カテゴリー: パター、パター練習法
2013年05月26日パットは素振りをしない方が断然良い〜
今週は月刊ゴルフ雑誌の発売ウイーク。月刊ゴルフダイジェスト、ワッグル、ゴルフクラシック、そしてビジョン72が発売されました。その中でもボリューム満点なのが月刊GDです。特集記事は言うに及ばず、連載記事も盛りだくさん。今月発売から野村タケオさんの連載、「レッスン用語に五里霧中」も始まっています。
そんな連載企画で目にとまったのが、「がんばれ藍ちゃん」
米ツアーで活躍している宮里藍ちゃんの応援企画ですが、7月号では藍ちゃんのパッティングについて詳しく紹介されています。
本人いわく「感性でゴルフするタイプなのでパットもいかにイメージを出すかか鍵」。見た目の第一印象を大切にするために素振りはしない(月刊ゴルフダイジェスト7月号から引用)
マーク金井もパットの時は素振りを一切しません。藍ちゃん同様、イメージを大事にしているからですが、実は他にも理由があります。素振りをしてもしなくてもパット数に変化がないことに気づきました。やってもやらなくても結果に差が出ないならば‥‥やるだけ時間の無駄じゃないですか。ってなわけで素振りを一切やめてしまいました。素振りをしない方がプレー時間が短縮できると悟ったのです。
もちろん素振りをしなくなったのには伏線もあって、それは石川遼と丸山茂樹のパッティング。2人ともパットの名手ですが、パットがものすごく決まっていた時、2人とも素振りをしてませんでした。特に、九州の古賀で開催された時の日本オープン。遼くんは片山晋呉に敗れて惜しくも2位でしたが、多くの選手が高速グリーンに苦戦する中、スコンスコンと嫌な距離をワンパットで沈めていました。素振りをしなくてパットを決めまくるその姿に見惚れて、マーク金井は古賀の日本オープンの翌週から現在に至るまで、パットでは一切素振りしてません(不思議なことに、最近の遼クンはパットで素振りしてます)
素振りをしない効用はプレー時間の短縮だけではありません。アマチュアの人の素振りを見ていると、1mの距離なのに10mぐらい打つぐらいの素振りをしたり、10mのロングパットで2mも転がらないような素振りをしている人が結構多い。素振りと本番になんの関連性もない素振りをするというのは‥‥素振りが素振りの役割を果たしていません。本番を無視するかの素振りをするぐらいならば、素振りをしない方が距離感(感性)を磨けます。アドレスする前に、頭の中で距離をイメージし、そのイメージした距離を打つことだけ考えた方が距離感を磨けるからです。慣れるまでは不安があると思いますが、もし不安があるならば、一度、いつも通りに素振りしてハーフ、素振り無しでハーフプレーしてみて下さい。これでパット数にどれぐらい差がでるのかチェックしてみる。長いゴルフ人生の中で、一度ぐらいこんな経験をしてみるのも悪くないと思いますよ。
そして、藍ちゃんパッティングで見逃せないのがインパクトの迎え方。インパクトでは若干ハンドファーストになっています。ほんのわずかにグリップがシャフトを先行してボールを捕らえています。対して、アマチュアでパットが下手な人の80%以上はハンドファーストとは逆で、逆ハンドファーストの状態でボールをヒットしています。いわゆる手首をこねた感じでボールをヒットしているので、転がりが悪く、ショートパットで左に引っかけることが多いのです。ショートパットのミスはメンタルな要素も非常に大きいですが、技術的な要素も非常に大きいのです。
では、どうすれば藍ちゃんのようにハンドファーストな状態でボールをヒットできるのか? ひとつめのポイントはアドレスです。パットはショットほど動きが大きくありません。アドレスで逆ハンドファーストになっているとインパクトでも逆ハンドファーストになってしまう確率が高くなります。今週木曜日はサンテレビのゴルフ番組でアマチュアゴルファー4人とプレーしましたが、その内、3人はアドレスで逆ハンドファーストになっていました。翌日の金曜日もアマチュアゴルファーとプレーしましたが、その時も短いパットをポロポロ外すゴルファーは、アドレスで左手首が甲側に折れ、逆ハンドファーストのアドレスになっていました。
たかがアドレス、されどアドレス。
短いパットが引っかけやすい、転がりが今ひとつ悪いと感じているならば、まずはiPhoneやスマホでパットのアドレスを自撮りしてみて下さい。きっと、何かの発見があると思いますよ~。
アナライズで作ったDVD ショートパットを確実に決める7つの法則 残り僅か・・
2013年05月23日アンカリング(アンカーリング)・ストロークが禁止されても、やさしいパターは作れる!!
