毎週火曜日は週刊ゴルフダイジェストと週刊パーゴルフが発売されます。第2と第4木曜日にはアルバ、そして月刊では月刊ゴルフダイジェスト、チョイス、ゴルフクラシック、ゴルフトゥディ、ワッグル、そして隔月刊でビジョン72とゴルフスタイル‥‥米国よりも日本の方が、ゴルフ雑誌の発刊数は圧倒的に多いです。
そして米国ゴルフダイジェストやゴルフマガジンに比べると‥‥国内のゴルフ雑誌はレッスン記事の比率が非常に多い。表紙には「100を切る○○」「速攻、これでスライスは直る」「バンカーショットはこれでベタピン」等々の見出しが所狭しと並んでいます。
さて、このゴルフ雑誌におけるレッスン記事の数々。プロや上級者の中には、「ゴルフ雑誌を読んで上手くなったら苦労しないよ」とか、「ゴルフは読んでも上手くならない」なんてことを言う人がいます。実際、ボクの回りでもゴルフ雑誌を一生懸命読んでいる人の何人かは、残念なスイングをしている人が少なからずいます。また、そういう人の多くは、「スタック&チルト」と「4スタンス理論」はどちらが自分に合っているののか? とか、「あのプロの理論は古い」とか「あの理論は俺には合わない」なんてことを口にしがちです。
そこで今回のテーマは、ゴルフ雑誌のレッスン記事の限界性について。
ゴルフ雑誌のレッスン記事は「正しいのか? 間違っているのか?」と、いろんな人から質問を受けます。この問いに関してマーク金井は、
「レッスン記事はすべて正しいでしょう」
と即答します。何もゴルフ雑誌からの執筆依頼を減らしたくないからヨイショしているわけではありません(笑)。レッスン記事に登場するプロが、わざと間違ったことを言うメリットは何もないじゃないですか。どんなテーマであっても、取材に応じるプロ達は真摯にテーマに取り組み、解決法をアドバイスしています。スライスの直し方しかり。バンカーショットの脱出法しかり。飛距離アップしかり‥‥誤解を恐れずに言えば、間違ったことをレッスンすることよりも、正しいことをちゃんとレッスンした方が簡単だからです。
では、なぜ多くのアマチュアはレッスン記事を読んでもいっこうに上手くならないのか?
それは雑誌記事という表現方法には限界があるからです。例えば、FWを上手く打つにはダウンスイングからインパクトゾーンにかけて、動きのキモは左右の手の使い方にあります。それを言葉にすることこんな感じです。
ダウンからインパクトにかけて、左手は体に近づいて、右手が飛球線方向へ出て行きます。この右手が飛球線方向(前に行く)感覚がないと、FWは上手く打てません。
FWが上手く打てる人にとっては、このフレーズはすんなり納得できますし、勘違いや誤解もありません。ところが、ところが‥‥FWを苦手にしているゴルファーにとっては、この言葉の意味を理解しても、日本語をちゃんと理解しても、動きとして明確に頭にイメージすることが極めて難しいのです。
それは何故か?
例えば、動物の絵を描くことをイメージして下さい、ゾウを一度でも見たことがあるならば、「耳が巨大で、鼻がものすごく長い」と説明されたら、それだけでちゃんとゾウが描けますよね。上手下手の違いはあっても、実際のゾウと似た絵になるはずです。ところがゾウを一度も見たことがない人ならばどうでしょうか。いきなり「耳が巨大で、鼻がものすごく長い」という説明だけでは、ゾウは描けません。と言うよりは想像すらつかないでしょう。頭の中にゾウのイメージが描けない人にとっては、この説明から具体的な全体像が見えてこないからです。もし、この説明だけで実際のゾウを描ける人がいたならば、その人は正真正銘の天才でしょう。
ゴルフのレッスンもこれと同じなんです。前述した左右の手の使い方についても、すでに動きを理解してできる人にとっては「的を射たレッスン」ですが、動きを理解していない(実際にそう動けない)人にとっては、雲をつかむような言葉なんです。そして、大抵の人は言葉の意味を誤解し、本来の動きとはかけ離れた動きをしがち。アナライズには、年間1000人以上のアマチュアが来られますが、スイングがちゃんとできていない人ほど、ゴルフ雑誌のアドバイスを曲解、誤解した状態に陥っているのです。
では、どうすればゴルフ雑誌の記事を役立てることができるのか?
まずは雑誌の記事、雑誌の表現には限界性があることを理解することです。そして、アドバイスを勘違いしないためには、実際にレッスンを受けることです。直接プロからアドバイスを受ければ、曲解、誤解を防げます。実際にレッスンを受けることができないならば、客観的に自分をチェックすること。iPhoneやスマホなどでスイング動画を撮り、アドバイス通りに体が動いているかどうかチェックして下さい。ゴルフ雑誌の記事通りのことをやっているのに、実際の動きが間違っている場合は、そのほとんどはレッスン内容を曲解、誤解しています。
もうひとつの方法は練習器具を積極的に使うことです。アナライズではスイング作りにゴルフの竪琴を推奨しています。竪琴は左右の手を3次元的に離して持つことができます。これにより、前述した左右の手の使い方を勘違いしないで会得できます。もちろん、竪琴を使って練習する場合も動画チェックは必要不可欠です。
ゴルフ雑誌のレッスン記事を読んでも上手くならない‥‥これはゴルファーの理解力に問題があるわけではないと、ボクは思っています。人間は見たこともない、経験したこともないことを‥‥言葉だけでは理解することが出来ない生き物なんです。人間の想像力は無限ですが、ことゴルフスイングの会得においては、その想像力がデメリット方向に働くことが多いような気がします。
んじゃ(▼▼)b
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