今年のマスターズを制したのはレフティのB.ワトソン。序盤は同じ組のJ.スピーズがペースを握ってましたが8番、9番で流れが変わりました。スピーズが連続ボギーを叩いた時に、ワトソンは連続バーディー。2ホールでスコアが4打も変わり、それ以降は、ワトソンが安定したプレーで最終ホールまで駆け抜けました。バックナインではワトソンが圧倒的な飛距離でアドバンテージを奪い、スピーズに付け入る隙を与えないまま勝負は幕を閉じました。
特に圧巻だったのが13番ロング。ほぼ直角に左ドッグレッグしているホールでワトソンは果敢にショートカットを狙って成功。ショートアイアンで2オンを果たしてバーディー。対して、スピーズはティショットを右の林に打ち込み、3オン2パットのパーでホールアウト。この時点で3打差を付け、そのまま逃げ切りました。レフティの優勝は過去12年で6度目だそうで、これは他のトーナメントに類を見ません。マスターズは左ドッグレッグが多いのでドローヒッターに有利なコースだと言われてますが、
レフティの場合はフェードが有利なコースとなります。実際、8番、13番でワトソンはフェードで飛距離を稼いでました。
ワトソンがマスターズに勝ったことで、ゴルフ雑誌はワトソンがらみの企画を立ててくると思いますが、一足先にここではワトソンが使っているドライバーについて解説しましょう。ご存じのようにワトソンはPINGの契約プロで、ドライバーについても同社のクラブを使っています。一昨年マスターズを初めて制した時はG20。今回、2度目のマスターズを制した時に手にしたドライバーはG25です。ワトソンは米ツアーでも屈指のロングヒッターですが、彼はスイングだけでなく道具(クラブ)でも飛距離を稼いでいます。
G20
ヘッド重量201.1g
慣性モーメント4967gcm2
重心距離43.4mm
G25
ヘッド重量206.4g
慣性モーメント5282gcm2
重心距離43.3mm
(数値はゴルフクラシック2013年度版より引用)
両モデルとも典型的な今どきのドライバーですが、飛びの要素がきっちり入っています。ドライバーはルールで‥‥
反発規制(CT値257us±18us)
ヘッド体積規制(460cc以内)
慣性モーメント規制(5900gcm2以内)
上記の条件を満たなければなりませんが、ルール適合内でも飛びに有利なスペックというのがあります。それは‥‥
ヘッド重量が重いこと(200g以上)
重心距離が長いこと(40mm以上)
慣性モーメントが大きいこと(4600gcm2以上)
この3つの条件が満たされているドライバーは、満たされていないドライバーよりも飛び指数が高くなります。
ヘッドが重い=反発力UP
反発係数が同じでもヘッドが重い方が衝突エネルギーが増して、ボール初速が上がります。
重心距離が長い
慣性モーメントが大きい
一般に重心距離が長くて重心深度が深いと慣性モーメントが大きくなります。慣性モーメントが大きいヘッドはミスに強い(ミスヒットしてもヘッドがブレにくい)ことがアピールされていますが、実は芯で捕らえた時も飛距離が伸びやすくなります。
ヘッドはシャフトを軸にして回転しながらインパクトを迎えますが、この2つの要素が大きいヘッドは回転エネルギーが大きくなってボール初速を上げてくれます。慣性モーメントが大きいヘッドは回転しづらいため、回転させるのにエネルギーが必要です。回転やすいヘッドよりも、回転しづらいヘッドを回転させた方が、インパクトで当たり負けしづらい分だけ、ボール初速を上げやすくなるのです。
ワトソンは並外れたパワーで並外れたヘッドスピードを出して飛ばしていますが、ゴルフクラブでも飛びに有利な道具を使っています。では、我々アマチュアもワトソンと同じ道具を使えば、飛距離を伸ばせるのか?
答えはYESでもあり、NOでもあります。
その理由については次回、じっくり説明しましょう〜。
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