先週の国内男子ツアー、「全英のへの道~ミズノオープン」は韓国の25歳、ジャン・ドンキュ(張棟圭)が初優勝を飾りました。最終日は序盤からバーディを重ねて「69」。通算15アンダーとして2位のジュビック・パグンサン(フィリピン)に3打差をつけて逃げ切り、日本ツアー参戦4年目にして初勝利を手に入れました。国内女子ツアー、「リゾートトラストレディス」は台湾のテレサ・ルーが、最終日に8バーディノーボギーの「64」のビッグスコアをマークして優勝。2位に5打差の大差をつけてツアー2勝目を手に入れました。
そして、米ツアー「メモリアルトーナメント」では3日目を終えて2打差の単独3位の松山英樹プロが、最終日もスコアを伸ばしてプレーオフに突入。ドライバーを折りながらもケビン・ナとのプレーオフを制して米ツアー初優勝を手に入れました。日本人が米ツアーに勝ったのはこれで4人目。
青木功
丸山茂樹
今田竜二
そして松山英樹です!!!!
マーク金井は初優勝のニュースをSNSで知りましたが、最終日に8バーディー。プレーオフ1ホール目で松山が4メートルのパーパットを沈めたことを考えると、日曜日に9バーディーというのは圧巻です。米ツアー挑戦26試合目で念願のツアー初優勝というのも、日本人最高記録でしょう。
そんな大興奮な月曜日ですから、ブログも急遽書き直しました。
もちろんエントリーは松山英樹プロがらみ。彼が使っているドライバーについてじっくり分析していきましょう。
松山プロはスリクソン(ダンロップ)の契約選手ですから、使っているドライバーはもちろんスリクソンです。ただし最新モデルではありません。
2008年に発売された、
スリクソンZR-30
2008年モデルということは今から5年前のドライバーを、松山プロは今もなおエースドライバーとして使っています。
ちなみにスリクソンはモデルチェンジを続け、ZR-30以降では
ZR-30(2008年)
ZR-800(2008年)
Z-TX初代(2010年)
Z-TXツアー調整機能付き(2011年)
Z-TXツアーP-420調整機能付き(2012年)
Z-525(2013年)
Z-725(2013年)
Z-925(2013年)
Z-725リミテッド(2013年)
実に7モデルも新機種が登場しています。ダンロップだけに限りませんが、クラブメーカーはモデルチェンジ毎に、前作よりも○○ヤード伸びたことをアピールしています。5年前と現行モデルを比較すれば、少なく見積もっても5ヤード以上の差はあってしかるべきです。
にも関わらず、松山英樹プロは5年前に出たドライバー、ZR-30を使い続け、それで念願の米ツアー初優勝を手に入れました。メーカー側としては松山プロが優勝したことは非常に嬉しいことですが、反面、5年も前のクラブを使われて優勝されてしまうと、今のクラブを売りづらくなることは否めません。もしマーク金井がダンロップのドライバー担当だたら、手放しで喜べないです。
では、なぜ松山プロはわざわざ5年前のドライバー、
ZR-30を使いつづけるのでしょうか?
理由は2つ考えられます。
ひとつはクラブの重心特性。ZR-30は歴代スリクソンの中でも異色な存在なドライバーで、とにかく低スピン弾道が打ちやすく作られています。
ヘッド体積 420CC
ヘッド重量 196.2g
慣性モーメント 3957gcm2
表示ロフト 9.5度
リアルロフト 10.1度
ライ角 58度
フェース向き -1度
FP 15.7mm
重心距離 37.4mm
重心深度 33.1mm
重心高(スイートスポット高さ) 31.1mm
第二重心高(有効打点距離) 23.5mm
重心角 20.1度
(以上、ゴルフクラシック2013年度版 重心ハンドブックより引用)
重心特性で特筆すべきことは、
・ヘッドが小ぶりで重心距離がやや短め
・重心(スイートスポット)位置が非常に低いこと
・重心深度が浅く、重心アングルが小さいこと
テーラーメイドが重心が浅くて低いドライバーが「飛ぶ」とアピールしていますが、実は、スリクソンは5年前にすでにZR-30でそれを具現化しています(ただし、テーラーメイドほど、そのことを強くアピールしていません)。実際、マーク金井は発売前、2008年の10月に試打してインプレをGDOのサイトにアップしています。
http://lesson.golfdigest.co.jp/gear/special/impression/gt1000001349801.html
久しぶりに読み返してみても、低重心でスピンが少ないことをレポートしています。フェースセンターでスピン量が2400~2800回転というのはかなりの低スピンドライバー。フェースのやや上で捕らえると2000回転ほどまで減ります。ハードヒッターには吹き上がりづらくてやさしく飛ばせますが、ヘッドスピードが45m/s以下だとボールが浮きづらいドライバーです。そしてテーラーメイドのようにハイロフトを謳っていないので、
アマチュアにはかなり手強い(ボールが上がりづらい)ドライバーです。実際、ZR-30はゼクシオに比べると売れませんでした。
ここからはマーク金井の推察ですが、松山プロはZR-30の低スピン感が気にいったこと、そしてヘッドの挙動がコントロールしやすいことが気に言っているから、長く使っているのでしょう。
もうひとつのポイントは慣れです。ドライバーに限らず慣れたクラブというのは、なかなかチェンジできません。慣れたクラブと慣れていないクラブを比較すれば、慣れた方が意のままに操れるし、振っていて違和感がないからです。松山プロの場合もこの慣れた感覚を大事にしたいから5年前のドライバーを愛用しているのでしょう。
ただし、慣れは怖い部分もあります。あまりにも慣れたクラブを手にしてしまうと、そこから抜け出しづらくなります。結果、クラブの進化を享受しづらくなるデメリットがあるのです。ちなみにクラブメーカーがプロの要求に応えるべく慣れたクラブと似たクラブ(近いクラブ)を頑張って作っても、選手はそれを試すことはあっても、試合で使うこと使うことはなりからです。
その答えは、クラブ設計家、竹林隆光さんが書いた「ゴルフの真実」(パーゴルフ新書)にて詳しく説明しています。興味ある方は、この本を読んでみて下さい~。
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