先週の男子ツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」では、43歳の塚田好宣プロが初勝利を上げ、今週の「つるやオープン」では66歳のジャンボ尾崎プロが初日に「62」のスコアでエージシュート達成。
ゴルフは息の長いスポーツと言われてますが、このベテラン勢の活躍は誰も予想してなかったと思います。ゴルフはキャリア(経験)がモノを言いますが、昨今のトーナメントコースはどんどん距離が伸びています。昔のように、ドライバーは飛ばなくてもアプローチとパターが上手ければ優勝争いできるなんてことはありません。ドライバーの飛距離が260ヤードぐらいだとツアーで通用しません。塚田プロもジャンボも、ドライバーの飛距離は楽に270ヤードを越えています。そして最近の男子ツアーでは、3Wのティショット飛距離が半端無く出ています。テーラーメイドのロケットボールズ(RBZ)やキャロウェイのXホットの3W(スプーン)を手にする選手達の多くは、270~280ヤードぐらい飛ばしています。中には300ヤード近く飛ばすプロもいたりします。
さて、この3Wの飛距離。
昔と比べて飛ぶようになったのには理由が2つあります。ひとつはボールの進化。昔のバラタボールは上手く打ってもスピンが多くかかりましたが、3Wだと3500回転以上出てしまうために、上手く打っても吹き上がって飛距離をロスしてました。それが今どきのスピン系ボール(ウレタンカバー)だと、3Wで打ってもスピン量は3000回転以下に抑えられる。プロのようにドライバーのヘッドスピードが50m/s以上出ていると、スピンを減らせるだけで20ヤード以上、飛距離を伸ばせます。
もうひとつはFWの浅重心&低重心化。
ロケットボールズ(RBZ)もXホットも重心が低くて浅い。これまたスピンを減らす効果があります。男子プロのドライバーの最適スピン量は2200~2400回転でですが、3Wのティショットでもスピン量がこれぐらいになると飛距離が伸びます。ちなみに、先週の東建で谷口徹プロは、10年以上前に市販されたキャロウェイの初代スチールヘッドを使っていました。これまた低重心。スピンを減らせるFWです。Xホットとの違いはヘッドの大きさ。Xホットはヘッドが大きく、初代スチールヘッドはヘッドが小ぶり。谷口は小さいヘッドの方がイメージ通りの弾道が打ちやすいから、今となっては中古ショップで5000円以下で売られている3Wを自分の武器にしているのだと思います。
では、浅重心&低重心FWはアマチュアが打っても飛ぶのか?
答えはイエスでありノーです。ドライバーのヘッドスピードが楽に45m/s以上あるならばスピンを減らした方が飛距離アップを狙えます。その一方でヘッドスピードが42m/s以下の人の場合だと飛距離を伸ばすのが難しいでしょう。ヘッドスピードが遅い人の場合、スピンが減り過ぎてしまうとキャリーが出づらくなるからです。今週も週刊ゴルフダイジェストと週刊パーゴルフでヨネックス i-EZONEのタイアップをお手伝いしましたが、ヘッドスピードによって最適スピン量が異なります。ヘッドスピードが遅い人の場合、キャリーを出すには浮力が必要不可欠。その浮力となるのがスピン量だからです。ヘッドスピードが遅いアマチュアの場合、浅重心&低重心の3Wを使うと浮力不足に陥り、ランは出てもキャリー不足になるのです。
では、どうすればキャリー不足を補えるのか?
答えはロフトにあります。ロフトは打ち出し角を上げる効果があるのと同時に、摩擦力を発生させます。摩擦力というのはスピンを生み出す効果があるのです。例えば、低スピン弾道がオートマチックに打てるロケットボールズやXホットの場合でも、3w(ロフト15度)だとキャリー不足になりますが、5W(ロフト19度前後)ならばロフトで打ち出し角を上げられ、ロフトでスピンを増やせるのです。意外と思うかも知れませんが、ヘッドスピードが42m/s以下のアマチュアの場合でしたら、3wよりも5Wの方がキャリーが出て、一番飛ぶFWになる可能性が非常に大きいのです。
メーカー側もそれが分かっているのでしょう。テーラーメイドの初代ロケットボールズにはこんな3Wもラインアップされています。
HLはハイロンチ(HIGH Launch = 高い打ち出し角)という意味。米国のみを発売ですが3Wのヘッドにロフトを3度増やしたFW。5Wよりもヘッドが大きいので安心感があり、3Wよりもロフトが多いのでヘッドスピードが遅くてもボールが上がります。そして長さも3Wと同じだけあるので、これまたボールの上がりやすさにつながっています。まさに日本人ゴルファー向けなのに‥‥残念なことにテーラーメイドは日本での発売を見送っています。
FWはロフトが少ない方が飛ぶと思っているアマチュアが少なからずいますが、これは大きな誤解です。ドライバーのようにティショット専用ならばともかく、FWは地面から打って飛距離を稼ぎたいクラブ。これを考えると、FWで浅重心&低重心に設計した場合、普通のアマチュアが使うならばロフトを増やすことが必要不可欠です。
ドライバーは表示ロフトよりもリアルロフト(実際のロフト)が多いのが当たり前になっています。ひょっとしたら、近い将来、ドライバー同様、FWも表示ロフト15度で、リアルロフトが17度の3Wが登場するかも知れないですね~。
んじゃ(▼▼)b
PS.FWはシャフト重量も大事!!!マーク金井は最適重量のFWを使ってもらうべくW65を設計しました。ドライバーのシャフト重量が50g台、60g台のゴルファーにぴったりです~。
ロケットボールズFWにぴったりのウッド用シャフト「W65」 好評の専用カラーはこちらから。
【過去記事参照】
「FWが苦手なゴルファーはシャフト重量に注目すべし!!」