マーク金井blog

2016年04月04日アイアン用シャフトはスチールとカーボン、どちらがいいのか!? 完結編

米女子ツアー、メジャー第1戦となるANAインビテーショナル(昔のナビスコ選手権)で、宮里藍プロは初日、二日目と首位でしたが、最終日にスコアを崩して18位タイ。2012年から優勝には遠ざかっていますが、今シーズンは復活優勝してくれそうな予感がします。

 

その藍プロですが、アイアンのシャフトをカーボンに戻しています。昨シーズン途中までは90g台の軽量スチールを使っていましたが、現在は60g台のカーボンシャフトを装着しています。シャフトの素材がスチールからカーボンに変わり、重量も約30g軽くなっています。

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写真はGDOより転載 撮影はJJ田辺、記事は写真をクリック

 

藍プロがシャフトを変えたことで、アイアン用のカーボンシャフトが注目を浴びることは間違いないでしょう。ゴルフ雑誌でもアイアン用のカーボンシャフトの特集が増えてくと思いますが、シャフト選びで一番大事なことは素材の特性を理解することです。

 

現在、アイアン用シャフトはスチール、軽量スチール、そしてカーボンシャフトとかあります。市販クラブの多くは、軽量スチールが装着されたモデルと、カーボンシャフトが装着されたモデルを選べるようになっています。

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宮里藍が使うブリヂストンゴルフJGRフォージドアイアンの純正シャフト スペック

 

では、スチールとカーボン。どちらの方がアイアン用シャフトとして適しているのか?

 

アイアン用シャフトはスチールとカーボンの両方が使われています。両方が使われる理由は、どちらにもメリット(デメリット)があり、どちからが圧倒的に優位なシャフトになっていないからです。

 

では、スチールとカーボンとでは何が違うのか?

一番の違いは素材の比重です。

 スチール(鋼鉄)の比重は7.8
 カーボン(CFRP)の比重は1.5~1.8

 

スチールとカーボンとでは比重が約4倍以上違います。これにより、スチールは重いシャフトを作りやすく、カーボンは軽いシャフトを作りやすくなります。そして、スチールは重いシャフト(100g以上)を作った時の方がメリットが大きくなり、カーボンは軽いシャフト(100g以下)を作った方がメリットが大きくなります。

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では、重さ以外ではカーボンとスチールの特性はどう違うのか?

 

 スチールの特性
・打感(振動)が手に伝わりやすい
・打感がソリッド(ひじや手首への負担が多い)
・抑えた弾道を打ちやすい(ヘッドスピードが遅いとボールが上がりづらい)
・使っていると上級者っぽく見える
・アスリートゴルファーに見える
・コストが安い(カーボンに比べると)

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 カーボンの特性
・打感(振動)が手に伝わりづらい
・打感がマイルド(ひじや手首への負担が少ない)
・高弾道を打ちやすい(ヘッドスピードが遅くてもボールが上がりやすい)
・設計の自由度が高い(スチールに比べると)
・使っていると上級者っぽく見えにくい
・非力なゴルファーに勘違いされる
・コストが高い(スチールに比べると)

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ドライバーのヘッドスピードが45m/s以上あるゴルファーの場合、現状ではアイアン用シャフトはスチールの方がメリットがあります。ただしひじや手首を故障していたり、身体のへの負担を減らしたい人はカーボンの方がメリットがあると思います。

 

対して、ドライバーのヘッドスピードが40m/s以下のゴルファーの場合、現状ではアイアン用シャフトはカーボンの方がメリットがあります。ただし、スチールに慣れ親しでいるゴルファーの場合は、カーボンにスイッチするとかなり違和感が生じますし、ナイスショットも出づらくなります。何故かと言うと、スチールとカーボンでは振り心地、そしてインパクトの打感がこれでもかってぐらい違い、スチールに慣れている人ほど、カーボンを打った時に気持ち悪く感じてしまうからです。

 

マーク金井は身体への負担を減らすために5年ほど前からアイアンもカーボンシャフトにスイッチしていますが、慣れるのに3ヶ月かかりました。慣れるまではスチールとカーボンを打ち比べると、明らかにスチールの方が打ちやすく、距離感も安定してました。しかしながら、いったんカーボンに慣れてしまうと、ボールの上がりやすさ、そして距離感も劇的に良くなりました。カーボンシャフトを使って5年経った今では、スチールを使った時の方が打ちづらく、そして距離感も不安定になってしまいます。

 

今までスチールシャフトを使っていた人にとって(特に長期間)、カーボンシャフトというのは「右打ちの人が左打ちするくらい気持ち悪さ」がつきまといます。人間の感覚はかなり頑固で、慣れていた感覚から少しでも外れると心地悪さを感じてしまうのです。

 

スチールシャフトでイメージ通りの弾道が打て、イメージ通りの距離が出て、距離感も安定しているのあれば、無理にカーボンに変える必要はないと思います。他方、スチールを使っているゴルファーで、「もう少し弾道を上げたい」「もう少し飛ばしたい」「もう少し身体への負担を減らしたい」と思うのであれば、藍プロのようにカーボンへのスイッチをお勧めします。

 

ただし、スチールからカーボンにスイッチする場合、注意してほしいことがひとつあります。それは軽すぎるカーボンシャフトを使わないこと。例えば、今までNS950(シャフト重量100g弱)を使っている人ならば、カーボンにスイッチする時は70~80g台のシャフトを選んで下さい。今までよりも20~30g軽くするのが目安です。それ以上軽いカーボンシャフトを選んでしまうと、タイミングが不安定になったり、手打ちになるリスクが高まります。カーボンシャフトを選ぶ時は、重量を妥協して選ぶのは禁物です~。

 

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