテークバックしています。
ツアープロのスイングを見ていると、ほとんどのプレーヤーはハーフバック付近で手首をコックが入っています。手首をコックすることでヘッドをプレーンに沿って上げています。逆に言うと、手首をコックした方がプレーンに沿ってヘッドを上げていきやすいのです。
では、正しい手首のコックはどんな動きなのか?
前回のブログ(4月1日)で、こんなドリルを紹介しました。ボールの入ったカゴ等の取っ手部分にクラブヘッドを引っかけたら、クラブでカゴを持ち上げていきましょう。
持ち上げる前の画像
これで、左手も右手も持ち上げることでヘッドを持ち上げている人は‥‥
悪い持ち上げの画像
ゴルフスイングでも手首のコックでヘッドを上げる感覚が乏しく、そして手首のコックを間違えている可能性が大きい。こういう風に両手を引き上げることでカゴを持ち上げている人は、作用と反作用を使う感覚が乏しいからです。
では、どんな風に持ち上げるのが正しいのか? 正解は‥‥
正しい持ち上げの画像
こんな風に、左手を下げ、その反動でヘッドを持ち上げることです。両手の間に支点をイメージしたら、左手を下げて、右手を引き上げる。左右の手を逆方向に使うことで手首をコックし、そしてヘッドを持ち上げていく。左手を下げた反動でヘッドを持ち上げる感じになると、作用と反作用の力でヘッドを持ち上げることができます。
実際のテークバックでも、こういう風に左手と右手が逆方向に動かすのが好ましい動きです。これがちゃんとできると手首を正しくコックできますし、クラブヘッドをプレーンに沿って上げやすくなるのです。
手首を上手くコックできない人、ノーコックでクラブを上げようとしている人の場合、手元に対してヘッドが低い状態になっている時間が長くなります。実はこれは‥‥ヘッドをインサイドに引き過ぎることにもつながってくるのです。
左手を下げて(グリップエンドを下げて)ヘッドを持ち上げることができると、左肩の入りが良くなりますし、背中の筋肉を効率良く使うこともできます。テークバックで左手が下がってくれば、それにつられて左肩が下がり、左の肩胛骨もダイナミックに動きます。肩は横に回すものだと思って入る人が少なくありませんが、実は、左肩は下がる感じで動いた方が肩の入りが良くなるのです。
右サイドの動きについても、手首のコックで右手が引き上るのに連動して、右肩も上げていきましょう。これができると右肩の動きもスムーズになってきます。肩は両肩を一体にして動かそうとするよりも、左右の肩をそれぞれ独立させて動かした方が、動きがスムーズになるだけでなく関節の可動域も大きくなってくるのです。
手首のコックというと手首だけを意識しがちですが、実は肩の動きにも連動してくるのです。支点となるのは両手の間。左手(グリップエンド)を下げて、その反動で右手とヘッドを引き上げていく。まずはボールの入ったカゴで練習して下さい。左手を浮かせて持ち上げるのではなく、左手を下げた反動でカゴをヒョイと持ち上げる。マーク金井はゴルフの竪琴でこの練習をしています。竪琴だと、クラブを持った時よりも両手の間隔が広がります。より明確に右手と左手の役割が分かるからです。手首のコックについてはボールを打つよりも、今回紹介したドリルをやった方が、はるかに短時間で正しい動きをマスターできます。
んじゃ(▼▼)b
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2013年04月01日スイングのウソ、ホント その4 「正しいコックとは?」
昨日の女子ツアー、20歳の堀奈津佳が逃げ切りツアー初勝利しました。ルールの解釈で色々と物議があったみたいですが、競技委員が「無罰」と裁定を下したわけですから、その時点でプレーヤーには責任はないと思います。かつて日本オープンでは今野康晴プロが優勝争いの最中、「競技委員の裁定で2打罰」を受けてましたが、彼はその裁定を潔く受け入れました。ゴルフは自分自身が審判と言われますが、競技会においては競技委員が必ずいます。日本オープンであれ、ゴルフの場の月例競技であれ‥‥。
プレーヤーは競技委員の裁定に従うのがルールです。ルール専門家のマイク青木さんも、今回の件で問題があるとすれば日本女子プロゴルフ協会側にあるとフェースブックでコメントされています。
さて、今日のテーマはスイングの善し悪しについて。
格好いいスイングと格好悪いスイングは何が違うのか?
