仕事場には雑誌が1000冊ぐらい収納できる本棚がありますが、放っておくとすぐに本棚があふれてしまいます。定期的に断捨離していますが、後生大事に保存しているのは、
チョイスと月刊ゴルフクラシック(クラブ計測、シャフト計測号)
チョイスは1989年から、そして月刊ゴルフクラシックは1998年からの分を所有しています。どちらも資料用として保存していますが、ことあるごとに引っ張り出しています。30年弱の雑誌を開くと、クラブがいかに進化(変化)してきたかが分るからです。例えば、1989年3月号のチョイスには、ハイテクノロジーゴルフクラブという記事があり、そこには、ハイテククラブとして
- カーボンヘッドドライバー(EOS ヤマハ)
- カーボンヘッドアイアン(インテスト 横浜ゴム)
が紹介されています。今から、25年以上というとドライバーはパーシモンヘッド(木製ヘッド)がまだ現役で、メタルドライバーが主流に変わろうとする時代です。ジャンボ尾崎プロが超高いティアップでメタルドライバーを使ってました。そんな時代に、ヤマハと横浜ゴム(現PRGR)はカーボン素材でヘッドを作っていたいのです。ちなみにインテストは「タラコ」の愛称で、当時は爆発的に売れました。インテストは今も手元にありますが、ヘッド形状といい色といい、タラコに似ていたころから、いつのまにか、「キャディさん、タラコちょうだい」と相成ってました。
そして現在、注目を浴びているのはカーボンボディのウッド。テーラーメイドのM1とM2はカーボンボディでフェース側がチタン。昔のカーボンヘッドドライバーが弁証法で言うところの「らせん的発展」が起こっているのです。
ドライバーでカーボンが「らせん的発展」を遂げていることを考えると、アイアンにおいても「らせん的発展」が起きてもおかしくありません。カーボンヘッドのインテストが大ヒットしたことを考えると、カーボンヘッドのアイアンが再び登場することは大いにあり得ると思います。これはあくまで推察ですが、すでにクラブメーカーはカーボンヘッドをいくつも試作している可能性大ですし、ひょっとしたら今年の秋にはカーボンヘッドのアイアンが登場するかもです。
では、カーボンヘッドアイアンにはどんなメリットがあるのか?
飛ぶアイアンを作ることは、さしたる問題ではない。ヘッドにカーボンを使い、ボールのスピン量を抑えてやればそれで済むことだ。これは様々な実験によって分る。
(チョイス 1989年3月号より引用)
記事の中ではカーボンとスピン量の因果関係について触れてませんが、インテストはカーボンフェース。カーボンフェースはインパクト時にスリップ現象(フェース面上でボールが滑る)が発生、その結果、ラフからフライヤーを打った時のようにスピンが大幅に減る弾道が打てます。アイアンの場合、ドライバーよりもスピンが多い弾道になりますが、カーボンフェースだと、普通に打ってもドライバー並みのスピン量になり、それで飛距離を稼げるようになるのです。もちろん、スピンが減ればグリーンに止る球は打てませんが、飛びを重視したアイアンを作るのであれば、止らないことは容認されると思います。
では、カーボンヘッドアイアンはどんな風に「らせん的発展」を遂げて、現代に登場するのか?
いくつかのアイデアが考えれますが、テーラーメイドのM1、M2的に考えると、
ボディは金属(ステンレス)、フェースはカーボン
というのは大いにありです。16年前に登場した初代ゼクシオアイアンはステンレスボディにチタンフェースを装着しました。これを考えると、ステンレスボディにカーボンフェースを装着することも技術的に可能でしょう。フェースにカーボン素材を採用すると、低スピン弾道がオートマチックに打てることに加え、フェース重量が軽くなる分だけフリーウエートが増え、設計の自由度が増します。飛んでやさしいアイアンを作りやすくなるのです。
アイデアは組み合わせだと思います。ゴルフクラブに限らず、どんな業界でも「らせん的発展」で歴史は繰り返されます。タラコブームが再来するかどうかは分りませんが、アイアンの飛びを追求するならば、カーボンヘッド、カーボンフェースアイアンは極めて有利な選択肢でしょう~。
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