先週の女子ツアー、「アース・モンダミンカップ」では、イ・ボミ(韓国)が通算20アンダーで優勝。これで今季2勝目。賞金ランキングもトップに踊り出ました。
イ・ボミのスイングは決して力感は強くありません。コンパクトなトップからゆったりとしたリズムでフィニッシュまで振り切ります。軽くって振って飛ばしている代表的な女子プロです。現在発売中の月刊ゴルフダイジェスト(8月号)でもイ・ボミの飛ばしについて特集が組まれていますが、彼女は、、、、
ヘッドスピード41.3m/sで、平均250y飛ばしています。弾道は典型的なドロー。
アマチュアの場合、イ・ボミと同じヘッドスピードだと平均230~240yぐらいです。ヘッドスピード41m/sで250yも飛ばせるアマチュアはめったにいません。アマチュアが250y飛ばすには、ヘッドスピード44m/s以上必要でしょう。
では、なぜ女子プロはヘッドスピードが速くなくてもボールを遠くに飛ばせるのか?
月刊ゴルフダイジェスト(8月号)でも説明されていますが、PRGRの計測によると、女子プロの多くは、インサイドアウト軌道でなおかつアッパーブローの度合いが大きくなっています。そしてややシャットフェースでドロー(フック)を打っています。対して男子プロの多くは、女子プロほどインサイドアッパーになっていません。男子プロの場合は、インサイド・インでレベルブローに近い人が多いです。
イ・ボミの場合は、インサイド・アウト2度、アッパー2度です。
(月刊ゴルフダイジェスト8月号より引用)
ここまで書くと、フェードよりもドローの方が飛ぶ弾道ということになります。実際、女子プロの場合、ヘッドスピードが速くないプロでフェード弾道で飛ばしている選手はいません。では、なぜフェードよりもドローの方が飛ぶのか?
フェードに比べるとドローの方が落下後のランが出やすいと言われてます。確かにその通りで、ドローの方が低スピン弾道が打ちやすく、スピンが少ない分だけランが出やすくなります。そして、ドローの方が飛びに有利なのはインパクトの迎え方にあります。前回のブログでも書きましたが、
ボールとクラブヘッドが正面衝突した時、ボール初速が上がり、飛距離も出ます。
フェードとドローを比較した場合、フェードはクラブヘッドを左に振り抜く分だけ正面衝突の度合いが減ります。対して、ドローはボールが飛び出す方向に振り抜く分だけ正面衝突の度合いが高くなるのです。
ドローはインパクトでボールを「長く押せる」(インパクトが長い)とか言われてますが、1000分の1秒の高速度カメラで検証する限りでは、フェードもドローもインパクトの長さは変わりません。どちらもインパクトは瞬間(1000分の1秒以下)です。
しかしフェードはヘッドが抜けていく方向とボールが飛ぶ方向にズレがある分だけ(ドローに比べると)、ドローに比べると正面衝突感が薄れます。対して、ドローはヘッドが抜けていく方向とボールが飛ぶ同じになっている時間が長い(フェードに比べると)。結果、正面衝突の度合いが強い分だけボール初速が効率良く上がるのです。
ドローはボールにドロー回転がかかるから飛ぶと言われてましたが、高速度カメラで検証すると、フェードよりもドローの方が、正面衝突している度合いが強いことがハッキリと目で確認できます。
ゴルフは物理です。
アマチュアゴルファーが飛距離アップを狙うのであれば、女子プロたちのようにように飛ぶインパクト(正面衝突)でボールを打つことが必要不可欠です。ちなみに、ドローの打ち方は2つあります。ひとつは、イ・ボミのようなインサイドアッパー軌道。もうひとつの打ち方については、インパクトセミナーで説明しています。もうひとつの打ち方はプロはめったにやりませんが(かなりリスクが高いので)、打ち方を知っていると、もしもの時にすごく役に立つ打ち方です~。
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