癖のないスイングと癖があるスイングはどこが違うのか?
自然に見えるスイングと不自然なスイングは何が違うのか?
前回のブログ(3月30日)で、ハーフバックの正しい形について説明しました。ヘッドをインに引き過ぎているのか、オンプレーン(シャフトプレーンに沿って上がった状態)になっているのかはハーフバックの位置で確認できます。
飛球線後方から見てシャフトが地面と平行、正面から見てもシャフトが地面と平行なポジションがハーフバックです。
ハーフバックの画像
ここでヘッドがシャフトプレーン上にあるのが正しい形ですが、もちろん許容範囲はあります。ヘッド一個分ぐらいは前後に外れても問題ありません。インに引きすぎると、ハーバックでヘッドはシャフトプレーンよりも内側に入ります。アウトに上げ過ぎると、ハーフバックでヘッドはシャフトプレーンよりも外側に位置します。どちらも好ましくない形ですが、二者択一で言うならばアウトに上がる方が良いです。アウトに上がっている場合、シャフトクロスのトップになりにくいこと、そしてダウンスイング前半でヘッドをプレーンに乗せやすいからです。代表例としてはジム・フューリックや青木功プロ。二人ともテークバックはアウトに上がっていますが、ダウンでヘッドはちゃんとプレーンに乗っています。
対して、インに上がってしまうスイングには未来がありません。インに引きすぎるとシャフトクロスのトップになりやすく、そしてダウンスイング前半でヘッドがプレーンに乗りにくい。いわゆるアウトサイド・イン軌道のカット打ちになりやすいからです。ちなみに、今どきのドライバーはヘッドが大きくて重心距離が長い。シャフトクロスになってしまうと、重心距離の長さをもてあますことにもなって、プッシュアウト、スライス、引っかけが出やすくなります。
ハーバックのポジションではもうひとつチェックポイントがあります。それは手首のコック。手首のコックについては、プロの中には「自然にできる」「意識しなくていい」と教える人もいます。確かに意識しなくてもできる人はいますが、アマチュアのスイングを分析すると、そんな人はほんの一握り。アマチュアゴルファーの2割以下でしょう。それ以外の人達は誤ったコックをしているか、もしくは手首のコックがちゃんとできていません。いわゆるノーコックで上げている人が少なからずいます。加えて、ノーコックで上げている人の中には、
「手首を使う=悪い動き」
と決めつけています。高校生にはバイクは危険。だからバイクには乗らせない、みたいな感じで‥‥手首のコックをかなり悪者扱いしています。
確かに、手首を誤って使ってしまうと見た目に格好悪いスイング、美しくないスイング、球がちゃんと飛ばないスイングになる確率がグンと上がります。しかし、手首を使わないテークバックにも問題が「大あり」なんです。テークバックで手首を固定するとヘッドをインに引きやすくなってきます。テークバックで不可欠な右手と左手の位置関係を変えることもしづらくなるのです。そして何より、テークバックで手首を完全固定してしまうとプレーンに沿ってヘッドを上げづらくなるのです。
ツアープロのスイングを見ていると、ほとんどのプレーヤーはハーフバック付近で手首をコックが入っています。手首をコックすることでヘッドをプレーンに沿って上げています。本人に自覚があるか無いかは別にして、手首を使った方がオンプレーンに沿って上げていきやすいからです。
では、正しい手首のコックはどんな動きなのか?
それを実感してもらうのに役立つのがこのドリル。ボクはゴルフの竪琴を使ってやってますが、ゴルフクラブでも可能です。ボールに入ったカゴ等、重たい物をヘッドで持ち上げてみましょう。これをやってみると、手首をちゃんと使えるかどうか、誰でも即座に簡単にチェックできるのです。
手首のコックの答え合わせは、水曜日か木曜日にやりましょう。
んじゃ(▼▼)b
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2013年03月30日誰も教えないゴルフスイングのウソ、ホント その3
良いスイングと悪いスイングはどこが違うのか?
格好いいスイングと格好悪いスイングは何が違うのか?
癖のないスイングと癖があるスイングはどこが違うのか?
自然に見えるスイングと不自然なスイングは何が違うのか?
