マーク金井のスコットランド、ひとりゴルフ旅は無事に終了したようである。5日間で8コースを手押しカート、あるいは担ぎでラウンドするというのはなかなかハードな行程だ。マーク金井と筆者は年齢が一回り違うが、自分が12年後同じことができるとは到底思えない。
いや、今やれ!と言われてもきっと無理だろう(笑)
さて、これはこれからマーク金井自身がBLOGやYoutubeでじっくりと発信していくことだと思うが、ゴルフ発祥の地スコットランドでのゴルフは、我々日本人が普段慣れ親しんでいるゴルフとはかなり違うモノである。スコットランドのリンクスを数コース巡れば、そのことがすぐにわかる。
その最たるものがドライバー(ティショット)の飛距離に対する感覚。
彼の地では1ヤードでも遠くへ!という気持ちでドライバーショットを放っても、ほとんどいいことがない。左右に曲げてしまえば即ロストになるし、他のプレーヤーや散歩している地元の人を危険に晒す可能性もある。そして首尾よくフェアウェイセンター方向に打てたとしても、そのライン上にボールが止まってくれているとは限らない。
ど真ん中に落ちたはずのボールが硬い傾斜に弾かれて、深いラフの中やポットバンカーに吸い込まれていることも珍しくないからだ。それさえ、ホールを重ねるうちに「ロストにならなかっただけでも良かったな」という感覚に、どんどんなっていく。雨風が強ければなおさらだ。
ティショットの優先順位は飛距離を稼ぐことではなく、フェアウェイの幅に確実にボールを止めること。
レギュラーティで回っているぶんには、ラン込みで200ヤードも飛べばボギーオンペースでは回っていける。もちろん、その大前提はフェアウェイにボールがあることだ。日本においてマーク金井が提案し、自ら実践している短尺スチールドライバーを用いた“オルタナティブ”ゴルフは、日本の感覚ではまさに別提案といえるが、おそらくスコットランドのリンクスではこれがスタンダードなスタイルだろう。
マーク金井は変わっていることをやっているように見えて、実はスコットランドでも通用するゴルフを普段からやっている。そういうことになるのだ。
筆者のゴルフレベルでも。スコットランドでゴルフをしている最中は、ドライバーの飛距離よりもフェアウェイに置いておくことを優先した。グリーンをオーバーさせるくらいなら、手前でいい、そして見えるバンカーには入れないように。そんなことを考えながら、安全なゴルフを目指した。いや、自然にそうなったのである。
筆者のゴルフレベルでは。スコットランドから帰国して最初に日本のゴルフコースのティ
に立った瞬間、「飛ばしてやるぜ!」と思ってしまった。日本においてはおそらく、飛ば
しにかかっても問題が少ない。だから、不安なくドライバーを振りちぎっていける。環境
がゴルフのスタイル、ショットの優先順位を変えてしまうのだ。これもまた自然に。
でも、この原稿を書きながら薄々は気がついているのだ。日本でも、スコットランドと同
じような優先順位でゴルフをやれば、平均スコアが確実によくなる。
それはアメリカのコースでも同じ。難易度の高いコースならなおさら、フェアウェイにティショットを止めることが重要になってくる。距離的に飛ばさないときつくなるのなら、一つ前のティを選べばいいだろう。USGAの提案している「Tee it forward」運動もきっとそういうことだ。
マーク金井が「オルタナティブ」と言っているゴルフだが、実はスコアメイクのためには
これが正攻法。
フェアウェイが広かろうが、狙った距離と範囲にボールをしっかりとティショットを打っていく。ボールを止めていく。そういうことができれば、世界のどこでも、初めてのコースでも、ゴルフを楽しめるのである。
現代主流の飛ばし追求ゴルフの方が、本来のゴルフからすれば「オルタナティブ」である
。そのことに(もはやハッキリ)気づいているが、あまり考えないようにしている(笑)
(書き手/高梨祥明)