ついにグリップエンドを体にくっつけて打つ(固定式ストローク)、いわゆるアンカリング(アンカーリング)・ストロークではルールとして禁止する新規則14-1b(アンカリング(アンカーリング)・ストローク)が、2016年1月1日からすべてのレベルのゴルファーに対して適用されることが決定されました。
5月21日ゴルフルール制定団体であるR&A(英ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ)とUSGA(米国ゴルフ協会)がつい先程同時に発表したからです。これにより、多くのツアープロが愛用した長尺パター、中尺パターというのが事実上、使用できなくなりました。全英オープンを制したE・エルス、そして今年のマスターズを制したアダム・スコットもアンカリング(アンカーリング)・ストロークでしたので、二人ともそろそろパターチェンジ、打ち方のチェンジが必要に迫られています。(アンカリング(アンカーリング)・ストロークをしなければ、中尺、長尺パターもルール適合です)。
アンカリング(アンカーリング)・ストロークの是非については、いろんな議論が交わされることが予想されますが、クラブアナリストの立場から言うと、中尺、長尺パターの特徴はクラブが長いだけでなk、クラブ重量が重いことです。普通のパターに比べると、長尺パターの多くはヘッド、シャフト、そしてグリップが重くなっています。これによりパター全体の慣性モーメントが増大してパターが動きづらくなりますが、反面、動き出せば慣性の力で動きが安定します。インパクトでパンチを入れたりできません。結果、ゆったりストロークしやくなって(インパクトで手先が余計な動きをしづらくなる分だけ)、高速グリーンでも距離感、方向性を安定させやすくなります。
パターの人気ブランド、オデッセイではすでにアンカリング(アンカーリング)・ストロークが禁止されることを予想してたかのようなパター、アームロックパターとして、
メタルXの#7とダートが市販されて言います。これは41インチと中尺の長さですが、シャフトを左にオフセット(傾ける)ことで、ハンドファーストに構えやすく作られ、パターのグリップ部分をアーム(左腕)に固定することで、振り子のストロークをしやすく作られています。またロンググリップを装着することでグリップ重量も重くなっています。
限定生産にしたのは、キャロウェイも保険を掛けたかったからでしょう(笑)アームロックパターはまだまだユーザーの間では定着してないし、浸透していないからです。
現在、マーク金井はパターを開発してますが(6月下旬発売予定)、その時にこだわったのがパターの総重量。長さは34インチと普通の長さですが、ヘッド、シャフト、グリップとも重くなっています。ヘッドは350g近く、そしてグリップは133g。普通のパター用グリップに比べると2倍以上の重さです。ここまで重くしたのは、ヘッドに対してグリップ側を重くすることで、バランスを出さないでクラブ全体の慣性モーメントを上げたかったからです。パターを上手く打つコツは色々とありますが、手元側の重量が重くなるようにチューニングすると、クラブ全体の慣性モーメントがアップします。結果、ヘッドだけでなくパター全体を動かすストロークがしやすくなって、距離感や方向性を良くする効果が期待できます。
普通の長さのパター(34インチ)でも、グリップ側を重くすれば中尺や長尺パターを使うのと同じメリットがあるのです。
では、なぜグリップ側が重くなると振りやすくなるのか?
これは実際に体験してもらうのが一番確実な方法です。パターとウエッジを用意したら、ヘッドが互い違いになるようにしてクラブを握ります。これで準備が完了、後はボールがカップインするイメージを描きながらパットを打ってみて下さい。ヘッド側に対してグリップ側が重くなれば、ヘッドだけでなくパター全体の重さを感じ取れます。これが感じ取れれば、ストローク中に変なパンチが入ったり、インパクトで緩んで引っかけたり、押し出したりするミスを確実に減らせます。
パターのグリップ側重量を重くするのには2つはあります。ひとつは、100g以上の重いグリップを装着。もうひとつはグリップエンドに穴を空け、その穴が空いた部分にパター用のシャフトスタビライザーを装着することです。パター用スタビは重さが色々あって、20~110gぐらいの幅で自由に選べます。シャフトスタビライザーならば、今までと同じグリップで手元側(グリップ側)の重量を50g以上楽に増やせるのです。
パッティングでアンカリング(アンカーリング)・ストロークがダメになった今、ツアープロの中には手元側の重量を何らかの方法で増やしていくでしょう。これは自然の成り行きで、手元側の重量を増やすことで、インパクトゾーンで手元をスムーズに動かせるようになるからです。
アナライズでは、パターでは手元側の重量を増やすことが欠かせないことだと感じており、重さを出すためにパター用のシャフトスタビライザ-とロンググリップ(133g)の発売に踏み切りました(パター用グリップは6月上旬発売予定)。手前味噌ですが、短い距離でパットを押し出したり、引っかけのミスに悩んでいる人にはどちらも効果てきめん。ぜひ一度試してみて下さい~。
PS.パター用シャフトスタビライザーは、こんな感じで装着します~。
2013年04月28日今どきのパターを上手く使いこなす極意とは!?
