アナライズオリジナル『バンパードライバー』にスチールシャフト(N.S.950DR/X)を挿れて試してみた。シャフト軸とヘッド重心が大きくズレていない特殊なドライバーである。
テニスのラケットのような直感的な使いやすさで、フェアウェイの吹き流しエリアにティショットを運んでいく「ターゲットゴルフ」にはうってつけだろうと考えたのだ。フェース面の管理がしやすい短重心ヘッドと、重めで短く安定して振りやすいスチールシャフトのコンビネーションである。絶対に思い通りのボールが打てる! そのはずだった、、
しかし、結果はそうはならかった。
220〜230ヤード先のターゲットを明確にし、そこに向かって気持ちよくボールを打ち出していく。そうすると想定よりも20ヤードくらい左に着弾してしまうのだ。ターゲット方向にボールを打ち出すには、それよりもかなり右(20ヤードくらい右)に打ち出すイメージを持たなければならなかった。
とにかく、自分が気持ちよく振ってしまえば安定して左に飛び出していく。その一貫性は目を見張るものがあったが、狙った方向に打ち出せないのは意外だったし少し残念でもあった。しかし、同時に「ボールが左に出てしまう原因は、自分のスイングにあるのだろう」とも思った。
ゴルフを始めて30年以上、とくにこの20 年は重心距離が長い大型ヘッドで狙った方向に打ち出すために、自分でボールをつかまえる術を身につけてきたのである。いきなり、バンパードライバーならその必要はありませんよ!と言われてもすぐに対応できるわけがない。ヘッドでつかまえる+自分もつかまえる=つかまりすぎて左に飛ぶ。そういう図式になっているのだろうと思ったのだ。
ドライバーヘッドの大型化&長尺化が進む毎にシャットなバックスイングやら、シャローイングなど新打法が編み出されてきた。これらはつまり、普通に振ったらつかまりにくい道具でしっかりボールをつかまえ、コントロールしていくための術(工夫)。ゴルフの上達とは、進化し続ける道具に自分(スイング)をアジャストしていくこと、とも言えるのだ。
上手い人ほど道具に合わせる能力に長けている。
あるいは道具に合わせるための練習を惜しまずにやっているものだ。テニスラケットのような扱いやすいドライバーは、逆にこれからゴルフを始める、あるいはゴルフを始めたばかりの人にとっては、振りやすく、直感的に当てやすい「オルタナティブ」なドライバーになる可能性が高いのではないだろうか。
テーラーメイドの『ミニドライバー』などもヘッドが小さいから上級者用に感じるが、実はその逆で大型ドライバーに慣れきっていない初心者がトライしてこそ使いやすさを感じ、よい結果が出る道具なのではないかとも思った。
別視点で現象をとらえる。だんだんオルタナティブな思考が身についてきたようである。
(書き手/高梨祥明)