マーク金井blog

2013年05月23日アンカリング(アンカーリング)・ストロークが禁止されても、やさしいパターは作れる!!

ついにグリップエンドを体にくっつけて打つ(固定式ストローク)、いわゆるアンカリング(アンカーリング)・ストロークではルールとして禁止する新規則14-1b(アンカリング(アンカーリング)・ストローク)が、2016年1月1日からすべてのレベルのゴルファーに対して適用されることが決定されました。

5月21日ゴルフルール制定団体であるR&A(英ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ)USGA(米国ゴルフ協会)がつい先程同時に発表したからです。これにより、多くのツアープロが愛用した長尺パター、中尺パターというのが事実上、使用できなくなりました。全英オープンを制したE・エルス、そして今年のマスターズを制したアダム・スコットもアンカリング(アンカーリング)・ストロークでしたので、二人ともそろそろパターチェンジ、打ち方のチェンジが必要に迫られています。(アンカリング(アンカーリング)・ストロークをしなければ、中尺、長尺パターもルール適合です)

2013年RBCヘリテージのアーニー・エルス

2013年RBCヘリテージのアーニー・エルス GDOより転載 GDOフォトギャラリーはこちらから

アンカリング(アンカーリング)・ストロークの是非については、いろんな議論が交わされることが予想されますが、クラブアナリストの立場から言うと、中尺、長尺パターの特徴はクラブが長いだけでなk、クラブ重量が重いことです。普通のパターに比べると、長尺パターの多くはヘッド、シャフト、そしてグリップが重くなっています。これによりパター全体の慣性モーメントが増大してパターが動きづらくなりますが、反面、動き出せば慣性の力で動きが安定します。インパクトでパンチを入れたりできません。結果、ゆったりストロークしやくなって(インパクトで手先が余計な動きをしづらくなる分だけ)、高速グリーンでも距離感、方向性を安定させやすくなります。

パターの人気ブランド、オデッセイではすでにアンカリング(アンカーリング)・ストロークが禁止されることを予想してたかのようなパター、アームロックパターとして、
メタルXの#7ダートが市販されて言います。これは41インチと中尺の長さですが、シャフトを左にオフセット(傾ける)ことで、ハンドファーストに構えやすく作られ、パターのグリップ部分をアーム(左腕)に固定することで、振り子のストロークをしやすく作られています。またロンググリップを装着することでグリップ重量も重くなっています。

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限定生産にしたのは、キャロウェイも保険を掛けたかったからでしょう(笑)アームロックパターはまだまだユーザーの間では定着してないし、浸透していないからです。

現在、マーク金井はパターを開発してますが(6月下旬発売予定)、その時にこだわったのがパターの総重量。長さは34インチと普通の長さですが、ヘッド、シャフト、グリップとも重くなっています。ヘッドは350g近く、そしてグリップは133g。普通のパター用グリップに比べると2倍以上の重さです。ここまで重くしたのは、ヘッドに対してグリップ側を重くすることで、バランスを出さないでクラブ全体の慣性モーメントを上げたかったからです。パターを上手く打つコツは色々とありますが、手元側の重量が重くなるようにチューニングすると、クラブ全体の慣性モーメントがアップします。結果、ヘッドだけでなくパター全体を動かすストロークがしやすくなって、距離感や方向性を良くする効果が期待できます。

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市販されているパターのグリップの重量は60g前後

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マーク金井が開発した、通常の長さのパター用ロンググリップは133g

普通の長さのパター(34インチ)でも、グリップ側を重くすれば中尺や長尺パターを使うのと同じメリットがあるのです。
では、なぜグリップ側が重くなると振りやすくなるのか?
これは実際に体験してもらうのが一番確実な方法です。パターとウエッジを用意したら、ヘッドが互い違いになるようにしてクラブを握ります。これで準備が完了、後はボールがカップインするイメージを描きながらパットを打ってみて下さい。ヘッド側に対してグリップ側が重くなれば、ヘッドだけでなくパター全体の重さを感じ取れます。これが感じ取れれば、ストローク中に変なパンチが入ったり、インパクトで緩んで引っかけたり、押し出したりするミスを確実に減らせます。