66歳のジャンボ尾崎プロ、2日目、3日目は1オーバーとなんとか踏ん張っています。年齢の影響もあってロングショットは精彩を欠いてますが、それをカバーしているのがショートゲーム。アプローチとパットは全盛時を彷彿させるようなプレーぶりで、パーセーブを重ねています。
そんなジャンボですが、ボクが注目したのがパターのグリップ。パター自体は普通の長さで、ヘッドもピン型。オーソドックスなパターを使っていますが、グリップは中尺用のモノが装着されていました。いわゆるロンググリップです。
GDOさんより転載 つるやオープンフォトギャラリー←クリック
たかがグリップと思うかもしれませんが、ここにジャンボならではのクラブに対するこだわりを感じました。ジャンボと言えば、新しいクラブ、新しいボールを真っ先に取り入れるプロの代表格。バラタボール全盛の頃、タイガーがナイキの2ピースウレタンボール「ツアーアキュラシー」を米ツアーで誰よりも早く使うかなり前からブリヂストンのツーピース、レイグランデWFを使ってツアーで勝利を収めています。クラブについてもメタルドライバーを使い始めるのが非常に早く、ジャンボがメタルで勝ち始めると多くのツアープロが追従しました。AW(PS)というクラブを積極的に使い始めたものジャンボでした。
そんなジャンボがオーソドックスなピン型パターを使うのはちょっと違和感がありますが、グリップがジャンボならでわ。上から目線で恐縮ですが、さすがクラブのことをよく分かってらっしゃると思いました。
ロンググリップにはどんなメリットがあるのが。
ロンググリップは長さが長いだけではなくて、通常のグリップと異なる点が2つあります。
・グリップが太い
・グリップが重い
太いグリップを装着すると手首が使いづらくなります。ジャンボはインパクト重視でコツンと打つタイプですが、それでも手首を使い過ぎるのを軽減するために少し太くしているものと思われます。そして、細いグリップに比べると太いグリップはフィーリングが出づらい。いい意味で、パターに少し鈍感さを求めたのでそしょう。
そして、長くて重いグリップを装着するとバランスポイントが手元側に移動します。実は、ボクはこれが今どきのパターを使いこなすための極意だと思っています。昔のパターと今どきのパターを比べると、今どきのパターはヘッドが重い。ヘッド重量が340~360gあります。ヘッドを重くすることでゆったりストロークしやすくしているのです。
しかし、グリップが50~60g前後のままでヘッドだけが重くなるとバランスポイントがヘッド側に移動します。バランスも出ます。昔はパターのバランスはD0前後でしたが、今どきのパターは平気でD6とかEバランス。その結果、ヘッド側の重量に対してグリップ側の重量が軽くなってしまう。ヘッドヘビーになると、ゴルファーの多くはパター全体の重さよりも、ヘッドの重さだけを感じます。ヘッドだけを感じると、グリップエンドを支点にしてヘッドを振り子運動させることになって、インパクトが緩んだり、手元がスムーズに動きづらくなるのです。
対して、重ヘッドのパターにロンググリップを装着すると手元側の重量も増してきます。大抵のロンググリップは重量が100g以上あるからです。その結果、カウンターバランスになって重ヘッドでもバランスが出過ぎない。クラブ全体が重くなるので、パター全体を動かしやすくなって、手元をスムーズに動かせるようになるのです。ショートパットでインパクトが緩みやすい人の場合でも、ロンググリップやシャフトスタビライザーのように手元側の重量を増す器具を装着すると‥‥手元がスッ、スッと動き、インパクトの緩みや引っかけのミスをかなり軽減できるのです。
加えて、ネオマレット型のパターのようにヘッドの慣性モーメントが大きいパターの場合、手元側の慣性モーメントを上げた方が(グリップ側の重量を増やした方が)パター全体のバランスが良くなって、スムーズにストロークしやすくなるメリットがあります。
プロが試合するコースのグリーンはスティンプメーターで11フィート以上と超高速。超高速グリーンではオーバーが怖くなると、たとえ百戦錬磨のプロであってもメンタル面が影響して手先が余計な動きをしやすくなります。ジャンボはそれを知っているから道具(ロンググリップ)でやらなくていいミスを減らそうとしているのです。
最近は我々アマチュアがプレーするゴルフ場でもスティンプメーターで10フィート以上の高速グリーンが増えてきました。ショートパットで苦労しているならば、ジャンボを大いに見習った方がいいでしょう。
んじゃ(▼▼)b
PS.マーク金井はネオマレット型パター専用のロンググリップ「MOIグリップ」を市販化に向けて開発中~。重量は115g。グリップ内径は普通のパター用の太さなので、普通のパターに装着しやすいのが特徴です~。
2013年03月29日パターの打感はどこで決まるのか?
