第113回全米オープンが始まりました。メジャーでは全英オープンに次に歴史がある大会で、4つのメジャーの中でもっともコースセッティングがタフです。今年も雷雨の影響で初日から波乱の幕開けです。
マーク金井は1991年(ヘーゼルタイン、P・スチュアート優勝)に取材で現地を訪れましたが、驚かされたのがグリーンの硬さ。マスターズのオーガスタがガラスのグリーンならば、全米オープンはフライパンのようなグリーン。とにかく表面が硬くて、受けているエリアを除けばボールが止まる気配がまったくありませんでした。ラフも「なんだこりゃ~」ってぐらい深く、プロでも飛距離を欲張ったクラブを手にすると、チョロとか平気で打ってました。
今年の全米オープンはメリオン。メリオンでの開催は実に33年ぶり。前回大会(1981開催)ではオーストラリアのデビット・ブラハムが優勝してます。ロングヒッターではなくアイアンショットの切れ味に定評があるプレーヤーで、ルーク・ドナルドと同じタイプです。ちなみに日本選手では青木功プロが11位に入っています。そして青木プロと言えば、その前年(1980年)はジャック・ニクラウスと4日間同じ組で回って2位に入っています。
さて、今年の全米オープン。あらゆるメディアで優勝予想が行われていますが、マーク金井的に気になるのは優勝選手の使用クラブ。どんなドライバー、どんなアイアンを使う先週が優勝するのかを予想したいと思います。
全米オープンの中でもメリオンは距離がそれほど長くありません。6996yでパー70。インは3240y(パー34)。白ティぐらいの距離なことを考えると、飛距離よりもアイアンの距離感がスコアに直結します。加えて、スピンコントロールも求められるでしょう。ショートアイアンで打つホールでバックスピンがかかり過ぎると、オンしたボールがバックスピンで後戻りしてグリーンからこぼれる可能性が高まるからです。
そしてメリオンは400ヤード未満のパー4が5つあり、113yのパー3がひとつ。ウエッジが上手い人がスコアが稼げるホールが6つもあります。パー5を加えると、100ヤード以内が上手い選手がスコアを稼げます。
そう考えると、優勝候補筆頭はルーク・ドナルド。2番手はタイガー・ウッズって感じがするので‥‥本命クラブはミズノとナイキ。対抗馬として考えられるのが、タイトリストとピンですね。アダム・スコット、全米オープンになぜか強いアーニー・エルスが優勝争いに絡んできそうな気がします。
クラブ的に見ると、ラフの深さ、スピンコントロールのしやすさを考えると、マッスルバックよりもワイドソールのキャビティ、塚田プロが使っているピンのアイアンは全米オープンと相性が良いと思います。G25を筆頭にピンのアイアンは総じてソールが広めでバンスが強め。ラフでも芝の抵抗に負けづらいからです。加えて、ピンのアイアンはいい意味で鈍感なクラブ。コースセッティングがシビアな時ほど、クラブは少しアバウトな方が余計なプレッシャーがかかりません。高速グリーンに中尺、長尺パターが相性良いのと同じ理屈です。
ドライバーに関しては、フェアウェイバンカーの多さ、そしてタイトなホールレイアウトを考慮すると、ドーンと真っ直ぐ打てるタイプよりも、球筋を打ち分けやすいタイプの方がコースと相性が良いでしょう。具体的には距離が少し短めで、重心深度があまり深くないタイプ。テーラーメイドのR1、ミズノ、ナイキのVRツアーあたりがメリオンと相性が良いでしょう。対して、ピンやコブラのドライバーはちょっと分が悪い感じがします。
パターはグリーンの硬さ、そして強いアンジュレーションを考えるとセンターバランスの大型マレットよりも重心距離があるピン型の方が有利でしょう。キャメロン、オデッセイ、テーラーのピン型パターが大本命です。
メリオンでの過去の優勝者にはフェードヒッターのリー・トレビノもいます。それを考えると、マスターズでプレーオフに敗れたアンヘル・カブレラも優勝争いに加わる確率は大いに高いかも知れません。ちなみに、彼は重心距離の長いドライバー(ピン)でフェードを打つのが非常に上手い選手です。
日本からはアジア予選を勝ち抜いた、松山英樹、藤田寛之、上田諭尉、そして塚田好宣の4選手が出場してます。優勝争いになんとか加わってほしいと思いますが、そこは歴史ある全米オープン。そうは簡単に問屋が卸してくれないと思いますが‥‥活躍を大いに期待しながら明日からもテレビ観戦したいと思います~。
FBに優勝クラブ予想メッセージを受け付けます。当選者には(多数の場合は抽選)マーク金井からプレゼントを贈らせていただきます~。
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