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パターのグリップ側重量を重くするのには2つはあります。ひとつは、100g以上の重いグリップを装着。もうひとつはグリップエンドに穴を空け、その穴が空いた部分にパター用のシャフトスタビライザーを装着することです。パター用スタビは重さが色々あって、20~110gぐらいの幅で自由に選べます。シャフトスタビライザーならば、今までと同じグリップで手元側(グリップ側)の重量を50g以上楽に増やせるのです。

パッティングでアンカリング(アンカーリング)・ストロークがダメになった今、ツアープロの中には手元側の重量を何らかの方法で増やしていくでしょう。これは自然の成り行きで、手元側の重量を増やすことで、インパクトゾーンで手元をスムーズに動かせるようになるからです。
アナライズでは、パターでは手元側の重量を増やすことが欠かせないことだと感じており、重さを出すためにパター用のシャフトスタビライザ-とロンググリップ(133g)の発売に踏み切りました(パター用グリップは6月上旬発売予定)。手前味噌ですが、短い距離でパットを押し出したり、引っかけのミスに悩んでいる人にはどちらも効果てきめん。ぜひ一度試してみて下さい~。

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PS.パター用シャフトスタビライザーは、こんな感じで装着します~。

専用カッターでグリップエンドに穴を開けます

専用カッターでグリップエンドに穴を開けます

その穴にパター用シャフトスタビライザーを入れます

その穴にパター用シャフトスタビライザーを入れます

 

ドンドン入れます

ドンドン入れます

入りきったら、専用の六角レンチで固定用のビスを回せば出来上がり

入りきったら、専用の六角レンチで固定用のビスを回せば出来上がり


2013年05月22日重心距離が長いクラブを上手く使いこなすコツその2

先週のHP バイロンネルソン・クラシックでは韓国勢のベ・サンムンがツアー初優勝を果たし、国内ツアー「日本プロ選手権」も韓国勢のキム・ヒョンソンが9打差を逆転して勝利を収めました。2人とも体格に恵まれたプレーヤーですが、実は2人にはスイングでの共通点があります。

日本プロを勝ったキム・ヒョンソンプロ。ギャラリーにとても優しいと評判なナイスガイ (写真 内田眞樹)

日本プロ選手権を勝ったキム・ヒョンソン。ギャラリーにとても優しいと評判なナイスガイ カップヌードルを食べて!というリクエストに答えている(写真 内田眞樹)

写真はGDOのフォトギャラリーより転載
今年のマスターズを制したアダム・スコット同様、ドライバーのスイングにおいてはトップでフェースがシャット気味。重心距離が長い、今どきのクラブを上手く使いこなすスイングをしているのです。宮里藍ちゃんほどではありませんが、トップでフェースは斜め45度(スクエア)よりもシャット気味です。
(GDOで彼らのスイング動画をチェックできます)
これでますますシャットフェースの作り方の説明がしやすくなりました(笑)。今回のテーマはテークバック後半からトップにかけてです。昨日のブログにも書きましたが、テークバック前半ではロフトを減らすように心がけると、シャットフェースを作りやすくなります。そのためには、テークバックの始動とともに左手首を反時計回りにねじっていく。これを意識することでロフトを減らしながらテークバックできます。P1030596

シャットに使う感じがつかめない人ならば、シャフトが地面と平行の位置でフェース面が真下を向くぐらいを意識しましょう。バックフェースにボールが乗っかっているとすれば、そのボールがバックフェースから落ちないように心がけるのがポイント。フェースを開いて上げてる人にとってはかなりの違和感が発生すると思いますが、これぐらい極端なことをやらないとシャットに上げていく感じはつかめないのです。P1030599

ロフトを減らす感じがつかめたら、次はテークバック後半からトップにかけてのフェースの使い方ですが、ここでのポイントはフェースをひっくり返しながら上げていくことです。テークバック前半で地面を向いたフェースを、テークバックの後半ではフェースをひっくり返して空に向けていましょう。

ひっくり返す??

