昨日は、午後から浦和ゴルフ倶楽部で9ホールのラウンドから、ピンの新しい本社を見学してきました。浦和でのラウンドはもちろんピンの最新モデルである、G400シリーズのドライバー、FW、UT、アイアンの試打です。先週金曜日も国内メーカーの新製品を赤羽ゴルフ倶楽部で試打したので、1週間で2つのメーカーの新製品をコースでじっくりテストしました。
G400ドライバーは、前作同様、3つのことなるヘッドがラインアップされています。スタンダードなG400、より低スピン弾道が打てるLS-Tec、スタンダードよりも捕まりが良いSF-Tecです。3つのモデルに共通コンセプトは3つ。
3つのチカラでブレずに飛ばせ!
・ブレない(前作よりも約3%高いMOI)
・抵抗しない(前作よりもさらに空気抵抗の軽減)
・反発する(前作よりも約16%たわむフェース)
(以上、メーカー資料より引用)
そして、今回の最大の特徴とも言えるのがヘッドサイズの変更です。これまでのピンはルール最大級460CCのヘッド体積でしたが、今回は3モデルとも445CC。15CCのサイズダウンがなされています。これによりヘッドの投影面積が小さくなり、前作に比べるとシャープな印象になりました。ただし、ピンのドライバーの前作は460CCの中でも投影面積が図抜けて大きかったので、445CCになって他社の460CCと似たような感じになっています。
実際に打ってみて感じたのは、3モデルとも前作(Gシリーズ)に比べると、捕まりが良くなっています。Gシリーズは見た目が大きく、重心距離もそれに比例してかなり長くなってました。ゴルフクラシックの重心データによると、Gドライバーの重心距離は43.6ミリで、重心深度は43.4ミリ。慣性モーメントが非常に大きいのですが、反面、フェースが返りづらいために、ボールが捕まりづらく感じる時がありました。
対して、今回試打したG400シリーズはサイズダウンした分だけ、重心距離、重心深度とも少し数値が小さく(短く)なっている感じが手に伝わってきます。ストレートを打とうとすればストレート、フェードを打とうとすればフェード、そしてドローをイメージしてスイングすれば、狙い通りのドローが打てました。ここからは超私的な分析ですが、前作(Gシリーズ)だと、「ボールが捕まりづらい」「右にスッポ抜ける」というユーザーからの声をフィードバックした結果、ヘッドサイズを少し小さくすることで、捕まりやすくチューニングしたのだと思われます。他のメーカーもそうですが、新製品を作る場合、現行モデルのデメリットを解消するチューニングがなされることが多いです。
さて、今回のエントリーは超私的な新製品の試打の仕方についてです。クラブメーカーは新製品が出ると、メディア向けに記者発表、新製品試打会を実施します。マーク金井も記者発表に顔を出していますが、メーカーが用意した場所、練習場ではなるべくボールを打たないようにしています。打たないようにするために、打てないような服装をすることも少なからずあります。
試打会場でボールを打たない(正確には打ちたくない)のは、ボールが普段と違うことが多いからです。説明するまでもありませんが、ゴルフはクラブとボールが衝突することで飛びます。ボールが普段と違うと(特に練習場専用ボールだと)、飛んでいく弾道がクラブによるものなのか、ボールによるものなのかのジャッジが非常に難しいからです。
なので、新製品を試打する時は、室内ならばなるべく神田のスタジオで打ちます。神田のスタジオならば普段と同じボール(スピン系ボール)ですし、計測器も普段と同じ。クラブ以外の要素を揃えることで、クラブをより正確にジャッジできます。ちなみに、コースで試打する時もボールは普段と同じボールを使います。コースに出た時は、レーザー式距離測定器「ブッシュネル」を使うので、飛びの性能はかなり正確にジャッジできますし、ボールが普段と同じなので捕まり具合、スピン性能も正確にジャッジできます。
試打をする時に心がけているのは、オンプレーンな軌道でスイングすること。ゴルフクラブは振り方によって挙動がガラッと変わることがあるからです。人間試打マシーンとか言われたりしてますが、オンプレーンに振った時のクラブの挙動がどうなのか? これをまずチェックします。オンプレーンに振った時にボールが捕まりやすいのか? 上がりやすいのか? スピン量がどうなのかをチェックします。
次に、わざとインサイドからあおって打ったり、わざとアウトサイド・イン軌道で打って、どんな弾道になるのかをチェックします。クラブによっては、わざとインサイドからあおって打った方がいい弾道が出るクラブもあります。アウトサイド・インのカット打ちをしても、ボールが捕まってドローが出るクラブもあるからです。
もうひとつチェックしていることは、シャフトをタイミング良くしなり戻してインパクトを迎えること。手首をローテーションさせてヘッドを返すのではなく、シャフトのしなり戻りを使ってヘッドがどのようにターンするかを調べます。シャフトのしなり戻りを利用してヘッドを返すようにした方が、重心アングル(重心角)の数値通りにヘッドが返りやすくなるからです。
ゴルフクラブは振ってみなければ性能は分りません。ゴルフクラブはボールを打って見なければ性能はわかりませんが、打ち方次第で性能がガラッと変わるのです~。
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