筆者は日頃、「Turf Aid(ターフエイド)」と銘打ち、美しいゴルフコースをプレーヤー
の手でキープしていくための情報を発信している。
とくに最近はコロナ禍以降に激増したといわれる新しいゴルファーに対して、「目土」や「バンカー均し」、「グリーンのピッチマーク直し」を最初からショットの一部として捉えてもらうことができないか? と行動の意味を知らせるポスターを作ったり、目土ボックスに立てる案内板を作ってみたりしている次第である。
先日、マーク金井とプレーヤー自身が目土する、ということについて雑談をしていた時に、浮かび上がってきたのが「プレーの段取り」という言葉だった。目土作業を行うのは、上手くなってからでもいい。最初はプレーに時間がかかるのだから、目土などはしないでとにかく急げ! そんな考え方がゴルフ界では支配的だ。
でも、ディボット跡に砂を入れてつま先で平らに均すのに、実際は5秒もかからない。
目土がスロープレーを招くのではなく、元々スロープレーの上に、目土の数秒をプラスするから余計に遅くなる、これが真相である。何が言いたいか? つまり、そもそものスロープレー状態を何とかしなければ、いつまで経ってもプレーに余裕なんか生まれず、自分の手で目土をするレベルには達することが出来ない、ということである。
そこで、出てきたワードが【スコアメイクの段取り】である。
マーク金井は先日、マグレガーゴルフクラブで「一人セルフプレー」イベントに参加した
そうだが、その時にも【段取り】の大切さを感じたという。
一人プレーでは、ショットだけでなく、進行管理、安全管理、バンカー均し、カートの運転、ゴルフクラブの管理などプレーに関わるすべてのことを自分自身で段取りよく進めなければならない。たとえば、セカンドショット時やパッティング時にどこまで乗用カートを進めればいいのか? そういったショット以外のことが進行に大きく影響し、スロープレーを招く原因となってしまうのである。見ている限り、段取りよくカートを進められているプレーヤーはいなかったという。
この時、マーク金井が推奨したのは、ボールのあるラインよりも少しだけ前方(グリーン
方向)にカートを停車させ、カートを降りてからボール地点まで小走りに戻っていって打
つ方法だ。カートが少し前にあれば、たとえチョロを数回打ってもカートを後方に置き去
りにすることはなくなるし、首尾よく一回でナイスショットできれば、カートまでご機嫌
で駆けていけばいいだけだからだ。
また、【段取り】ひとつで大叩きも防ぐことができるという。その極意は、ミスを重ねな
いということに尽きる。
たとえば、ティショットをチョロしてしまった時に、あなたならどう考えるだろう。起死
回生のリカバリーショットを夢見てフェアウェイウッドを手にするのか? あるいはライ
コンディションを冷静に見極め、2打目はとにかく3打目が打ちやすい50ヤード先の平らなフェアウェイに運ぶことに専念するだろうか? このミスした後の【段取り】がスコア、そしてプレー時間にも大きく影響するというのである。
ミスショットが出てしまうのはゴルフの宿命と考えて、やさしいゴルフクラブをキャディ
バッグに入れておくことも、大切な【段取り】だとマーク金井はいう。
ダフってもソールがヘッドの振り抜けを助けてくれる、やさしいソールのアイアン(MMアイアン)。グリーン周りから大きなミスなく寄せられるアプローチ専用クラブ(R25ランニングウェッジ)を自ら開発したのも、ミスを重ねないための段取り(備え)なのである。
【スコアメイクの段取り】について、ちょうどよい内容の動画がアップされているのでこ
ちらもぜひ参考にしていただきたい。
(書き手/高梨祥明)
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