一体どういう動きなのかと不思議に思う人も多いでしょう。ことばにすると摩訶不思議な感じがすると思いますが、実は、テークバック後半の動きを言葉にするのが非常に難しいのです。言い回しを返ると、テークバック後半はフェースを縦に回転させていく感じです。
ますます分かりづらい‥‥

実は、このブログを書いている張本人のマーク金井も余計に分かりづらく感じています。フェースをひっくり返すという動きはできてしまうと、「ああ~、ひっくり返すね」と理解していただけるのですが、動きができない人にとっては雲を掴むような日本語だからです。

では、どんなイメージを持てばひっくり返す動きを会得できるのか?

ヒントは野球のボールを投げる時のように手首を使うことです。キャッチボールでも遠投でも構いません。右打ちの人の場合、右手にボールを持ったら振りかぶって下さい。そして振りかぶった時、右手首がどんな角度になっているのかチェックして下さい。

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野球の経験がある人ならば、振りかぶった時、右手首は甲側に折れ曲がり、右手の平は外側を向いているはずです。こんな感じで‥‥

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この右手首の形をトップで作るように心がけると、テークバックの後半でフェースがひっくり返り、トップではフェースが空を向いたシャットフェースを作れるようになってきます。ちなみに野球のボールを持って振りかぶった時、右手首が手の平側に折れ曲がったり、右手の平が自分の方に向いていると、これはオープンフェースになる上げ方。ゴルフスイングにおいても、こんな感じで手首を作るとオープンフェースのトップになるのを避けられません。P1030615

ちなみにゴルフの竪琴を使った場合ならば、取っ手の部分が左手首にずっとくっついたままトップを作りましょ。左手首と取っ手がくっつたままならば、フェースがひっくり返りシャットフェースのトップを作れます。対して、テークバックの途中で取っ手が左手首から離れてしまうと、シャットフェースのトップは作れません。オープンフェースのトップになってしまいます。

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左手首にゴルフの取っ手が当たっていればシャットフェースになる 後方

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トップで左手首に取っ手が当たっていれば、シャットフェースが出来上がる 正面の図

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左手首にゴルフの竪琴の取っ手があたっていないので、フェースがオープンに

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左手首にゴルフの竪琴の取っ手があたっていないので、フェースがオープンに・・

おーっと、新幹線に乗る時間が迫ってきました。この続きは明日します~。
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PS.ゴルフの竪琴は練習器具ですがヘッドが付いているので重心距離がちゃんとあります。フェースは表裏とも付いているので、右利きだけでなく左利きの人にも使えるようになっています~。

 

 

 


2013年05月21日重心距離が長いクラブを上手く使いこなすコツその1

クラブが変ればスイング理論は変る‥‥

昨日のブログでも書きましたが今どきのクラブは重心距離が長いのが特徴です。ドライバーもアイアンも重心距離が40ミリを超えるのが当たり前になってきました。もちろん例外もあって、昔ながらのマッスルバックは重心距離が長くありません。32~35ミリぐらいと短くなっています。FWもヘッドが小ぶりなタイプは重心距離が短め(34ミリ以下)です。

さて、この重心距離。

重心距離が長くなるほどフェースを返すのに大きな力が求められます。そして、クラブ設計家の竹林隆光氏も言っているように、重心距離の違いによっても適したスイングが変ってきます。マーク金井はゴルフ雑誌でもクラブとスイングの関係についてしょっちゅう語っていますが、重心距離が長いクラブはフェースをシャットに使うことが基本であり鉄則です。具体的に言うと、藤田寛之宮里藍、そして昨日、女子ツアー「保険の窓口レディース」で初優勝したO.サタヤのように、トップでフェースが空を向くトップが長重心距離のクラブと相性が良いのです。

