マーク金井blog

2013年08月26日プロが小顔の難しいアイアンを好んで使う本当の理由とは‥‥

一昨日、昨日とアイアンのやさしさについて書きました。ドライバー同様、アイアンにもやさしさを求めるならば、LD値が(重心距離×重心深度)が大きいアイアンがお勧めです。この数値が大きいほどミスヒットした時にヘッドのブレが小さく、プレーヤーは芯が広い(正確にはスイートエリが広い)と感じます。ヘッドのブレにくさ(ミスに対するやさしさ)については慣性モーメントの数値で判断されることが多いですが、慣性モーメントの数値が大きくても重心深度が浅いアイアンは当たり負けしやすい特性があるからです。

ただし、やさしいアイアンも万能選手ではありません。ドライバーと違って、アイアンは飛ばすだけのクラブではありません。やさしいアイアンはミスに強く、直進性が強い弾道が打ちやすい反面、球を曲げづらくなります。球の左右に曲げたり、弾道を上下に打ち分けたいプロ、上級者にとってやさしいアイアンは、自分の意志が伝わらないアイアン。球を曲げるには難しいアイアンになってしまうのです。だから、プロや上級者は大きいヘッドではなく、小顔の難しいアイアンやマッスルバックを好んで使っているのです。

P1020888

左から リンクスSSアイアン、ピンG25、ブリヂストン 倉本プロモデル

では、操作性が高い(球を曲げやすい)アイアンとは、どんな形状のアイアンなのか?

一般的にはマッスルバックが操作性が高いと言われてますが、ヘッドデータを計測するとプロキャビ(バックフェースの凹みが小さい)も操作性が高いです。
具体的に言うと、LD値や慣性モーメント値が小さいアイアンはスイートエリアが小さくなる反面、操作性が高まってきます。具体的には

操作性の高いアイアン(球を曲げやすいアイアン)

重心距離    34mm以下
重心深度    4mm以下
慣性モーメント 2300gcm2以下
重心アングル  10度以下
LD値     136以下

操作性が低いアイアン(球を曲げづらいアイアン)

重心距離    40mm以上
重心深度    7mm以上
慣性モーメント 2700gcm2
重心アングル  13度以上
LD値     280以上

球を曲げやすいアイアンと、球を曲げづらいアイアンでは数値が正反対になります。そして球を曲げやすいアイアンはミスに弱く、球を曲げづらいアイアンはミスに強くなっています。言い換えると、ミスに強くて球を曲げやすいアイアンというのは現状では、この世に存在しません。逆もしかり、ミスに弱くて球を曲げづらいアイアンも、この世に存在しないのです。クラブメーカーによっては、「やさしくて、操作性も高い」ことをアピールしているモデルもあったりしますが、その場合は、重心距離、重心深度のスペックが両者の中間ぐらいになっていることが多いです。よく言えばいいとこ取りで、ほどよくやさしくて、ほどよく球を曲げたい人には中間系がオススメです。2013年モデルだと‥‥

プロギア iDナブラブラック

重心距離    37.2mm
重心深度    5.3mm
慣性モーメント 2178gcm2
重心アングル  12度
LD値     197.16

BS ファイズフォージド

重心距離    38.5mm
重心深度    4.9mm
慣性モーメント 2540gcm2
重心アングル  12.8度
LD値     188.65

テーラーメイド グローレフォージド

重心距離    39.3mm
重心深度    4mm
慣性モーメント 2453gcm2
重心アングル  11.6度
LD値     157.2

(ゴルフクラシック 2013年10号より引用)

ちなみに、マーク金井がエースアイアンのひとつとして使っているタイトリストVG3(2代目)のスペックは

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VG3(2代目)

重心距離    43.8mm
重心深度    3.5mm
慣性モーメント 2643gcm2
重心アングル  10.9度
LD値     153.3

(ゴルフクラシック 重心ハンドブックから引用)

となっています。VGは重心距離が43.8mmとかなり長めなのでシャットフェースのトップを作る人と非常に相性が良いアイアンです。マーク金井はシャットフェース大好き人間なので、このVG3を手放せないのでしょう~。

おお~っと、大事なことを忘れてました。昨日のブログで、バンス角が大きいアイアンを使うとスイングが良くなると書きました。バンス角が大きいとソールが跳ねやすくなるためダフりのミスに強くなりますが、反面、練習場のように地面が硬い所で使うと、ソールが跳ねすぎてハーフトップが出やすくなります。そして、バンス角が大きいアイアンはハンドファーストに打たないと、上手くボールを捕えることができません。対して、バンス角が少ないアイアンはすくい打ちをしても上手くボールを捕えることができます。

アイアンですくい打つにはバンス角が小さいアイアンの方が相性が良いですが、バンス角が少ないアイアンを使うとハンドファーストに打つことを覚えづらくなるのです。対して、バンス角が大きいアイアンはクラブがハンドファーストに打つことを求めてきます。

アイアンはハンドファーストで打つのが基本であり鉄則。すくい打ちを直したいと本気で思って入るならば、ぜひともバンス角が大きいアイアンを使うことをお勧めします~。

(▼▼)b

PS.マーク金井が設計したリンクスのナチュラルパターのセカンドロットが入荷2週間ほどで売り切れました。次は8月末に50本だけ再入荷します。今回も数に限りがありますので、ご予約はお早めにどうぞ~。


カテゴリー ゴルフクラブ分析, ライ角

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