一昨日、昨日とアイアンのやさしさについて書きました。ドライバー同様、アイアンにもやさしさを求めるならば、LD値が(重心距離×重心深度)が大きいアイアンがお勧めです。この数値が大きいほどミスヒットした時にヘッドのブレが小さく、プレーヤーは芯が広い(正確にはスイートエリが広い)と感じます。ヘッドのブレにくさ(ミスに対するやさしさ)については慣性モーメントの数値で判断されることが多いですが、慣性モーメントの数値が大きくても重心深度が浅いアイアンは当たり負けしやすい特性があるからです。
ただし、やさしいアイアンも万能選手ではありません。ドライバーと違って、アイアンは飛ばすだけのクラブではありません。やさしいアイアンはミスに強く、直進性が強い弾道が打ちやすい反面、球を曲げづらくなります。球の左右に曲げたり、弾道を上下に打ち分けたいプロ、上級者にとってやさしいアイアンは、自分の意志が伝わらないアイアン。球を曲げるには難しいアイアンになってしまうのです。だから、プロや上級者は大きいヘッドではなく、小顔の難しいアイアンやマッスルバックを好んで使っているのです。
では、操作性が高い(球を曲げやすい)アイアンとは、どんな形状のアイアンなのか?
一般的にはマッスルバックが操作性が高いと言われてますが、ヘッドデータを計測するとプロキャビ(バックフェースの凹みが小さい)も操作性が高いです。
具体的に言うと、LD値や慣性モーメント値が小さいアイアンはスイートエリアが小さくなる反面、操作性が高まってきます。具体的には
操作性の高いアイアン(球を曲げやすいアイアン)
重心距離 34mm以下
重心深度 4mm以下
慣性モーメント 2300gcm2以下
重心アングル 10度以下
LD値 136以下
操作性が低いアイアン(球を曲げづらいアイアン)
重心距離 40mm以上
重心深度 7mm以上
慣性モーメント 2700gcm2
重心アングル 13度以上
LD値 280以上
球を曲げやすいアイアンと、球を曲げづらいアイアンでは数値が正反対になります。そして球を曲げやすいアイアンはミスに弱く、球を曲げづらいアイアンはミスに強くなっています。言い換えると、ミスに強くて球を曲げやすいアイアンというのは現状では、この世に存在しません。逆もしかり、ミスに弱くて球を曲げづらいアイアンも、この世に存在しないのです。クラブメーカーによっては、「やさしくて、操作性も高い」ことをアピールしているモデルもあったりしますが、その場合は、重心距離、重心深度のスペックが両者の中間ぐらいになっていることが多いです。よく言えばいいとこ取りで、ほどよくやさしくて、ほどよく球を曲げたい人には中間系がオススメです。2013年モデルだと‥‥
プロギア iDナブラブラック
重心距離 37.2mm
重心深度 5.3mm
慣性モーメント 2178gcm2
重心アングル 12度
LD値 197.16
BS ファイズフォージド
重心距離 38.5mm
重心深度 4.9mm
慣性モーメント 2540gcm2
重心アングル 12.8度
LD値 188.65
テーラーメイド グローレフォージド
重心距離 39.3mm
重心深度 4mm
慣性モーメント 2453gcm2
重心アングル 11.6度
LD値 157.2
(ゴルフクラシック 2013年10号より引用)
ちなみに、マーク金井がエースアイアンのひとつとして使っているタイトリストVG3(2代目)のスペックは
VG3(2代目)
重心距離 43.8mm
重心深度 3.5mm
慣性モーメント 2643gcm2
重心アングル 10.9度
LD値 153.3
(ゴルフクラシック 重心ハンドブックから引用)
となっています。VGは重心距離が43.8mmとかなり長めなのでシャットフェースのトップを作る人と非常に相性が良いアイアンです。マーク金井はシャットフェース大好き人間なので、このVG3を手放せないのでしょう~。
おお~っと、大事なことを忘れてました。昨日のブログで、バンス角が大きいアイアンを使うとスイングが良くなると書きました。バンス角が大きいとソールが跳ねやすくなるためダフりのミスに強くなりますが、反面、練習場のように地面が硬い所で使うと、ソールが跳ねすぎてハーフトップが出やすくなります。そして、バンス角が大きいアイアンはハンドファーストに打たないと、上手くボールを捕えることができません。対して、バンス角が少ないアイアンはすくい打ちをしても上手くボールを捕えることができます。
アイアンですくい打つにはバンス角が小さいアイアンの方が相性が良いですが、バンス角が少ないアイアンを使うとハンドファーストに打つことを覚えづらくなるのです。対して、バンス角が大きいアイアンはクラブがハンドファーストに打つことを求めてきます。
アイアンはハンドファーストで打つのが基本であり鉄則。すくい打ちを直したいと本気で思って入るならば、ぜひともバンス角が大きいアイアンを使うことをお勧めします~。
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PS.マーク金井が設計したリンクスのナチュラルパターのセカンドロットが入荷2週間ほどで売り切れました。次は8月末に50本だけ再入荷します。今回も数に限りがありますので、ご予約はお早めにどうぞ~。