50年前も、現在もアマチュアの慢性病といえばスライス。この25年間で、ドライバーはとてつもなく進化(変化)しましたが、スライスが根絶したという声は聞かれません。ヘッドの大型化によって慣性モーメントがアップしてスイートエリアは広がりました。フェースの反発が上がって飛距離も伸びてきましたが、スライスに悩んでいる人は後を絶ちません。今の技術を持ってすれば、アンチスライスのドライバーが簡単に作れそうなものですが、未だにそういったクラブが表立っては登場していません。スライサー向けのクラブは市販されてはいますが、完全にスライスを止めるクラブは非常に少ないです。
さて、今日もスライサーと相性が良いドライバー選びについてがテーマです。大事なことなので繰り返しますが、ドライバーの場合、打球が打ち出される方向はヘッドの軌道よりもインパクト時のフェース向きの影響が大きいです。このため、スライサーの場合、構えた向きよりも右に飛び出すクラブは相性が悪く、構えた向きよりも少し左に飛び出すクラブの方が相性が良いです。スライサーの場合、いい感じで打つと右に曲がっているスライス回転がかかるので、左に打ち出せるクラブの方が弾道が安定し、良い結果が得られるからです。
そういう意味では、20年以上前に登場したセイコーの初代Sヤードはスライサーにとってお助けクラブでした。フェースアングルは+3.5度。プロ、上級者が嫌う強いフックフェースでしたが、この極端なフックフェースのお陰でアウトサイド・インの軌道でも打球が右に出づらくなり、それがドライバーの安定性、飛距離アップに大いに貢献したのです。
スライスが原因で右OBが多いならば、「何だこりゃ」ってぐらいのフックフェースのドライバーを一度は使ってみて下さい。マーク金井がこれまで最高に捕まる(左に飛び出す)ドライバーだと感じたのは、キャロウェイの四角形ドライバー「FT-iQ」。中古ショップにいけば恐らく数千円で買えますが、アンチスライスを求める人にとっては、10万円の最新ドライバーよりも価値があるドライバーです。
そして、そして強いフックフェースのドライバーは、スライサーのお助けクラブになるだけでなく、アウトサイド・イン軌道を修整するためのとっておきの練習器具にもなるんです。理由は単純、ボールが飛び出す方向が変れば、ゴルファーは無意識にスイング(ヘッド)軌道を変えたくなるからです。一昨日、ダイヤモンドオンラインの撮影で森下千里さんとラウンドしましたが、その時もドライバーが変った途端、彼女のスイング(ヘッド)軌道はガラリと変りました。ロケットボールズを使っていた時は打球が右に飛ぶのを嫌がってアウトサイド・イン軌道が強かったのですが、フックフェースで捕まりの良いグローレに変えた途端、アウトサイド・イン軌道の度合いが徐々に減りました。
ハーフターン後のスタートホール、グローレで打ったドライバーショットは狙いよりも少し左に飛び出し、そこから軽いドロー。狙いよりも左に飛ぶことを知った森下さん、ボールが捕まることが分かってからはアウトサイド・インに振らなくなり、途中からはドローボールでナイスショットを連発してました。
ではなぜ、ボールが左に飛び出すとアウトサイド・イン軌道の度合いが減ってくるのか?
スライサーの多くは、これまでの経験から無意識の内にボールが右に飛ぶを避けようとしてスイングしています。結果、目標方向(構えた向き)よりもボールを左に打ち出したくなり、これがダウンスイングでの上体の早い開き、そしてフォローの左ひじの引けにつながるのです。逆に言うと、スライサーもボールが左に飛び出すようになって引っかけばかり打つと、無意識の内にアウトサイド・インに振ろうとしなくなります。アウトサイド・インに振ったら左野へのミスが出続ければ、今度はボールを目標方向(構えた向き)よりも右に打ちだそうとしたくなります。結果、アウトサイド・インの軌道ではなく、インサイドからヘッドを振り下ろすことになってくるのです。
たかがフェースの向き、されどフェースの向き。
スライサーはとにかくフックフェースが強く、そしてインパクトでフェースが開きづらい(フェースが右を向きづらい)ドライバーを使って下さい。もしくは、コースでプレーする時は左サイドにOBが多い所でプレーする。アウトサイド・インに振りたくないクラブ、アウトサイド・インに振りたくないコースでプレーした方が、練習場でたくさんボールを打つよりもはるかに手っ取り早く、そしてはるかに効率良くアウトサイド・イン軌道が修正され、そしてスライスから卒業できます。
ちなみに、クラブメーカーがアンチスライスのクラブを作らない(作りたがらない)理由は、見栄えが良くないからだとマーク金井は見ています。強いフックフェースのクラブは見た目が良くない。見た目が良くないドライバーはショップのスタッフの受けが悪いですし、実際、強いフックフェースのドライバーはユーザーが好みません。前述したキャロウェイの四角形ドライバー「FT-iQ」はスライサーにはとてつもなく有益なクラブですが、日本市場ではまったく売れませんでした。性能がとてつもなく良くても、悲しいかな見た目が受け入れられないとまったく売れないのがゴルフクラブの現状なのです。これはあくまで仮定ですが、「FT-iQ」はドライバーとしてでなく、アンチスライスの練習器具として売れば‥‥そこそこ売れたような気がします~。
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