マーク金井の“作らずにいられない!”あるモノなら買えばいい。売ってないモノは作るしかない!というシンプルな開発哲学「第3回 R・5/R・7/R・9 3ロフトパター」マーク金井の“作らずにいられない!”あるモノなら買えばいい。売ってないモノは作るしかない!というシンプルな開発哲学「第3回 R・5/R・7/R・9 3ロフトパター」

開発コンセプト

転がりの良さよりも“距離感”を大事にしたい!

右からロフト5度、7度、9度。
マーク金井が3つのロフトのパターをセットで販売する意味とは!?

■よいパターの条件とは何か?をもう一度考えてみましょう

あなたのパターのロフトは何度でしょうか?

皆さんはよいパターの条件とは、どんなところにあると思っているでしょうか? 一般的に言われるのは、「転がりのよい」パターというものです。もちろん、転がっていくのはパターではなくボールですから、正確には「ボールをスムーズに転がすことのできるパター」というのが、理想のパター像ということになるでしょう。

パターブランドの新製品説明の中にも、インパクトの瞬間からボールが綺麗な順回転を始め「カップ際までスッと伸びていく!」「伸びやかなストロークを実現!」などとありますし、ゴルファーの試打評にも「ショートかな?と思ったのにもうひと転がり(ひと伸び)して入ってくれた!」と、転がりの良さをよいパターとする風潮が確実にあると思います。

マーク金井も転がりが悪いよりは転がりがよいほうがいいだろう、と思います。しかし、毎日のように薄暮や早朝ゴルフをしていて痛感するのは、転がりのスムーズさではなく確実に2パットでいけるパターの大切さなのです。

必ず2パットで収めることを条件とした場合、ショートした時にもうひと伸びがあって、カップインに導いてくれるパターが一番!ということにはなりません。なぜなら、最後のひと伸び効果はショートした時だけでなく、大オーバーパットの時にも等しく発生するからです。オーバーした時には転がりが悪くなる、そんな都合のよいパターは存在していないのです。

では、マーク金井が考えるよいパター、必ず2パットで凌いでいけるパターとはどんなものか? それは「距離感が合う」パターです。1メートルでも10メートルでも、次にプレッシャーなくタップインできるくらいの位置までカップに寄せていくことさえできれば、2パットでいける確率は非常に高くなるのです。

パターにもうひと転がりを期待するシーンとは、思ったよりもショートした時。つまり「距離感」が合っていなかった時ということができます。逆に「距離感」がだいたい合っていれば、もうひと転がりが余計なものに感じられる。そういうことでもあるのです。

結局は、いい転がり・悪い転がりではなく「思ったように転がる」こと。それが最も大事なことなのです。それがマーク金井が転がりのよさよりも、「距離感」を優先することの根拠です。

では、どうすればイメージ通りの「距離感」を手に入れることができるのか? マーク金井の考えを紹介していきます。

ポイントポイント

パターのロフトには距離感を生み出すとともに、
芝面に沈み込んだボールをスムーズにラインに乗せる役割がある。

前回の「作らずにいられないMMアイアン・MMウェッジ」編でも書きましたが、マーク金井が手がけるアナライズオリジナルクラブにはかならず「ロフト角」が明示されています。これはボールを遠くに飛ばす!ではなく、狙った距離にコントロールしていくためにはクラブフェースの「ロフト角」が最も重要な役割を果たすからです。

ウェッジにはロフトが刻印されており、複数のロフトを使い分けることで距離をコントロールしていることは周知の事実です。アイアンも異なるロフトの番手に持ち変えることで細かな距離を打ち分けていきます。ここまで説明すれば、得たい距離に調節するために正しいロフトを選ぶことが、ゴルフゲームの本質であることがわかっていただけると思います。

では、ロフト通りの距離に正しくボールを運ぶために最も重要なこととはなんでしょうか? それがボールをフェースの上にしっかりと乗せることにあるのです。例えば、ハーフトップしてリーディングエッジでボールを突いてしまえば、思惑通りの距離(キャリー)を出していくことは叶いません。イメージした距離に一貫性をもってボールを運ぶには、フェースにボールを乗せることが絶対条件になるのです。

パターもこれとまったく同じ。正しい距離感を作るにはフェースにボールを乗せなくてはいけない。それがマーク金井の着想であり、3つのロフトのパターをセットで販売することになったきっかけでもあります。

筒状のパターヘッドではロフトは0度。
ボールとフェースの接点が「点」になり、転がりは良くなるが、距離感を得るのは難しくなる。

ポイントポイント

全く同じセットアップ、ストロークでパッティングできるように、
ロフト別に専用の金型を作って精密に製造。

3ロフトのパターをセット販売する前段階では、ロフト9度のパターを製作し発売したことがあります。これは一般的なパターのロフト(3度〜4度)ではフェースにボールが乗りにくく、距離感を出しにくいと考えたからです。もちろん、このハイロフトパターは大きな反響を呼び、日本代表選手によってリオ五輪で使用されるなどプロツアーでも実績を残しています。

しかし、1ロフトで全てのゴルファーをカバーできないことはゴルフクラブの歴史が証明しています。いい例がドライバーです。ある人は8.5度、あの人は10.5度、このモデルなら9.5度、今度のモデルは10.5度など、最適弾道を得るためのロフトは一つではありません。パターもこれと全く同じ。使い手やグリーンの状態によって距離感が合うロフトは違ってきて当たり前なのです。

