火曜日のラジオで喋りすぎたのでしょう。今週、不覚にも風邪を引いてしまい、普段よりも声がかなり低くなっています(笑)。体調は本調子ではありませんでしたが、9ホールのゴルフを3回、クラブとシャフトの試打を4回ほどこなしました。今年も数多くの新製品が登場していますが、どの新製品もキーワードは「飛び」。来週月曜日には、大ヒットブランドである「ゼクシオ9代目」の記者発表が予定されてますが、恐らく、王者「ゼクシオ」も飛びを強くアピールしてくることでしょう。
では、なぜクラブメーカーは新製品で「飛び」を強く訴求してくるのか?
理由は単純。飛ばないクラブは売れた実績がないからです。この25年、数え切れないほどのドライバーが世に出ましたが、飛ばないクラブは売れたためしがありません。ヒット商品となったドライバーは、例外なく「飛び」をアピールしたモノばかりでした。ゴルフは「ドライバーの飛距離でスコアが決まる」わけではないにも関わらず、飛ぶドライバーが注目を浴び、飛ぶドライバーが売れという実績があるからです。この2週間で、テーラーメイド、キャロウェイ、プロギア、ブリヂストン、そしてヤマハと新製品ドライバーを手に取りましたが、いずれも「さらなる飛び」をアピールしています。
こう書くと、どこのメーカーも同じようなクラブ作りをしているかと思うかも知れませんが、実は、共通してやっていることと、共通してやっていないことがあります。そこで、今回は、今どきのドライバーはどんな風に作られているのか(開発されているのか)について超私的に書いてみたいと思います。
まずは、飛びを実現するために必要な要素は、
フェースの反発を上げる(結果、ボール初速が上がる)
スピンを減らす(結果、低スピンで飛ばせる)
スイートエリアを広げる(結果、ミスしても飛ばせる)
低ロフトで高い打出しを実現する(結果、ボール初速が上がってスピンが減る)
ボールを遠くに飛ばす要素で一番影響が大きいのがボール初速です。そのボール初速を上げるのにつながるのがフェースの反発。同じヘッドスピードで打ってもフェースの反発が高いドライバーの方が、ボール初速が上がるからです。2008年以降、ルールでフェースの反発は規制がかっていますが、それでも、すべてのクラブメーカーはルール適合内での高反発フェースをドライバーに装着しています。
では、モデルチェンジごとにフェースの反発を上げることは可能なのか?
昔の高反発ドライバー(ルール不適合)と今どきのルール適合ドライバーを比較すると、どちらの方がフェースの反発が高いのか?
フェースの反発がもっとも高い場所(フェース中央部分)に関しては、今どきのルール適合ドライバーよりも昔の高反発ドライバーの方が反発が高いです。SLEルールで「クラブの反発係数は0.83を超えてはいけない」と定められています。2008年以前の高反発ドライバーは反発係数が0.83を超えたていたわけですから、フェース中央で打った時を比較すると、昔の高反発ドライバーの方がボール初速が出ます。
今どきのドライバーが一生懸命やっていることは、フェース中央以外のフェースの反発を上げることです。2008年以前のドライバーは一点豪華主義ではありませんが、一番フェースが弾く部分の反発を上げることをやってした。対して、今どきのドライバーは、フェース中央以外の部分を限りなく、0.83に近づけることをやっているのです。一昨日、ヤマハの試打ラウンドに行ってきましたが、新しいRMXのドライバーのフェース面裏側はかなり複雑に凸凹しています。特にフェース中央部分は肉厚が厚く、
なんと3.95mm!!!!
2008年以前の高反発ドライバーの場合、フェースの肉厚は3mm弱だったことを考えると、1mmも分厚いのです。その反面、フェース外周部に関しては、一番薄い所は、
なんと2.1mm
その差は1mm弱もあるのです。今どきのルール適合ドライバーはフェース中央以外で打った時でも、フェースの反発係数が0.83に近づくように設計されているのです。オフセンターヒットでもフェースの反発が下がらない(オフセンター時のボール初速ロスを減らしている)設計がなされているのです。逆な言い方をすれば、今どきのルール適合ドライバーというのは、フェース中央の反発をわざと下げる設計がなされているとも言えるのです。
ちなみに、フェースの反発を上げるとどんなメリットがあるかというと、反発を上げるほどにインパクトの衝撃でフェースがたわみ、その分だけ、インパクトでボールがつぶれる度合いが少し減ります。フェースがバネのように弾くから飛ぶと思われていますが、実際は、フェースの反発を上げるほどボールがつぶれる度合いが減り(結果、エネルギーロスが減り)、その分だけボール初速が上がってくれるのです~。
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Posted by マーク金井のアナライズ on 2015年10月4日