前回のブログ(3月25日)で、テークバック前半部分はクラブのライ角度を維持することが大事だと説明しました。インサイドに引き過ぎたり、アウトサイドに上げ過ぎるとライ角度が崩れます。最初の1mぐらいは手元もヘッドも飛球線に沿ってほぼストレートに動くのが好ましく、これでライ角度がキープできると書きました。
スイングは円運動とイメージしている人にとっては、ヘッドと手元がパラレルな状態で真っ直ぐ後ろに引こうとすると‥‥「とてつもなく外に上がる」感じになるでしょう。そして、もの凄く気持ち悪い。その違和感たるものや、右利きの人が生まれて初めて左手に箸を持ってご飯を食べるのと同じか、それ以上です(笑)。この強烈な違和感、錯覚を取り除く一番効果的な方法は、動画でチェックしながらテークバックの軌道をチェックすること。自分の感覚に頼る限りスイングは変わりません。本当にスイングを変えたいならば、外の目(客観的視)に頼ることが極めて重要です。ボクも調子が悪くなるとテークバックがインに上がりやすいのですが、そんな時はボールを打ちません。ビデオとにらめっこしながら、ひたすらテークバックだけを練習。1回上げるごとに動画をチェックし、軌道をチェックしてます。なので、テークバック30回練習するのに30分以上の時間が必要です。
ちなみにツアープロのテークバックをチェックしてみると、昔はインに上げているプロも少なからずいましたが、最近はほとんどいません。ビデオでスイングチェックするのが当たり前になったことで、プロのほとんどはプレーンに沿ってヘッドが上がっています。
では、なぜインに引き過ぎるのはダメなのか。
ゴルフはテークバックでボールを打つわけでない。ダウンスイングが良ければ、テークバックは個性があってもいいのではないのか?
そう考える人もいるみたいですが、ボクはこの考え方に賛同できません。テークバック前半でヘッドをインに引き過ぎると‥‥クラブはシャフトプレーンの下側(内側)居続けます。こうなってしまうと、テークバックの後半部分で、ヘッドを急激にプレーン上に持ち上げることになるのです。プレーンの下にいたままではトップまでクラブが上がらないからです。インに引き過ぎる人ほど、テークバック後半でクラブを急角度で持ち上げることになって‥‥
・シャフトクロスのトップ
・トップで右ひじが大きく空く
・トップでフェースがオープンになる
そうです。テークバック前半でインに引き過ぎる人は、誤った形のトップを作る可能性が非常に高くなるのです。そして誤ったトップを作るほど、ダウンスイングも誤った形になる可能性が極めて高くなるのです。今、トップの形はレイドオフな状態が良いと言われていますが、テークバック前半でヘッドをインに引き過ぎてしまうと、レイドオフからどんどんかけ離れ、真逆のシャフトクロスになってくるのです。
ヘッドをインに引き過ぎているのか、オンプレーン(シャフトプレーンに沿って上がった状態)になっているのかはテークバックの前半、そしてハーフバックの位置でチェックします。ハーフバックとは飛球線後方から見てシャフトが地面と平行、正面から見てもシャフトが地面と平行なポジションです。
テークバック前半では手元とヘッドはほぼ平行に動きますが(手元よりもヘッドは外側に位置する)、ハーフバックの位置では手元もヘッドもシャフトプレーンにほぼ重なっているのが正しい形。許容範囲としてはヘッドが1個分くらいシャフトプレーンの上下に外れているぐらいです。
ハーフバックの位置でヘッドがプレーンよりも上や下に外れているならば、ボールを打つことよりも、軌道修正が大事です。やるべきことは左手と右手の使い方を正しく理解すること。右手と左手の役割分担を知るのに役立つのがゴルフの竪琴です。両手を写真のように上下、そして間隔を空けてクラブを持つと、左手と右手は同じ方向に動いてはダメなことが直感的に分かってくるからです。
左手は真っ直ぐ平行移動する感じで良いのですが、右手は右ひじを体に引きつけるように動かす。テークバックの始動ととも右手は少しづつ体に近づけていく。ハーフバックの位置では両方の握りコブシが横一直線になっている。これがちゃんとできると、オンプレーンにヘッドが上がりやすくなるでしょう。
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2013年03月25日誰も教えないゴルフスイングのウソ、ホント その2
過去記事↓
良いスイングと悪いスイングはどこが違うのか?
