久しぶりにテーラーメイドの「320Ti」を倉庫からピックアップしてきました。私はもう使うことはなさそうなので、マーク金井にプレゼントしたいと思います(笑) ちなみにRが付いていない300 シリーズはUSモデルで、現在のSLE(高反発)ルールでも適合となるモデルです。
「320Ti」は個人的にも思い出深いクラブです。このドライバーが発売されたのは2001年。テーラーメイドのロゴが現在のものに変わり、カッパーカラーだったブランドイメージが精悍な黒基調に変わったのも、この「320Ti」を含む「300シリーズ」からでした。
ヘッド体積別に「300Ti」、「320Ti」、「360Ti」があり、この頃はヘッドの形状もモデル毎に変わっていたので、構えてみればこのヘッドはこういう性格だろうなという判断が打たずとも出来たような気がします。
「300Ti」はディープフェースの丸型で短重心&浅重心で強弾道。スピンも少なめでボールを上げられない人には厳しいヘッドでした。逆に「320Ti」はシャローフェースでいかにもボールが上がりやすそうな形状。「360Ti」は当時としては大型で、いかにもミスヒットに寛容な性能が外見からも滲み出ているヘッドでした。
ヘッド体積が異なるということは、今のゴルフクラブ用語ではお馴染みの慣性モーメント(MOI)の大きさに違いがあるということ。
ヘッドが小さければMOIが小さく、ヘッドが大きいほどMOIも大きい。ヘッドの形状で重心の深さと距離がだいたい決まり、大きさ(体積)で許容性の指標であるMOIの大きさも決まっていた。非常にわかりやすかった時代であると言えます
現在も多くのクラブメーカーでは、基本的には3ヘッド以上の選択肢から最適なヘッドを選択できるラインナップになっていますが、体積は小さくても440cc、場合によってはすべて460ccでインナーウェイトやアジャスタブルウェイトの位置によって性格が変えられていることも珍しくありません。カタチも似たような感じなので、構えてみただけでは性格を類推できない。そんな見極めが難しい時代になっているかもしれません。
それでも15年くらい前のようにヘッド自体の選択肢があまりなく、ウェイト可変やシャフトスリーブの設定でロフトやつかまりを変えましょう! みたいな感じだった頃よりは、ユーザー本位の市場環境にあるといえます。ウェイトやスリーブで行えるのは微調整であり、アジャスタブル機能自体に「合わないクラブを最適に持っていけるほどの劇的なチカラはない」のです。
ゴルフクラブの性格は、本来はヘッド形状や大きさによって決まっていくのが自然だと思いますが、今は複数の素材でヘッドを構成しているぶん、見た目だけでは判断しにくい状況になっています。
形状だけでなく、どこが軽くてどこが重たいか。
つまり、ヘッドのどこが分厚く(重い)・薄い(軽い)のか? どこに重たい素材(タングステン)が使われ、どこにチタンやカーボンなど軽い素材が使われているのかを知り、ウェイト配分のイメージで性格を類推するスキルが必要になってくるのです。
そうは言っても、そんなスキルが必要なのはゴルフ関係者だけです(笑) 一般的にはまずは見た目でつかまりそう、上がりやすそうなどと性格を予想し、実際に打ってみてそのイメージとあまり差がないモデルを選んでいただければよいと思います。
つかまりそうもないのにつかまった! 上がりやすそうなのにローボールしか出ない。そういうクラブはウェイトを動かしても、スリーブを回しても大して良くはなりません。構えやすくて、何の調整もしないで、イメージ通りの高さと方向性でボールを打ち出せる。そんなクラブを選んでいただきたいと思います。
(書き手/高梨祥明)
Youtubeチャンネル マーク金井のオルタナゴルフ ヤングタイマー編「300シリーズ」のアーカイブ動画もぜひご覧ください。