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トップでフェースが上を向く(シャットフェース)の藤田寛之プロのトップ

 

長重心距離のクラブはテークバックでいったんフェースを開いてしまうとダウンスイングでフェースがスクエアに戻りづらくなり、インパクトでフェースが開いたままになりやすいからです。他方、テークバック、そしてトップでフェースをシャットに使えば、ダウンスイングでフェースが開きづらくなり、インパクトでフェースをスクエアに戻しやすくなります。フェースをシャットに使うのは、かつては「悪い動き」「セオリーに反する動き」というのが常識でしたが、クラブの重心距離が長くなったことで、この常識はまったくもって通用しなくなりました。

では、どうすればシャットフェースのトップを作れるのか?

ここでも役立つのはXLアイアンとゴルフの竪琴です。フェースをシャットに使うコツはズバリ‥‥テークバックの始動部分で‥‥
ロフトを減らすこと

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フェースが地面を向くイメージ

例えば、7番アイアンを手にしているとしましょう。テークバックの始動とともに7番のロフトを6番、そして5番という風にロフトが減るようにクラブを動かしていきます。そのために左手の甲が地面を向くような感で手首をコックしていくことがポイントです。

飛球線後方から見た場合だと、バックフェースがこんな感じで空を向くような感じでテークバックするとフェースをシャットに使ったことになります。

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シャットに使う感じがつかめない人ならば、シャフトが地面と平行の位置でフェース面が真下を向くぐらいを意識しましょう。バックフェースにボールが乗っかっているとすれば、そのボールがバックフェースから落ちないように心がけるのがポイント。フェースを開いて上げてる人にとってはかなりの違和感が発生すると思いますが、これぐらい極端なことをやらないとシャットに上げていく感じはつかめないのです。

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新しい練習器具。スーパーシャット君はこの練習がしやすいようになってます。(来月にはなんとか販売したい)

ゴルフの竪琴でテークバックする場合は、始動とともに取っ手が左手手首の内側にくっつけていく。取っ手が左手首にくっつけばシャットに上がったことになり、テークバックで取っ手が左手首にくっつかない場合はフェースが開いて上がった感じになります。シャットに上げているつもりでも‥‥取っ手が左手首にくっつかない人は、シャットに上がっていません。

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テイクバック前半が大切です 写真のように竪琴の手元のパイプが左手内側に当たりながらテイクバック

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ここでフェースが完全にこちらを無いてしまうと、フェースは開いてしまいます

当たり前といえば当たり前ですがテークバック前半でフェースが開いたら、シャットフェースのトップを作ることがはできません。テークバックでフェースをシャットに使っている人だけが、藤田寛之宮里藍ちゃんのようにトップでフェースが空を向くシャットをフェースを作れるようになるのです。

2012/03/31 田辺安啓(JJ)/ゴルフダイジェスト・オンラインより

更にシャットな宮里藍 2012/03/31 田辺安啓(JJ)/ゴルフダイジェスト・オンラインより

明日は、テークバック後半からトップの作り方について説明しましょう。
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PS.ゴルフの竪琴は練習器具ですがヘッドが付いているので重心距離がちゃんとあります。フェースは表裏とも付いているので、右利きだけでなく左利きの人にも使えるようになっています~。

 

 

 


2013年05月20日重心距離が長いクラブはなぜ振りづらいのか?

