緩んだスイングと力んだスイング(緩みのないスイング)
15秒かけてテークバックし、トップからフィニッシュまで15秒かけてスイングしてみると、力加減の違いがハッキリとでます。緩んだスイングをするのが癖になっている人は、ゆっくりスイングすると体に張りがありません。トップで左ひじがガクンと折れ曲がったり、トップが緩んだ感じになります。フォローやフィニッシュもこじんまりした感じになっています。
対して、力んだスイング(緩みのないスイング)がちゃんとできていると、体に張りができますし、トップで左腕がピシッと伸びてきます。フォロー、フィニッシュも大きく取っていけます。言い換えると、緩んだトップになっている人は、本人には自覚がなくても(楽なスイングをしようとして)無意識の内に緩みが発生しています。
では、この無意識の緩みを取るには(ちゃんと力むには)なにをすればいいのか?
無意識の緩み‥‥ゴルフスイングを演技に例えるならば、これは役者の癖のようなもの。では、そして「癖とは数ある選択肢の中で、オートマチックに選んだこと」(演出家、鴻上尚史氏)です。
具体的に言うと、泣くというシーンでも、シチュエーションに合せていろんな泣き方ができる人が上手い役者。泣くシーンは「こうでしょ」とワンパターンな演技しかできないのが癖です。スターと呼ばれる大物役者を除けば、癖で演技する役者は「下手な役者」と演出家から判断され、舞台に立てる回数が増えません。
演技でもゴルフでも、癖を取り除くには、わざと悪い動きをしてみることです。ロボットのようにギクシャク動いてみたり、関節を突っ張るぐらい伸ばしてみる。自分の常識から外れた行動をとることが、癖を取り除く近道です。
テークバックに関して言えば、左腕はつっかい棒のように伸ばすことをを意識して下さい。対して右腕は始動とともに右ひじを体に近づけるように引きながら、少しづつ曲げていきます。トップでは右ひじが90度曲がっているようにしましょう。
そして始動とともに手首をコックして下さい。テークバック前半で手首をコックすれば、途中で関節の緩みが出ません。手首をコックするコツは、左手(左肩)を下げて右手(右肩)を引き上げる。作用と反作用の要領です。手首をコックすることで左腕(左ひじ)が突っ張るように伸びてくるように心がけて下さい。
テークバック前半で手首のコックが完了し、右ひじを少し曲げる感じができてくると、左腕はピンと伸びてきます、伸びたままトップまでいけます。また、これができると力んでいても体をちゃんと動かすことができるので、緩まないトップを作れるはずです。
緩んでいれば体がスムーズに動き、力んでいればスムーズに体が動かない。こう思っている人が大多数ですが、そんなことはありません。力んでいても関節の使い方が分かっていれば体をスムーズに動かしていけます。
役者の演技もゴルフスイングも「○○だから、○○だ」という固定観念を持ち続けている限り、癖から永遠に抜け出せません。スイングを本気で変えたいならば、沢山ボールを打つことよりも、体を動かす選択肢を増やすためのユニークな努力が不可欠なんです。