斬新な白ヘッドで登場した一世を風靡したテーラーメイド。その3代目となるのがR1。名前が11から1になったのは「時計が1回転して、再び1に戻った」からだと、メーカーはコメントしている。前作同様、ヘッド色は目に鮮やかなホワイトだが、クラウン部分後方には派手なグラフィックが施される。これによりクラウンが小さく見える効果を狙い、フェース面を意識しやすくなっているという話。
ソールに目を転じると、クロノグラフの時計のような大きなダイアルが付いている。このダイヤルを回転させるとアドレス時のフェース向きを7段階調整できて、加えて、フェースのトウとヒール側には重量調整ネジが装着。ネジの重量配分を変えることで重心距離を2通り選べる。前作R11Sは80通りのセッティングを選べたが、R1では168通りのセッティングが可能。そしてR1はロフトが可変式。これによりヘッドは1種類のみのラインアップとなる。
ヘッド体積は前作R11Sと同様に460CC。グラフィックは大胆に変わったが、ヘッドのシェイプはR11Sとほぼ同じである。フェースの厚みは約57ミリ。R11Sよりも2ミリほど薄い。そして、ニュートラルポジションでもフェースはかなり開いて感じる。
R1はさらに調整機能がアップしているが、弾道調整できるとはいえ、クラブで重要なのはノーマルポジションでのヘッド性能だ。ヘッド本来が持っているニュートラルなポジションでの飛びっぷりはどんなものなのか?じっくりテストしてみたいと思う。
R1はニュートラルポジションだとロフトは10度。シャフトは純正のTM1-113(三菱レイヨン製)のS。ノーマルポジションでのフェースアングルは-3.5度。かなりのオープンフェースになっている。シャフトはアスリート向けだけあって硬めだ。ワッグルすると手元側が硬く、中間部分が少しだけクイッとしなる。振動数は257cpm。クラブ重量は316.7gでバランスはD3。長さはヒールエンド計測で45.25インチとなる。
試打すると「カキーン」と硬質な金属音とともに、ボールは低めの弾道で力強く飛び出した。ストレート弾道を打つつもりで弾道はフェード。フェース向きがオープンなことが影響しているのもあるが、インパクトゾーンでフェースが返りづらい。捕まりよりも左へのミスを出づらいドライバーである。ロフト調整機能で12度までロフトを増やしてみると・・・これでようやく捕まりがニュートラルになる感じ。R11やR11S同様、このR1でもロフトを増やすとフェース向きはフックの方向に変わるようだ。
弾道は、低重心で低スピン弾道がオートマチックに打てる。ヘッドスピードが遅いと球がドロップしそうで怖いが、ヘッドスピードを45m/s以上に上げていくと、放物線弾道でキャリーとランを稼げる。見た目は重心が深そうだが、実際はそれほど深くないと感じた。
純正シャフトのSは、切り返しで中間部分が少ししなり、ダウンからインパクトにかけてはゆっくりしなり戻る。全体的にはシャフトは硬めだが、叩いた時に左に行きづらい。
弾道調整機能をフルに使うと、捕まりを改善させることが可能、しかしヘッドの基本的な挙動は「左に行きづらい」。この特性を考えると、スライスに悩むゴルファーよりも、左のミスを嫌うフッカーと相性が良いドライバーだ。そしてスピンが多くて飛距離をロスしている人が飛距離を稼げるドライバーではないだろうか?!
計測してみると、ノーマルポジション(ロフト10度)だとフェース角が-3度でリアルロフトが9.5度。ライ角が57.5度。ロフトを最大に減らすと(表示8度)、フェース角は-5.5度となり、リアルロフトは7.75度。ロフトを最大に増やすと(表示12度)、フェース角は一番捕まるクローズポジションに調整すると、フェース角が-0.25度となり、リアルロフトは11.75度まで増えた。メーカー側は可変ロフトをアピールしているが、従来のRシリーズ同様、このR1もロフトを増やすとフェースの向きはフックになり、ロフトを減らすとフェースの向きはオープンになった。現状ではロフトだけを増やしたり減らしたりはできない。残念ながら弾道調整をしても、スライサーがドローを打てるようなスペックにはなりにくい。
つかまりの目安となる重心アングルはノーマルポジションで23度。こちらの方は数値の変化は小さく、最小で22度。最大で23.5度。いずれも平均的な数値だ。重心距離はシャフトを抜いてヘッド単体で計測した場合(カートリッジ装着)、36.5ミリ。体積460CCとしては重心距離は短めで、操作性が高く、ドロー、フェードを打ち分けやすく仕上がっている。
クラブの長さはメーカー値が45.5インチで実測値で45.25インチ(※ヒールエンド法での計測)。振動数は257cpm。純正シャフトのSにしては硬いが、前作R11Sに比べると軟らかくなっている。クラブ重量は純正Sで316.7グラム。バランスはD3。45インチに換算すると320g前後となる。20~50歳ぐらいで、体力が平均的、もしくは平均以上の男性アスリートゴルファーにちょうどいいスペックだ。
可変ロフトなのでヘッドは一種類。ボールが上がりづらいドライバーなのでヘッドスピードが遅い人の場合、高弾道が打ちづらいことと思われる。反面、パワーヒッターの場合、可変ロフトで調整すればリアルロフトをかなり減らせる。吹き上がりを抑えやすいドライバーだ。
シャフトも見栄を張るのは禁物。ボールが上がりにくい人は普段よりも0.5~1フレックスほど軟らかい方がタイミングが取りやすいし、力みも防止できる。カスタム対応として、ランバックス タイプS、ツアーADシリーズ、ディアマナ Bシリーズ、そしてアッタス 4Uがラインアップされている。純正Sシャフトのヘッドスピードのストライクゾーンは44~48m/sぐらいと思われる。