昨日のブログで、ゴルフクラブは進化の仮定でヘッドが大きくなり、それにともなって重心距離が長くなってきたと書きました。ドライバーとアイアンに関しては、この25年ぐらいで重心距離が10ミリ以上伸びてきています。パーシモンドライバーの頃は重心距離が31ミリ前後でしたが、今どきの460CCドライバーは重心距離が40ミリを超えているのがザラにあります。モデルによっては重心距離が44ミリ以上もあったりします。

さて、この重心距離。

重心距離

重心距離とはシャフト軸線からスイートスポット(フェース面上の重心位置)までの距離のことです。通常はヘッド(フェース)を大きくすれば、それに比例して重心距離も長くなります。そして重心距離が長くなるほど、飛距離性能がアップします。正しいタイミングでインパクトを迎えられるという前提においては、重視距離が35ミリと45ミリのドライバーを比較した場合、後者の方が飛び指数がアップします。マーク金井が打ち比べた場合、重心距離が5ミリ伸びてくると、3~5ヤードぐらいキャリーが伸びてきます。
そして、同じクラブ重量で重心距離が異なるドライバーを打ち比べてもらうと、90%以上のゴルファーは重心距離が長くなるほどほとんど振りづらいと感想を漏らします。加えて、重心距離が長くなるほど振り遅れのミスが目立つようになります。なぜ振りづらさに違いが出るかというと‥‥

重心距離が長くなるほどフェースを返すのに大きな力が求められるからです。特に、テークバックでフェースが開く人、トップでシャフトクロスになっている人の場合、重心距離が長くなるほど振り遅れのミスが出やすくなります。重心距離が長いクラブの場合、いったんフェースを開いてしまうと開いたままインパクトを迎えることになるからです。意識するしないにかかわらず、重心距離というのはスイングに多大な影響を与えるのです。

重心距離がスイングに与える影響‥‥

これを理解するには実際に体感してもらうのが一番確実です。アナライズの神田スタジオには世界一番で重心距離が長いゴルフクラブと、世界で一番重いと重られるゴルフクラブがあります。それがこれと、これっ!!

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MSウエッジとゴルフボールと並べるとその大きさがわかると思います

世界で一番重心距離が長いクラブはXLアイアンと呼ばれる練習クラブ。ヘッドの大きさは卓球のラケット以上、テニスのラケット以下という大きさ。日本オープンが古賀ゴルフクラブで開催された時、優勝した片山晋呉はこの超デカヘッドアイアンで毎朝練習していました。フェース面がプラスティックなのでゴルフボールを打てませんが、スポンジボールならば打てます。ちなみに片山プロは金属の板を張り付けてゴルフボールを打っていました。

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構えるとこんな感じ

世界で一番重いと思われる練習器具はモメンタススイングトレーナー。重量は約1150g。非常に重いですがヘッドは昔の7番アイアンぐらいと非常に小ぶりです。重いけれど、こちらは重心距離が非常に短いクラブです。

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測りに乗せて写真を撮ろうと思いましたが、重すぎて計測不能でした(笑)

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どちらもゴルフクラブとはかなりかけ離れていますが、振った時に感じる抵抗の違いがハッキリと感じ取れます。モメンタスは重いので早く振ることはできませんが、振り遅れる感じにはなりません。シャフトを振ることができれば振り切れます。対して、XLアイアンは軽く振っても手に抵抗が強くかかります。フェース面があまりにも巨大なので空気抵抗も大きいですが、それ以上に感じるのがフェースの回転しづらさ。ネック軸回りモーメントが巨大になるため(シャフト軸をしてヘッドが回転しづらくなるため)、テークバックでフェースをいったん開いてしまうと、ダウンスイングで元に戻そうと思っても、なかなか戻ってくれません。

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ダウンスイングはこんな感じになってしまい、フェースが開いたままインパクトを迎えることになります。そして、フェースをスクエアに戻すためには1キロを超えるモメンタムスよりも大きなパワーが必要なことが体感できます。
XLアイアンはこれでもかってぐらい重心距離が長いですが、これでボール打つと重心距離がスイングに及ぼす影響がいかに大きいかを身をもって体感できます。そして、重心距離が長くなればゴルフスイングのセオリーが劇的に変ることも分かってきます。クラブ設計家の竹林隆光さんは自著、「ゴルフクラブの真実」(パーゴルフ新書)の中で、