一昨年の秋にSSウエッジを設計&発売し、昨年秋にはSSウエッジの流れを汲んだSSアイアンを設計&発売。どちらも、クラブメーカーのリンクスさんからの発売で1本9800円。アンダー1万円にこだわったのは、ベテランゴルファーには衝動買いしやすい価格設定、初心者には買いやすい価格で提供したかったからです。どちらもヘッド素材はステンレスですが、ライ角、ロフト角が調整可能。リーズナブルなクラブだからと言って、ライ・ロフト調整が出来ない融通の利かないクラブは作りたくなかったからです。
そんなマーク金井が、今、クラブ設計の最終段階の入っているのが3パットを確実に減らせるパターとバンカー専用サンドウエッジ。どちらもリンクスから5月頃発売を予定しています。価格は予定ですが、バンカー専用SWが9800円、パターが14800円ぐらいを考えています。
パター、SWとも設計で一番こだわったのは、これまでボクが設計してきたクラブ同様、ミスを軽減させるだけでなく、スイングに好影響が出るクラブを作ること。パターにおいては3パットを減らすというのがミッション。それをなしえるために考えたのが、2メートル以内のショートパットを正しく打てるパターを作ること。そしてアマチュアに多い、インパクトで手首をこねて打つのを解消できるパターを作ることを考えました。そのノウハウについてはこれから追々説明していきますが、今日は試作のパターヘッドが3つ届きました。
何をチェックするかというとフェースに入ったミーリング、フェースに刻まれるミーリングの深さをどれぐらいのピッチに仕上げるのかを決めることです。
パターの場合、フェース面に樹脂などを埋め込むと打感はソフトになります。鉄よりも軟らかい素材をフェース面に採用すると、インパクトの感触がソフトになるからです。ただし、フェース面に樹脂などを埋め込むとボールの転がりづらくなったり、インパクトの感触が希薄になる場合が少なからずあります。
そして打感をソフトにするもうひとつの方法、それはフェース面にミーリング跡をわざと残すこと。樹脂フェースを採用しなくても、フェース面をミーリング仕上げにすると、打感はソフトになってきます。スコッティ・キャメロンのパターは打感がソフトなことで定評がありますが、それをなしえているものフェース面がミーリング仕上げになっているからに他なりません。
では、なぜフェース面にミーリング処理を施すと、打感はソフトになるのか?
諸説色々とありますが、深いミーリング処理を施すとインパクト時にボールが潰れやすくなってきます。その結果としてインパクト時に、ボールとフェース面の接着面積が減り、その結果として打感はソフトになってくるのです。
ゴールドファクトリーさんのHPには、ミーリングが及ぼす影響について、こう書いてあります。
「目の粗さは深いほどボールが潰れてくっつく時間が長くなるので、フェースの向きよりも振った方向に飛び出しやすくなり、細かいほどボールが潰れづらく、球離れが早くなるので、振った方向よりもフェースの向いている方向に飛び出しやすくなります」。
「打った時の感触ですが、粗目の場合はボールが潰れるのでボールが柔らかく感じます。細目になるほどボールが潰れづらく、力の伝道率が高くなるので、パターが柔らかく感じます」(ゴールドファクトリーHPから引用)
それが本当かどうか確かめるために、ミーリングの深さが異なる3つのパターヘッドをリンクスさんに作ってもらいました。0.1mm、0.15mm、そして0.2mmです。たかが0.05ミリの違うと思うかも知れませんが、実際に手で触ってみると全然違います。指の腹の部分でフェース面を擦ってみると深くなるほど指の腹が引っかかってきました。
ボクが採用したいミーリングの深さはほぼ決まっていますが、ゴルファーとしては実際に打ち比べてテストしてみたい。明日か明後日、ミーリングの深さが転がりに及ぼす影響をじっくりとテストしてみたいと思います。
んじゃ(▼▼)b