米男子ツアーのメジャー開幕戦となるマスターズがいよいよ開幕しました。初日、石川遼は5バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの71。出入りの激しいゴルフでしたが上々のスタートで、1アンダーの23位。優勝候補筆頭のタイガー・ウッズも2アンダーの13位といいポジションにつけています。
昨年国内男子ツアー賞金王の藤田寛之は7オーバーで87位と大きく出遅れました。プレー後、芹沢信雄とのインタビューで「自分のゴルフをさせてもらえなかった」とコメントしてましたが、まさにこれがマスターズ。オーガスタナショナルのコースはバーディ-、イーグルが捕りやすい反面、ひとつ歯車狂うと、ボギーやダボが止まらなくなるのです。ボクは1993年に現地で取材しましたが、その時はチップ・ベックが最終日に突然崩れ、ベルンハルト・ランガーが1985年に続き、グリーンジャケットに袖を通しました。
今日も6時前ぐらいからTBSの生放送を見てましたが、皆さんにお詫びがあります。それはミケルソンがドライバー代わりにつかっているキャロウェイの「フランケンウッド」について。昨日は体積200CCぐらいでロフトが12~13度と書きましたが、今日のテレビ中継では体積250CC、ロフトは8.5度とアナウンスされていました。ミケルソンがティショットを打つシーンを何度か見ましたが、テレビ画面からは200なのか250なのかの判別がつきません。ロフトも12度なのか8.5度なのかも‥‥見極めるのが非常に難しかったです。
ネットで検索してみたらGDOでロフト角は8.5度、シャフトは三菱レイヨンのフブキK70X。長さは45インチのことです。現地からのレポートなので、スペックは恐らくこれで間違いないでしょう。
写真はwww.golfwrx.com から転載
GDOの記事 P.ミケルソン ドライバーの代わりは“フランケンウッド” ←クリック
ミケルソンはこのフランケンウッドのことを、「小さなドライバーのようで、ドライバーのテクノロジーが詰まっている3番ウッドだ」とコメントしてます。スペック的にはこれはもうドライバーと言えるものです。キャロウェイでいえば1995年に登場したグレートビッグバーサのヘッド体積は250CC。長さは45インチ。発売当初は「こんな巨大はヘッドのドライバー、一体誰が使うの?」と言われたのですが、市場に出回るやいなや大ヒット商品になりました。アマチュアのみならず、多くのツアープロにも支持されました。ちなみに、当時はメタルドライバーやパーシモンもあって、それらの体積は200CC未満だったのです。
では、なぜ昔のドライバーとほとんど同じ体積、同じ長さのフランケンウッドのことを、ミケルソンはわざわざ3番ウッドとコメントしているのでしょうか?
ミケルソンと言えば、2006の同大会で2本のドライバーで球筋を打ち分けてグリーンジャケットを獲得しています。先々週の「シェルヒューストンオープン」ではドライバーを抜いて2本のスプーンで戦うなど常識にとらわれないアイデアでクラブセッティングしていますが、フランケンウッドをわざわざ3番とコメントしたのは‥‥恐らくフェースの厚みがドライバーよりもFWに近いからでしょう。一般にドライバーの場合、フェースの厚みは‥‥
54~60ミリ
ぐらいです。対して、3Wの場合は‥‥
30~36ミリ
ぐらいです。恐らくフランケンウッドのフェース厚は36~40ミリぐらいなんでしょう。フェースの厚みの感じがFWに近いから3Wに近いとコメントしたのだと思われます。そしてヘッド形状のシェイプもドライバーよりもFWに近いのでしょう。テレビ画面からも形状はFWに近いのが確認できました。
フェースを薄くするメリットはいくつかありますが、一番はティアップを低くして打てること。そしてヘッドの入射角度が一定なプロにとってはティアップして打った場合、フェース中央よりも下に当たるミスは出ません。結果、スイートスポットよりも上側で打てるために、低スピン弾道がオートマチックに打てます。加えて、今どきのドライバーに比べるとヘッドが小ぶりなために重心距離が短い。ミケルソンはフェースをシャットに使うタイプではありません。トップでのフェースの向きはスクエアからややオープン気味。重心距離が長いクラブよりも重心距離が短いクラブの方がスイングとのマッチングが良い。これもフランケンウッドとの相性の良さにつながっているのだと思います。
フランケンウッドが市場に出回るのは夏頃だと思われますが、デカヘッド(重心距離が長いクラブ)が苦手にとっては救世主的なクラブになるでしょう。
そして、マスターズをTV観戦していて目についたのがパター。国内ツアーに比べるとフェースインサート(樹脂フェース)を使っている選手が少ない感じがします。石川遼もパターのフェース面は金属のままで、フェース面はミーリング処理されているものを使っています。
3月29日のブログでも書きましたが、
「ミーリングの目の粗さは深いほどボールが潰れてくっつく時間が長くなるので、フェースの向きよりも振った方向に飛び出しやすくなり、細かいほどボールが潰れづらく、球離れが早くなるので、振った方向よりもフェースの向いている方向に飛び出しやすくなります」
「打った時の感触ですが、粗目の場合はボールが潰れるのでボールが柔らかく感じます。細目になるほどボールが潰れづらく、力の伝道率が高くなるので、パターが柔らかく感じます」(以上、ゴールドファクトリーHPからの引用)
ボクは現在パターを試作してますが、確かにミーリングの刻み方を変えると、打感がガラッと替わります。目が粗くなるほど(目が深くなるほど)、インパクトの球離れが遅く、そして打感がソフトになります。そして、ストロークの方向に対してボールが真っ直ぐ転がる感じになります。オーガスタのグリーンは超高速。おまけにグリーンの起伏はポテトチップのように凸凹です。ミリ単位の距離感、方向性を出すには、ミーリング処理されたパターの方が有利だと思って入る選手の方が多いのでしょう。
そして、高速グリーンに対応するにはロフトも重要な要素だとマーク金井は考えています。ロフトが少ないと(3度以下)転がりが良くなる反面、転がり過ぎる怖さがあります。対して、ロフトを少し増やしてやると(5~8度)、インパクトで少しバックスピンがかかるので転がり過ぎません。下りのパットではズルズルいつまでも転がるようなパターでは距離感が非常に出しづらい。バックスピンが少しかかるパターの方が妙に転がり過ぎないので、距離感を出しやすいのです。
オーガスタほどではありませんが、最近は高速グリーンのコースが増えてきました。昨日参加した阪神トレーディングさんのコンペでプレーした春日台CC(奈良県)のグリーンは軽く10フィート出てました。こういう高速グリーンではロフトが多めのパターを使った方が距離感のミスを減らせ、確実に3パットを減らせるでしょう。
んじゃ(▼▼)b