クラブを無視してスイング理論を論じるケースが多いのですが、基本的にはそれは間違いで、クラブが変ればスイング理論は変るし、クラブがゴルファーのスイングを構築していきます。

重心距離の違いによってもスイング理論は変ります。
(以上、ゴルフクラブの真実から引用)
マーク金井は練習器具マニアでもありますが、野球のバットタイプの練習器具にはまったく興味を示しません。バットタイプの練習器具は重心距離が無いからです。対して、ゴルフの竪琴はゴルフクラブとは似ても似つかないユニークな形状ですが、シャフトの先端にはヘッドが付いていて重心距離がちゃんとあります。重心距離を感じ取ることができるので、竪琴で練習すればスイング作りに不可欠な重心距離をコントロールする感覚も養うことができます。

アナライズにある重心距離のゼロのドライバー。これで打つならバット素振りは有効?!

アナライズにある重心距離のゼロのドライバー。これで打つならバット素振りは有効?!

明日からは、長重心距離のクラブといい関係を築くためのスイング理論について詳しく説明していきましょう。
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PS.ゴルフの竪琴で練習すると、手打ちを解消するために不可欠なハンドアクションを学べます。ダウンでシャフトが寝てしまう人、手打ち癖がなかなか治らない人にオススメです~。

参考過去記事

「今どきのクラブが求める理想的なスイングとは‥‥その1」


2013年05月19日今どきのクラブが求める理想的なスイングとは‥‥その1

今週、キンドルストアから「ロケットボールズ完全使いこなし術」(マイナビ)、発売してから5日ほど経過しましたが、今のところ売り上げランキング2位をキープしています。改めてロケットボールズの人気の高さを感じております。

ロケットボールズは従来のFWに比べるとヘッドが大きく、460CCドライバーとも相性が良いです。投影面積で比べたら、パーシモンやメタルヘッドのドライバーよりも大きいでしょう。大きいヘッドは慣性モーメントが増大してミスに強くなりますが、加えて重心距離も長くなってきます。ロケットボールズ、そしてキャロウェイのXホットは、わざと重心を浅くすることで低スピン弾道で飛び指数を上げてますが、実は、ロケットボールズの場合は重心距離が長くなったことでも飛び指数を上げているのです。

ロケットボールズとパーシモンのドライバー

ロケットボールズとパーシモンのドライバー

重心距離とはシャフト軸線からスイートスポット(フェース面上の重心位置)までの距離のことです。通常はヘッド(フェース)を大きくすれば、それに比例して重心距離も長くなります。ちなみに、テニスのラケットの場合は大きくしても重心距離は変りません。ラケットはシャフト軸線上に重心がある、すなわち重心距離がゼロだからです。野球のバットも重心距離はゼロです。棒状の道具を使う球技で、重心距離が存在する道具はゴルフクラブと、ホッケーやクリケットのスティックぐらいだけです。

重心距離

重心距離に話を戻すと、パーシモンやメタルヘッドの頃のドライバーはヘッドが小ぶり(体積200CC未満)なこともあって、重心距離が35ミリを超えるモデルはほとんどありませんでした。唯一、重心距離の長さを感じたのは、マルマンのスッポンぐらいです。スッポンはわざとネックをヘッドから遠ざけるように作られたドライバー。ヘッドは小ぶりでしたが、ネック位置が意図的に離れているために重心距離が長くなっていました。具体的な数値を上げると、

パーシモン    体積170CC前後  重心距離  30ミリ前後
メタルヘッド   体積170CC前後  重心距離  31ミリ前後
初期チタン    体積200CC前後  重心距離  32ミリ前後
20年前のチタン 体積250CC前後  重心距離  34ミリ前後
10年前のチタン 体積350CC前後  重心距離  37ミリ前後
現在のチタン   体積460CC前後  重心距離  33~45ミリ