格好いいスイングと格好悪いスイングは何が違うのか?
癖のないスイングと癖があるスイングはどこが違うのか?
自然に見えるスイングと不自然なスイングは何が違うのか?
スイングを評価する場合、身体の使い方とクラブの使い方の両側面からジャッジすることが必要不可欠ですが、ボクがこだわっているのがクラブのポジション。ゴルフは道具(クラブ)の依存度が高いことを考えると、優先順位はクラブのポジションにした方が合理的だからです。
ではクラブのポジションをチェックする場合、まずどこを見れば良いのか?
前回も少し説明しましたが、いいスイングとはスイング中にシャフトの角度が極端に変わらないこと。例えば、アドレスでシャフトとクラブがおりなす角度、いわゆるライ角度が60度だったとしましょう。この場合、テークバックでもダウンスイングでも、そしてフォローでもシャフトの角度が60度前後をキープすること。シャフトプレーンに対して、シャフトがほぼ平行な状態をキープしている時間が長い人ほど、スイングの芸術点、技術点が高くなります。
例えば、タイガー・ウッズ。彼のスイングを見るとシャフトの角度がほとんど変わりません。テークバック前半、テークバック後半はもとより、一番デリケートな部分であるダウンスイング前半もシャフトはシャフトプレーンに対してほぼ平行なポジションになっています。対して、ツアープロでもスイング中に角度が大きく変わる選手が少なからずいます。このタイプのプレーヤーはゴルフは強い(上手い)ですが、スイングの芸術点、技術点は高くありません。また、このタイプのプレーヤーは、総じて調子の波が大きく出やすいです。調子を維持するにはたくさんの練習しなくてはなりません。
では、どうすればシャフトの角度(ライ角度)をキープしたままスイングできるようになるのか?
正しいテークバックの画像
テークバックの前半では、手元とヘッドの位置関係を急激に変えないことがポイントです。ゴルフスイングは円運動と言われてますが、少なくともテークバック前半は、手元もヘッドも、飛球線に沿ってほぼ真っ直ぐ動いていないと、シャフトの角度(ライ角度)はキープできません。アマチュアの多くは円運動を誤解し、こんな感じでヘッドをインに引き、手元が身体から離れています。こうなるとシャフトの角度(ライ角度)はすぐに崩れてしまいます。
悪いテークバックの画像
昔から、「最初の30センチは真っ直ぐ」というセオリーがありますが、これの真意(文脈)というのは、「手元とヘッドをパラレルに真っ直ぐ動かす」「シャフトの角度を変えない」ということなんです。
真っ直ぐ引くなんてやさしいと思うかも知れませんが、中々どうして、これは実際にやると簡単ではありません。インサイドに引く癖がすでについている人の場合、かなりアウトに上げるぐらいでないと手元もヘッドも真っ直ぐ動いてくれないからです。また、真っ直ぐ引くというのを誤解すると、写真のように手元が身体から離れてしまい、それに連動してヘッドが飛球線の外側に上がってしまいやすくなるからです。
ちなみにボクはテークバックの軌道をチェックするのにゴルフの竪琴を使っています。竪琴は右手と左手を離して持つ練習器具なので、クラブを正しいポジションに導くための、両手の役割を理解しやすいからです。
まずはiPhoneでもスマホでも、ガラケーでもいいですから自分のテークバックの軌道をチェックしてみて下さい。アナライズでは2000人以上のアマチュアのスイングが記録として保存されていますが、その80%以上はテークバック直後にヘッドが必要以上にインサイドに上がっています。何年やっても100を切れないとか、ハンデ10の壁を破れない人に関しては、90%以上の人がヘッドをインに引き過ぎていますし、、困ったことに本人にその自覚がまったくありません。
スイングが美しいから良いスコアは出るとは限りませんが、テークバックの前半でヘッドをインに引き過ぎると、そこから先は修整動作の連続になって、インパクトの再現性がかなり悪くなります。練習場のように同じ場所から何発も打てるならば、修整しながらでもナイスショットの数を増やせます。しかしコースのように一発勝負しかできない場合、修整動作が多い人ほどナイスショットが続かないし、ナイスショットの直後にとんでもないミスが出たりします。
次回はハーフバックのクラブのポジションについて説明しましょう。
んじゃ(▼▼)b