今回11代目となるインプレスXシリーズ。2013年モデルはネーミングも新たに「インプレスXRMX(リミックス)」となり、ドライバーはヘッドとシャフトをそれぞれ単独で購入可能になっており、「ヘッドのみ」「シャフトのみ」といった買い方もできる。画期的な新製品。当初スリーブの強度に問題があり、初回出荷分は回収されたが、現在は問題なく販売されている。
ヘッドはモデルチェンジによって劇的に変化。ヤマハとしては初のシャフト脱着方式を採用。ソールには重量調整用のネジが2個配される。ヒール側とトウ側のネジの重量を変えることで、重心距離を最大「8ミリ」移動できる(メーカー公称値)。ネジ13g×2、4g、22gが標準装備され、オプションで4gから22gまで、1.5g刻みで13種類用意されている。
フェースの厚みは約52ミリ。少し薄べったいがアドレスすると、上がりやすさよりも力強い印象を受ける。従来モデル(インプレスXDシリーズ)に比べるとリアルロフトが少ないからだ。フェースの向きはほぼスクエア。幅広いゴルファー向けに作られているが、ヘッド形状はアスリートゴルファーを意識した感じな仕上がり。ソールもデザイン一新。ソールとフェースはブラックで、中央にインプレスXのロゴが入る。バックフェース側にはヤマハのシンボルである音叉のバッジが埋め込まれる。黒とシルバーでデザインされたヘッドは精悍かつシャープだ。
試打クラブはロフト9度。シャフトは標準装着のR(MX-513D)10度表示でリアルロフトは10.5度。フェースアングルは+0.5度。ややフックフェースだが構えるとフェースはスクエア感が強い。シャフトは軽くてかなり軟らかい。ワッグルするとシャフト全体がグニャリと大きくしなる。硬さの目安となる振動数は227cpm。クラブ重量は294.5gでバランスはD0.5。長さはメーカー値、実測値とも45.5インチ(※ヒールエンド法計測)。
まずはシャフトに合わせて軽めにスイングしてみると‥‥弾き感があるインパクト音とともにボールは低い弾道で「前に前に」飛んでいく。見た目通り重心が浅くて低いようだ。スピンがかかってフワッと上がる弾道ではなく、明らかに低スピン弾道。ラフからフライヤーを打ったかのような放物線で飛んでいく。インパクトゾーンでヘッドがアッパーに動く度合いが少ない。リアルロフトが少ないことも相まって、打ち出し角度がかなり低くなるようだ。非力な人にはボールが上がりづらい怖さもあるが、パワーヒッターが使えば、キャリーとランでも飛距離を稼げるだろう。
ヘッドスピードを46m/sぐらいに上げても吹き上がる気配がしない。フェース中央よりもほんの少し上で捕らえると打出し角が11~12度で、スピン量は2300~2600回転。インからあおって打つとドロップしそうで怖いが、プレーンに沿ってクラブが下りてくると、風に強くて飛ぶ弾道がオートマチックに打てる。
重心距離の調整機能が印象的だ。ネジを取り替えるとガラッとヘッドの挙動が変わった。標準だとヘッドの挙動はニュートラル。ストレートに打てばストレート弾道。捕まるようにネジを装着すると(ヒール側に22g、トウ側4g)、重心距離が短くなった分だけ捕まりが一気に良くなる。逆もしかり、捕まらないようにネジを装着すると(トウ側に22g、ヒール側に4g)、重心距離が長くなった分だけ捕まりを抑えることができた。重心距離を変えられるドライバーはいくつもあるが、調整幅はかなり大きい。ヘッドに比べるとシャフトはかなりアンダースペック。純正Rはとにかく軟らかく、しなりを感じやすく仕上がっている。ヘッドがハードな分だけ、シャフトでやさしさを演出しようとする意図が強く出ている。
見た目通り、ヘッドは明らかにアスリートライク。重心が浅い分だけ、スピンが減って飛距離を稼げるドライバーだ。個体差はあると思うが、2013インプレスXRMXはアベレージゴルファーよりもアスリートゴルファーの方が相性が良いはず。
表示10度に対してリアルロフトは10.5度。フェース角は+0.5度。ライ角度はノーマルポジションが59.25度で、アップライトポジションが60.75度。インプレスXRMXの場合、シャフト脱着で変えられるのはライ角度のみである。捕まりの目安となる重心アングルは17~18.5度。市販ドライバーとしてはかなり小さい数値。
ヘッド重量は191.2g(シャフト装着スリーブ含まず)。ノーマル状態の重心距離は38.5ミリ。捕まるポジションだと34.5ミリ、捕まらないポジションだと42.5ミリ。ヘッド重量を変えなくても最大で8ミリ重心距離を大きく調整できる。長さはメーカー値、実測値とも45.5インチ(ヒールエンド法での計測)。
純正Rシャフトの振動数は227cpm。純正シャフトのRとしては軟らかい設定。クラブ重量は純正R装着時で294.5グラム。バランスはD0.5。45インチに換算すると300g前後。純正Rだと45~65歳ぐらいで、体力が平均的な男性ゴルファーにちょうどいいスペックだ。
リアルロフトが少なくて、重心がかなり浅いドライバーなのでロフトで見栄を張るのは絶対に禁物。9度は相当ボールが上がりづらい。ある程度弾道の高さを求めるならば、ハードヒッターでも10度をお勧めしたい。ちなみに10度も決してボールが上がりやすいわけではない。中高弾道を打つにはそれなりのパワーが求められる。
純正シャフトのRは女性用のシャフトに近いぐらいとかなり軟らかい。純正Rのシャフトのストライクゾーンは36~40m/sぐらいと。シャフトは純正シャフトの他に、グラファイトデザインのツアーADのGT-6(S)、三菱レーヨンのディアマナB60(S)、USTマミヤのアッタス4U(6S)、フジクラのランバックスタイプS65(S)もラインアップされている。