重心距離はモデルによっても異なりますが、ざっくりと平均的な数値で比較するとこんな感じです。ゴルフクラブはヘッド素材が変ることで進化してきましたが、実は、素材の変化ととともにヘッドが大きくなり、そして重心距離が少しづつ伸びてきまました。言い換えると、重心距離が伸びたことで多くのゴルファーは飛距離アップを実現できているのです。

重心距離が長くなるとシャフトよりもスイートスポット位置の方が遠くなります。同じ45インチでも重心距離が長い方が、実質的には長いクラブを振っていることになり(結果、打球面のヘッドスピードが上がり)それが、ボール初速のアップさせることにつながります。前述したマルマンのスッポンをはじめ、クラブメーカーの多くは、これが飛距離性能につながるものだとコメントしています。

もちろんこれも一理あるでしょう。1センチ重心距離が伸びてくれば、1センチ長いクラブを振っていくことになって、その分だけヘッドスピードが上がる可能性があります。しかし、たかが1センチ。ヘッドスピードが1m/sもあがることはないです。

では、なぜ重心距離が伸びると飛び指数が上がるのか?

パーシモンのドライバーと重心距離44ミリの今どきドライバーを振り比べると、その答えを窺い知ることができます。アナライズの神田スタジオにはクラブ診断、スイング診断用にマグレガーのパーシモンドライバーがあります。シャフトはもちろんスチール。重量は350g前後と非常にヘビー。タイガー・ウッズが使っているドライバーよりも重いぐらいです。なのに、アマチュアゴルファーに振ってもらうと、皆さん口を揃えて‥‥

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パーシモン時代はスチールシャフト装着が標準だったので、クラブの総重量が350gを超える

 

案外、振りやすい~。

とおっしゃいます。重くて硬いドライバーなのに‥‥重くて振りづらいという人は10人に2人ぐらいです。対して、重心距離44ミリのドライバー(325g)を振ってもらうと、多くのアマチュアは振りづらそうにスイングにします。ヘッドスピードが40m/sぐらいだと、重くて振りづらいと口にされるゴルファーが多いです。

この違いはどこにあるのか?

察しのいい人はもうお分かりでしょう。そうです。パーシモンと今どきのドライバーの決定的な違いは重心距離。ほとんどのゴルファーは重心距離が短いクラブは振りやすく、重心距離が長いクラブは振りづらく感じる。なぜ振りづらさに違いがでるかというと、重心距離が長くなるほどフェースを返すのに大きな力が必要なってくるからなんです。特に、テークバックでフェースが開く人、トップでシャフトクロスになっている人の場合、重心距離が長くなるほど振りづらさが増してきます。

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横峯さくらはテイクバックでフェースが開くタイプ

重心距離が長いほどヘッドを返すのに大きなエネルギーが必要なのは紛れもない事実です。これは物理的にも証明されており、重心距離が長くなるほどシャフト軸周りの慣性モーメントの数値が大きくなります心距離が長くなるほどヘッドを返すのに大きなエネルギーが必要だということは、ヘッドをタイミングよく返せると、ボールには大きなエネルギーをぶつけられることが推察できます。例えば、ヘッド重量が200gのドライバーの場合、重心距離が35ミリと45ミリを比較した場合、圧倒的に後者の方がインパクト時のエネルギーが増すのです(フェースをタイミング良く返せると)。

そして、重心距離が変ってくると求められるスイングも変ってきます。重心距離とスイングの関係については明日からじっくり説明していきましょう~。

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PS.ロケットボールズ用のシャフト、好評発売中!! 純正シャフトよりもタイミングが取りやすく、ミート率が良くなるシャフトです~。マーク金井ももちろん装着して使っています~。

アナライズW65。手元がしなるスイングが良くなるシャフト