先週のPGAツアー、ファーマーズインシュランスOPでは石川遼プロが7位タイと大健闘、怪我から復帰した松山英樹プロも最終ラウンドまで進み16位タイ。タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソンが予選落ちする中、2人の日本人選手がツアーで存在感を示してくれました。
そして、存在感と言えば石川遼プロが使っているドライバー。昨シーズン途中からは46インチの長尺仕様です。300ヤードが当たり前の米ツアーで戦うにはこれは非常にクレバーな選択だとマーク金井は思っています。長尺を使いこなすのには技術が求められますが、技術があればクラブで飛距離を伸ばせるからです。米ツアーの選手に比べると体格的に劣る石川プロにとって、クラブを上手く利用することはクレバーな選択だと思います。
さて、今日のエントリーも長尺ドライバーの作り方についてです。
昨日も書きましたが、長尺ドライバーを作る場合、ヘッド重量とシャフト重量が鍵を握っています。46インチ以上の長さで組む場合、ヘッドは190〜195gぐらいの軽めのヘッド好ましいです。200gのヘッドで46インチで組み上げると、バランスが出過ぎるだけでなく、クラブ慣性モーメントも上がりすぎて振りづらくなります。大型ヘッド、重心距離が長いヘッドは長尺と相性が良いですが、ヘッド重量が200gを超えている場合は、長さは44.5〜45.5インチぐらいにしておいた方がいいでしょう。
シャフトに関しては、長尺で組み上げる時は
1インチ伸ばしで5〜10g軽くする
2インチ伸ばしで10〜20g軽くする
のが目安です。これで長くしても振りづらさが解消できます。45インチを振った時と近いフィーリングで振り切れます。少し専門的に言うと、クラブを長くしてもクラブ慣性モーメント(MOI)の数値が大きくなるのを最小限に止められます。言い換えると、シャフト重量が同じままクラブを1インチ以上長くすると、かなり振りづらくなってしまいます(クラブ慣性モーメントの数値が大きくなる)。
では、ヘッド、シャフトを軽くしたら、グリップも軽くすればいいのか?
総重量を軽くすることにこだわならば、グリップの軽量化もありです。一般的なグリップは50g前後なので、40gのグリップを装着すれば、それだけで10gクラブを軽くできます。そして、ヘッドを10g軽くするのに比べるとグリップを10g軽くするのは簡単で手軽です。実際、大ヒットしているゼクシオはモデルチェンジごとにグリップ重量を軽くしています。
ゼクシオ5代目 42.5g
6代目 40g
7代目 38g
8代目 27g
ゼクシオは長尺ドライバーではありませんが、ここ最近はグリップ重量を大幅に軽くすることで総重量を下げています。
では、長尺ドライバーもグリップを軽くすればいいのか?
これは意見の分かれる所で、メーカーによってはグリップ重量を軽くしている所もあります。狙いは総重量を軽くすることと、ヘッドの重さを感じ取りやすくするためです。これをやっているメーカーの場合、ヘッド重量をかなり軽くしています(190g未満の可能性大)。理由は単純。190g以上のヘッドで長尺にした時、40g以下のグリップを装着すると体感的にヘッドを重く感じすぎてしまり、振りづらくなるからです。加えてバランスも必要以上に増えてしまうからです。意外と思うかも知れませが、長尺にした場合、軽量グリップはデメリットが少なからずあるのです。
対して、長尺にはグリップ(手元側)を少し重くするという考え方もあります。これはかなり昔からある考え方で、20年ぐらい前からやっている人が結構いました。マーク金井もグレートビッグバーサを46インチにした時、シャフトの手元側に鉛を10gほど貼りました。総重量が増しますが、この方がカウンターバランスになって振りやすくなるからです。現在はシャフトに鉛を貼るのではなく、60gのヘビーグリップを装着しています。
長尺に組む時はヘッドもシャフトも軽い方がいいのに、
なぜグリップだけ重い方がいいのか?
クラブが長くなると、必然的にヘッド側が手元側から遠ざかります。遠ざかったヘッドに対して手元側を重くすると(カウンターバランスにすると)、ヘッドの重さを少し軽減できるからです。スイングバランスで言うと、グリップを10g重くするとバランスは約2.5ポイントほど軽くなり、20g重くするとバランスは約5ポイントほど軽くなります。実際、スイングしてみても手元が重くなると、
総重量は増すのに、ヘッドが軽く感じる分だけ振り切りやすくなるのです。
クラブ慣性モーメントの数値で考えると、グリップが軽くなっても、重くなっても、その数値は大きく変わりません。クラブ慣性モーメントというのはグリップエンドから遠い場所が重くなるほど数値が大きく変わるからです。もしくはクラブが長くなるほど数値が大きく変わるからです。
マーク金井、毎週月曜はスキーorスノボデー。そろそろガーラ湯沢に到着します。この続きは明日説明しましょう〜。
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