つまり、○度ロフトがベスト!と言い切れない。これが今回5度、7度、9度の3ロフトをセットにして販売することにした最大の理由です。

ポイントポイント

ロフトの違いが転がりにどう影響するかを知っていれば、
それを使い分けることができる。

ドライバーで打つとなぜ一番ボール初速が高くなるのか? それは他の番手よりもロフトが立っているからだと説明することができます。ロフトの大きいショートアイアンよりロングアイアンの方が高初速なのもロフトが立っている、つまりボールをよりフェース正面でとらえボールを潰し切っているからです。もちろん、各クラブの間には長さ、ヘッドスピードの違いが大きくありますが、それが同じであればロフトが立っている方が、エネルギー効率が高く高初速で打ち出しやすくなることは理解していただけると思います。

パターのインパクトでもこれと同じことが起こります。

ロフトがない状態(0度)では、ビリヤードのキューで突いたように高初速でボールを打ち出すことが可能です。しかし、これでは転がりが強すぎて「距離感」を出していくことができません。そこでパターにもロフトをつける。そうすると、ボールがフェースに乗り、その分エネルギーの分散やバックスピンの増加が起こります。そして、わずかにボールに打ち出し角度がつく。これらが総合してイメージ通りのフィーリング(打感・打音)、打ち出す時のスピード、転がるスピードを大きく左右していくのです。

簡単に言えば、ロフト3度より5度、5度より7度、7度より9度の方が同じエネルギーでインパクトした場合は「転がりが悪く」なります。打っても飛ばない状態になっていくわけです。

■3本買っても2本無駄になることがない理由とは?

コーライグリーンの赤羽GCではロフト9度をメインにプレーする、マーク金井。

ここで、3つのロフトのパターをセットで販売する大きな意味が出てきます。

  • ①どのロフトが自分のイメージに合うスピードでイメージした距離に転がってくれるのかを、打ち比べることで知ることができる。
  • ②ロフト毎に金型を変え、構えた時の印象や重さ、振り感を変えないようにしているからこそ、ロフトだけの違いで転がりの違いを確かめることができます。
  • ③ちょうどいい距離感の「ロフト」が決まれば、このコースのグリーンは重たい、速い、最近打てない、最近打ってしまうという時にも、ロフトを変えるだけで対応できます。

実際、マーク金井はベントグリーンのコースでは7度、コーライなら9度という使い分けをしています。ハイロフトパターを使い続けているとハンドファーストが強くなっていく傾向があるため、定期的に一般パターの近いロフトの5度でも練習することで、自分のストロークを整えています。

パターを3本セットで売るなんて、無責任なのでは? と思われる方も多いと思いますが、実際はそうではないのです。自分も変わる、コースも変わる、季節も巡る、そんな中で常に一定の距離感を持ち続けることは簡単ではありません。だからこそ、状況に応じてロフトを選ぶのです。それは、他のクラブ(番手)では普通に行っていること。パターも他の番手と同じように、いえ距離感が全てのパターだからこそ複数のロフトを持ち使い分けていくことが大切だと、マーク金井は考えています。

■コストパフォーマンスではなく、パフォーマンスコスト

改めて考えてみると、同型パターのロフト違いを所有し、自分の状態や季節、グリーンコンディションによって「ロフト」(転がり・距離感)を調節するなどということは、プロゴルファーでもやっていない、ゴルフの歴史上初めての試みかもしれません。

ラウンドでは1本しか使わないのに、その1本を得るために3本同時に買わなければならないのは「コストパフォーマンスが悪い」と感じるかもしれません。しかし、マーク金井の感覚はこれと逆です。3本を同時に所有し時間の制約なく試していくことは、自分の「距離感」に合う条件(ロフト)を見つけるために必要不可欠なことなのです。本当の距離感はゴルフショップのパターマットで数球転がしただけでは分かりませんし、最新の解析機器でスピンの量や方向を調べたところで立ち所に判明するものではありません。最初の投資は3本分かもしれませんが、自分の所有物であればこそ、いつでも、どこでも、何回でも、じっくりとテストをしてその違いを検証することが可能。ここに試打では得られない価値があります。

ウェッジ、アイアンと同じようにパターのロフトにも距離感を決める大切な役割があり、
本当の距離感はゴルフコースでなければ掴めません。

知己のライターさんが、この試みを「パフォーマンスコスト」と名付けてくれました。パフォーマンス(最適)を見極めるために必要不可欠な投資という意味合いです。主はパフォーマンスにあり、コストはそれを得るために必要なもの。そういう順番であれば、最終的な投資額も最小。つまり、コスパがよいということになります。

今現在、あなたの手元には何本のパターがあるでしょうか? 1本しか持っていないという人はとても少ないと思います。ある程度、ゴルフをやっていれば、その都度大きな夢を描いて購入したパターが数本、十数本レベルで納戸の奥に眠っているはずなのです。こちらのほうが「コスパが悪い」と思いませんか?

一般的なパターのロフトは、長い間、3〜4度でほとんど変わっていません。ロフトという観点でみれば、我々ゴルファーはほとんど同じ仕様のものをその都度、「これはいいかも!」「いや、こっちがいいかも!」と試し続けているといえるのです。果たしてこれを続けていて大きな成果、パフォーマンスは得られるでしょうか?

ロフトが5度のパターすら市場であまり見かけることはありません。7度、9度となればなおさら。打ったことがあるゴルファーはプロでもいないと思います。そういう現状であるからこそ、今回、マーク金井は自分で「作らずにはいられなかった」のです。

3ロフトパターを作り、自分でも使ってみてハッキリ言えるのは、これは「最適な1本を決めるための3本ではなかった」ということです。使えば使うほど、それぞれのロフトに必要な役割と活かし方がきちんとあることを実感するのです。

3ロフトパターの活用法については、今後もセミナーやオンラインサロンを通じてじっくりと説明していきたいと思っています。パフォーマンス優先、意味あるパターの「3本持ち」を始めてみませんか?

3ロフトパターの製品ページは、コチラ


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