レイザーXブラックのモデルチェンジ版として登場したのが、今回試打するX HOTドライバー。300ヤードスプーンで話題になっているFWのドライバーバージョンだ。
ヘッド体積は460CC。レーザーXではチタンとカーボンのコンポジットボディだったが、X-HOTはチタンボディが採用され、ブラック塗装されたヘッドは投影面積が大きく、ヘッドは奥行き方向にストレッチされている。重心深さを感じさせるデザインとなる。
フェースはヒール側に少しオフセットされた感じ。重心距離を短くして捕まりをアップさせたい意図を感じる。そして前作同様、フェースプログレッションが大きめで高弾道をイメージしやすい。
ヘッドとシャフトは脱着式となっており、ホーゼルのリングを回転させることで、オープン、スクエア、クローズと3種類のフェースアングルを選択できる。
試打クラブは9.5度のS。シャフトは純正の「X HOT 60W」。構えるとリアルロフトはそれほど多くないく、10度ぐらいに見える。スクエアポジションだとフェースはほんの少し左を向いた感じで、シャフトはワッグルすると中間部分がクイッと大きめにしなる。Sにしては軟らかめの設定だろう。
シャフトの硬さに合わせて軽めにスイングしてみると・・・「パーン」という中金属音とともに強くボールが飛んでいく。3W同様、フェースの弾きを強く感じ、ヒジョに早い球離れ。もちろんルール適合フェースだが、反発の高さが手に伝わってくる。弾道は中弾道。ストレートボールを意識して振ると、イメージ通りのストレートが出た。前作のレイザーXブラックは捕まりがイマイチだったが、このXホットは捕まりがニュートラルで、直進性のいい弾道が打ちやすい。
印象に残ったのが振り切りやすさ。ヘッドが少し軽めと推測。フィニッシュまで一気に振り切れる。重たいヘッドで力強くボールを叩くタイプでなく、ヘッドスピードを上げて飛距離を伸ばせるタイプのドライバーのようだ。コンピュータで弾道計測してみても、ヘッドスピードが自分の印象よりも1m/s前後上がっているのを確認。スピン量は少なめで、フェースのやや上で捕らえると2000~2400回転ぐらい。キャリーとランで飛距離を稼げる。
フェースの反発が高くて、低スピン弾道が打ちやすいXホット。弾道調整機能でフェースの向きを調整すると、スライサーにもフッカーにも扱いやすく、幅広いゴルファーが非飛距離アップを狙えるドライバーだ。
ヘッドを計測すると、ノーマルポジションだと、9.5度表示でリアルロフトが10度。フェース角が±0度。アベレージゴルファー向けドライバーとしてはリアルロフトはやや少なめ。調整機能でフェースアングルをクローズに調整してみた、フェース角が+2度でリアルロフトは12度となる。フェースアングルをオープンにすると、フェース角が-1.5度でリアルロフトは8.5度となる。調整機能のすべてのクラブがそうなるように、捕まるポジションだとリアルロフトが増え、捕まらないポジションだとリアルロフトが減ってくる。重心アングルはスクエアなポジションで22度。オープンなポジションだと22.5度、クローズなポジションだと21.5度。いずれもドライバーとしてはやや小さめ。恐らく、見た目よりも重心深度が浅いのかも。
純正シャフト(三菱レイヨンと共同開発)は日本仕様を意識した感じで、かなり軟らかい設定。純正Sの振動数は239cpm。手元側が少ししっかりしていて、中間から先端側が軟らかい。典型的な粘り系で、ダウンからインパクトにかけては、ムチのように鋭くしなり戻る。長さはメーカー値が45.5インチで実測値が45.25インチ(ヒールエンド法計測)クラブ重量は302.9gでバランスがD0。45インチ換算重量は305g前後。30~55歳ぐらいの男性で、体力が平均ぐらいの人と相性が良いスペックだ。
最近のアマチュア向けドライバーにしてはリアルロフトが少なめ。フェースアングルをスクエアもしくはオープンで使う人には、普段よりもロフトを1度増やした方がイメージ通りの弾道が打ちやすいだろう。対して捕まるポジションで使う人はリアルロフトが増えるので、普段と同じか、普段よりもロフトを1度減らすことをお勧めする。X HOTに限らないが、弾道調整機能付きドライバーは、フェースアングルでリアルロフトの数値が大きく変わるのは、仕組み上仕方ない。
シャフトはかなりソフト。しっかりしたシャフトを使いたい人は、普段よりも0.5~1ランク硬めのシャフトを選んでほしい。それだと、タイミングが取りやすくなるはずだ。純正Sのはヘッドスピード41~44m/sぐらいか。シャフトは他にも、アフターマーケット用のシャフト、グラファイトデザイン ツアーAD GT-6(S)と、三菱レイヨン ディアマナB60(S)がカスタムシャフトとして用意される。