毎週のように新しいクラブ、シャフトをテストしていますが、マーク金井がこだわっているのがフィールドテストと使用ボールです。神田にゴルフ専用のスタジオを持っていますが、最初にテストする場所はできるだけゴルフ場にしています。理由は単純、練習場で打つのとコースで打つのとは気分が異なるからです。
ボールもしかり。練習場のレンジボールとコース球とでは、ボールの飛び方が全然違います。コース球でもティスタンス系とスピン系とでは、スピンの入り方、ボール初速の出方、弾道の高さが異なってきます。普段ラウンドで使うのと同じボールを使ってこそ、クラブやシャフトの特性を吟味できると思っています。ちなみにシャフトをテストする時は、普段使っているヘッド(テーラーメイドM2)に装着しています。同じヘッドで打ち比べるとことで、弾道の高さ、捕まり、スピン量の違いをチェックできるからです。
一昨日は、ドライバー用のシャフトとアイアン用の軽量スチールシャフトを赤羽ゴルフ倶楽でテストしてきました。ドライバー用はコンポジットテクノのファイアーエキスプレスの最新モデル「マックスプラス」、アイアン用はトゥルーテンパーの「アロイブルー」。どちらも発売されたばかりのシャフトです。
ファイアーエキスプレス「マックスプラス」はしなりが大きめなのに、挙動がとにかくシャープ。トルクも適度にあるにも関わらず、シャフトに遊びがほとんどありません。車に例えるならば、レーシングカーのようなスピード感、ダイレクトな挙動を味わえます。ミスに対してはシビアな面がありますが、シャフトのバネ性が非常に高いのでインパクトが力強く、ボール初速を上げていきやすいシャフトです。重量帯によってシャフトの設計が異なるみたいで、5S(50g台)は先端剛性が高く、インパクトでフェースが被る方向に動きません。左へのミスが出づらいチューニングがされています。
スタートホールのティショットでは、いつもの感じでスイングしたら、、、ものの見事に右プッシュアウト。ガッツリ叩いても左に行かないのが分ってからは、少しインサイドからヘッドを入れたら、アゲンスト風でも強弾道。ボール初速が出て、かつ低スピン弾道が打てます。飛距離性能にかなりこだわったシャフトです。
アイアン用シャフト、「アロイブルー」は、軽量スチールシャフト。普段、カーボンシャフトを使っていることもあるので、軽量スチールを打つのはかなり気を使います。スチールとカーボンとでは、シャフトのしなり感、インパクトの手応え(手に伝わる振動)というのは、まったくもって違うからです。出だしの数ホールは戸惑いましたが、スチールの感触になれてくると、、、このシャフトは「マックスプラス」と真逆で、先端が非常に軟らかいシャフト。ボールがとにかく高く上がり、かつ捕まった球が打ちやすく設計されています。一般的にはスチールシャフトはカーボンシャフトに比べてボールが上がりづらくなっていますが、この「アロイブルー」にはこの常識は当てはまりません。ボールが楽に上がってくれ、かつ捕まりが非常に良いシャフトです。フッカーには捕まり過ぎる怖さもありますが、ドロー弾道がオートマチックに打てる感じがします。
今回はドライバー用シャフトと、アイアン用シャフトを同時に試打しました。ドライバー用はカーボンで、アイアン用は軽量スチール。組み合わせとしては、アマチュアゴルファーにも多いセッティングですが、改めて感じたのがドライバーとシャフトのマッチングについてです。
ここ3年ほどアイアン用シャフトはカーボンです。それもあって、ドライバーがカーボンで、アイアンがスチールだと、アイアンを打った時に違和感を強く感じます。硬さは、どちらも同じですが、シャフトの挙動、しなり感、そして手に伝わる振動がガラッと変わるからです。一昨日のラウンドでもそうで、「アロイブルー」でいい球を打った時でも、普段とフィーリングが異なるのです。カーボンシャフト装着アイアンに身体が慣れてしまうと、ドライバーとアイアンは、どちらも同じシャフト(カーボン)の方がマッチング良く感じます。シャフトを軸にして、ドライバーとアイアンのマッチングを考えるならば、シャフトの素材を同じにした方が違和感が出ません。「しなり感」「手に伝わる振動」が揃ってくるので、どちらも同じフィーリングで使いこなせます。
でも、これは万人に当てはまるとは限りません。
ツアープロ、アマチュアの上級者の間では、「ドライバーはカーボン、アイアンはスチール」というセッティングをしている人がかなりいます。そして、どちらも上手く使いこなしているから、「ドライバーはカーボン、アイアンはスチール」というセッティングをしているのだと思います。
では、なぜ、プロ、上級者はシャフトの素材が異なっても違和感なく使えるのか?
一言で言うと、「慣れ」だと思います。ドライバーは「こんな感じでしなる」、アイアンは「こんな感じでしなる」というのが身体に染みついているため、打つ前に、シャフトの挙動が分っています。なので、カーボンシャフト装着ドライバーでティショットを打った後、スチールシャフト装着アイアンで打っても、違和感なく使えるのです。クラブを手にした瞬間、フィーリングのチャンネルが切り替わるのだと思います。実際、マーク金井も、スチールシャフト装着のアイアンを使っていた時は、ドライバーとアイアンとでシャフトの素材が変わっても何ら違和感がありませんでした。そして、スチールシャフト装着アイアンを使っていた時は、カーボンシャフト装着アイアンの方が違和感がありました。
ゴルフクラブは14本入れるので、セッティング(流れ)が大事だと言われています。確かにその通りで、セッティング(流れ)が悪いと、どちらかのクラブが使いづらくなるリスクが高くなります。しかしながら、絵に描いたようないいセッティングが必ずしも打ちやすさにつながるとは限りません。ゴルファーは手にする道具(クラブ、シャフト)に対して、調整能力が高いからです。
ドライバーとアイアン。客観的にマッチング(打ち心地)にこだわるならば、シャフトの材質を揃えておいた方がいいです。ただし、ゴルファーには「慣れ、不慣れ」というのが存在するため、マッチングのセオリーが当てはまならいことが少なからずあります。
ドライバーとアイアンのマッチングでこだわるべきポイントは、自分の感覚と、打ちたい球が打てるかどうかです。スペックとしてはドライバーよりもアイアンの方がシャフトが少し重いこと、ドライバーよりもアイアン方がシャフトが少し硬い。この2つが守られていると、多くのゴルファーは違和感なく、ドライバーとアイアンを使えるでしょう。そして、ドライバーとアイアンとではシャフトのしなり感、捕まり具合を揃えておいた方がマッチングが良くなると思います。
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(マーク金井が行うセミナーは日程調整中で決まり次第告知開始します)
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