ピンの主力ブランドであり、アベレージも意識しているGシリーズ。前作G20から約2年を経て登場したのがG25。モデルチェンジでまず目に付くのがヘッドのカラー。前作はダークグレーだったが、今回はマットブラック。つや消しの黒になったことでG20よりも少し小さく感じる。同社のi20に比べるとヘッドは奥行き方向にストレッチして、重心の深さを感じる形状になっている。
フェース面は面長で大きく。重心距離を短くすることよりも、スイートエリアを広げたい意図が感じられる。ヘッドの大きさに合わせるかのようにフェースは分厚く、その厚みは約60ミリ。対して、バックフェースは超シャロー。重心を深く、かつ低く下げようとする意図が感じられる設計となっている。
クラウンだけでなく、ソール側もガラッとデザインが一新。PINGロゴがソール中央に大胆に配され、トウとヒール側には流線的な処理ががなされている。非常にシャープなデザインだ。大きな変更点として、ANSERドライバーと同じく、G25もシャフトが脱着できるタイプになり、±0.5度でロフト調整が可能になった。
G20と比較すると、同じモデルとは思えないほど大幅仕様変更がなされた、試打したG25は、9.5度の純正SRシャフト(TFC360D)。ワッグルすると手元から中間部分がしなる。硬さの目安となる振動数は245cpm。長さは実測で45.25インチ(ヒールエンド法計測)、クラブ重量は308.1g。手元側が重い(手元重心)シャフトも影響しているのだろう。ヘッド重量が205gあるにも関わらずバランスはD1.5。ヘッドが極端に効いた感じではない。
9.5度表示でリアルロフトは10.25度。フェースアングルはなんと-5度。ヘッドを地面にソールさせると、フェースが開く方向にヘッドがゴロッと回転する。スライサーよりもフッカーの方が構えやすい顔付きは、G20から変わらない。
まずはシャフトの硬さに合せて軽めに打ってみると‥‥ストレートから軽いフェード弾道。これまでのGシリーズ同様、(そもそもPINGの最近のドライバーはすべて)G25も重心距離は長そうだ。ヘッドの返りがゆったりなのでボールが捕まりづらい。弾道は典型的な低スピン。フェース中央付近で捕えると、打ち出し角は12~14度と中ぐらいで、スピン量は2400~2700回転。重心が深いのに重心が非常に低く、低スピン弾道が打ちやすく、前作G20よりもさらにランで飛距離が稼げるように仕上がっている。試しにフェース上側で打ったら、スピン量は2000回転前後まで一気に減った。
フェースは弾き感が強く、球離れは早め。球筋を打ち分けることよりも、オートマチックに直進性の強い弾道が打てる。スイートエリアは見た目通り広く、ミスヒットした時でも左右の曲がりは控えめ。フェースを開いてアウトサイド・インの軌道で打つとボールは全然捕まらない。シャットフェースに上げてインからあおって打った方が方向性が良く、飛距離も出る。弾道調整機能で捕まりをアップさせる方向(+ポジション)に調整したら、ロフトが少し増えて、少しオープンフェースの度合いが弱まる。ノーマルよりも捕まりが少しだけ良くなるが、それでも残念ながらスライサーがドローを打てるほどではない。
シャフトは振動数が示す前作に比べ、軟らかくてしなる。トップからダウンの切り返しでは手元から中間部分がしなり、タイミングが取りやすく仕上がっている。
デザインが大幅に変わっただけでなく、G20よりもさらに低スピン弾道が打ちやすくなっている。オープンフェースの度合いが大きいことを考慮すると、フッカーがさらなる飛距離アップを狙えるドライバーである。
詳しくクラブを計測してみると、ライ角度は59.75度、重心アングルは25.5度とやや大きいが捕まりを重視したドライバーではない。G20同様、G25も重心距離が長い。そしてフェース向きは-5度(ノーマルポジション)。ノーマルポジションだけでなく、捕まるポジションにセットしてもオープンフェースの度合いが強いので、スライサーよりもフッカー向けだ。ちなみに、捕まるポジションにシャフトを装着した場合、フェース向きは-3.5度、リアルロフトは11.75度となる。
シャフトについては、純正のTFC360Dは手元がそれほど硬くない。中間部も軟らかめの設定だ。G20と比較すると、あきらかにシャフトは軟らかく設計されている。長さは実測値で45.25インチ。クラブ重量は純正SR(TFC360D)が308.1グラム。45インチ換算にすると310グラム前後。20~50歳台で平均的なパワーの持ち主でと相性良く仕上がっている。
前作G25に比べるとリアルロフトはそれほど多くなく、普段と同じロフトか、ボールが上がりづらい人は普段よりも0.5~1度増やした方がイメージ通りの弾道が打ちやすいだろう。
ロフトは9.5度の他に8.5度、10.5度、そして12度がラインアップされている。ボールが上がりづらい人や、ヘッドスピードが38m/s以下の人は、12度を使えば高弾道でキャリーを稼げる。弾道調整機能付ドライバーだが、ロフトを4種類出している点はピンらしさを感じる。
シャフトはしなりを感じやすい。硬いシャフトが好きな人や、手元が硬い方がタイミングを取りやすい人は、普段よりもワンランク硬めの方がタイミングが取りやすいだろう。純正SRシャフトのストライクゾーンは41~45m/sぐらいだろう。