今週の水曜日(1月10日)、テーラーメイドとピンの記者発表がありました。すでにご存じの人も多いかと思いますが、テーラーメイドは主力モデルのネーミングがステルスからQi10に変わり、ピンは主力モデルであるG430の兄弟モデルとしてG430 10Kです。
どちらのモデルにも「10」という数字が盛り込まれてますが、どちらとも10の数字が表す意味は同じです。
テーラーメイド、ピンとも10とは慣性モーメントの数値で1万gcm2のことを差し占めています。ちなみに、10Kというのは10キロ(1万)という意味です。
ゴルフルールでは慣性モーメントは5900が上限ですが、この5900というのは左右の慣性モーメントの数値。両モデルとも左右の慣性モーメントに加え、上下の慣性モーメントの数値を合わせ(足して)1万にしています。なので、ルールの上限は超えておらず、ルール適合クラブです。
さて、この慣性モーメント。
数値が大きいほどに芯を外して打った時、ヘッドがブレにくくエネルギーロスを軽減できます。慣性モーメントが大きいほどミスしても左右の曲がりが少なく、スピン量の増減が出づらく、飛距離と方向性が安定するメリットがあります。テーラーメイド、ピンともこの点を大々的にアピールしています。
こう書くといいことずくめのように思えますが、実は、そうとも言い切れない部分があります。
アナライズには世界で一番巨大なヘッドのアイアン(XLアイアン)というのがあります。普通のアイアンよりも20倍以上大きなヘッドで慣性モーメントは超巨大です。これを振ると、、、、ほぼすべての人が振りづらいとコメントします。
何故かと言うと、慣性モーメントが大きくなるほどにシャフトの軸線から重心の位置が遠ざかり、偏重心の度合いが増してくるからです。
慣性モーメントを巨大にするという意味では、テーラーメイドもピンも劇的な進化を遂げています。これは紛れもない事実ですが、ミスに対する強さとトレードオフに振りづらさというのが増す場合が少なからずあるのです。加えて、振りづらさはヘッドスピードの上げづらさを招く恐れもあるのです。
ゴルフクラブは物理で進化してきましたが、物理的な進化が必ずしも振りやすさにつながるとは限らないのです。ここがゴルフクラブを設計する上でのジレンマではないかと超私的に思っています。
加えて、ドライバーだけが飛び抜けて慣性モーメントが大きくなってしまうと、上手く使いこなせる人と、上手く使いこなせない人とが出てきやすくもなるのです。この続きは近々、YouTubeでじっくりと説明致します。
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