このインプレッションは、2011年11月に書かれたものです。
PINGはアメリカでは非常に売れているメーカーだが、日本では哀しいぐらい売れていない。そんなPINGだが昨年日本でついにアイアンが売れた。それはANSERアイアンだ。しかしANSERは軟鉄鍛造、ネックにセルが付いている、グースが無いと、PINGの通常ラインナップにはない要素ばかり。PINGのカンパニーコンセプトからぶっちゃけ外れているクラブだ。そのコンセプトから外れたら、JAPANマーケットでヒットした。僕はPINGのカンパニーコンセプトを非常にリスペクトしてるだけに、ちょっとフクザツな心境だ
ご存知の通り現在のエースアイアンG15、いろいろ比較したいと思っていたところに、ゴルフパラダイス新橋銀座口店で、ライ角が結構アップライトなカラーコードが”ブルー”のアンサーを発見。いつもの買取保証を保険に衝動買い。まず打ってみて一番感じるのは、軟鉄鍛造だけど2ピース鍛造、ボディとフェイス部分が溶接されている構造。フェイスを薄くしたい場合に用いられるのだけど、こ
の構造にすると、打感は弾く感じで軟鉄鍛造の喰いつく打感ではない。特に30yをPWでアプローチするときなど、フェイスの弾きを感じた。
顔は好みがあるが、大きさはi15と同じぐらいで、軟鉄鍛造のプロキャビティが欲しい人にはピッタリな大きさで、”日本のアイアン”的である。そして9番までは気にならないが、7番より上の番手になると、G15と比較して明らかにミスへの許容度が違ってくる。少し芯を外すとG15なら、グリーン左エッジに残る程度で済むが、ANSERだとバンカーへ入ってしまう感じ。とは言えソールにタングステン
が埋め込まれていて低重心。スピンの少ない強い球が打ちやすい構造となっている。
ゴルファーの所有欲、ゴルファーの浪漫を満たすには充分なクラブであることは間違いない。今人気のレガシーブラックなどと、同じぐらいの難易度。ぶっちゃけマッスルバックを買うぐらいならこれを買ってくれと思うが、本当にやさしさを求めるなら、G15、G20を買って欲しい。PINGのカンパニーコンセプトで残っているのはライ角を含めたフィッティングという要素のみ。これはとても重要なことだが、やはり僕はやさしさを選ぶ。残念ながら当日返品することにした。
PING ANSER アイアン+AWTスチール(S)
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長さ37.75inch/重さ411.8g/バランスD1/振動数320cpm/リアルロフト26度
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