ゴルフには、クラブにまつわる都市伝説、神話、信仰みたいなものがある。
軟鉄鍛造は打感がいいとか、大型ヘッドは飛距離が出るとか…、
スイングウェイトはD0が基準!などというのもその類いだろう。スイングウェイトは、簡略化して“バランス”とも呼ばれている。一旦取り憑かれると非常にやっかいな“数値”である。
そもそもスイングウェイトとは、あまりクラブのパーツに選択肢がなかった時代の苦肉の
策といえる。ヘッドはパーシモン、シャフトはスチール、グリップはレザーか分厚いラバ
ー。パーツが選べない時代に“振りやすさ”や“扱いやすさ”を変えるには、シャフトを短くするか、ヘッドを少し削る/鉛を貼ったりするしかなかった。
そして、切ったり、貼ったりした結果を可視化する方法として、バランス計なるものが開発され、あたかもその数値を揃えればどんなクラブでも同じ振り心地になる!みたいな伝説、“勘違い”が広く浸透していくことになるのである。
しかし、総重量300gのD0と270gのD0が同じ振り心地ではないことは、ある程度ゴルフ経験がある人にとっては周知のことだと思う。
スイングウェイトの数値は、現代ではメーカーの品質管理(同じものをたくさん作る)のために活用されているくらいであって、同じ振り心地を揃えるための「基準」としては機能していない。なぜなら、ヘッド、シャフト、グリップの選択肢が豊富で、その組み合わせは無限大だからである。
昔と今は状況が違う。そこのところは承知しておいてもらった方がいいだろう。
この間、マーク金井がスイングウェイトではなく「バランスポイントを気にして欲しい」
と言っていた。バランスポイントとは、ゴルフクラブをやじろべいの要領で指の上でバラ
ンスを取った時に、ちょうどグリップとヘッドが水平に釣り合う「重心点」のことだ。
この「重心点」がヘッド寄りか、グリップ寄りかで、“振り心地”がかなり変わってくるのである。
この「重心点」には、いくつかの法則がある。
1 同じ長さでシャフトを重たくすると、「重心点」は手元寄りに移動する。
2 同じ長さでシャフトを軽くすると、「重心点」はヘッド寄りに移動する。
3 同じヘッド、シャフトでグリップを重たくすると「重心点」は手元寄りに移動する。
4 同じヘッド、シャフトでグリップを軽くすると「重心点」はヘッド寄りに移動する。
例えば②のシャフトを軽くしたケースでスイングウェイトを計測すると、元々のDバラン
スがCバランスになっていたりする。これを見て、Dバランスに戻そうとヘッドに鉛を貼るとどうなるか? クラブの「重心点」はますますヘッドに寄って行き、かなり「振り重たい」ものになってしまうのだ。数値上は同じD0であっても、である。
マーク金井は、ビバ!短尺スチール〜の一言で済ましているが、これを上記の例に当ては
めると、次のようになる。
▪️短尺化することで「手元重心」に。
▪️ミッドサイズグリップ(重たく)で、さらに「手元重心」に。
総重量が350g以上あるスチールシャフトドライバーを軽々と振り切れる秘密が、この超ともいえる「手元重心」化にあるのだ。都市伝説的な総重量やスイングウェイトの概念からすれば、とてもアマチュアでは使いこなせそうにないスペック(重さ/バランス)の短尺スチールドライバーだが、その実態は逆なのだ。
アマチュアでも安定して扱える、振りやすくて実戦的なドライバーにするために、短く・
重たくなっている。大切なのは数字ではなく、体感、そして芝の上(ゴルフコース)での結果である。
(書き手/高梨祥明)
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