さて、このドライバーの大型化。テニスのデカラケ同様、大きい方がミスに強くなります。一般に小さいヘッドよりも大きいヘッドの方が慣性モーメントが大きくなり、打点がブレた時にヘッドがぶれにくい(エネルギーロスが発生しづらい)からです。もちろんヘッドがブレにくいわけですから方向性も安定します。
ただし、この「ぶれにくさ」はメリットばかりではありません。
慣性モーメントが大きいドライバーをクルマに例えるならば、ホイールベースが長いリムジンのようなもの。直進安定性とは引き替えに、操作性が悪くなるのを避けられません。慣性モーメントが大きいヘッドほど、重心距離が長くなってドロー、フェードを打ち分けるのが難しくなるということです。それに加えて、テークバックでフェースを開いてしまうと、ダウンスイングではフェースが戻り切らず、右へのスッポ抜けのミスも出やすくなるのです。
他方、やや小ぶりなドライバー(ヘッド体積440CC以下)の多くは、慣性モーメントの大きさよりも操作性重視。重心距離が短めです。クルマに例えるならば2シーターのスポーツカー。こちらはミスした時に左右に曲がりやすい反面、「ヘッドがぶれやすい」分だけ、操作性に優れています。ドロー、フェードを打ち分けたい人にとっては、非常にやさしいクラブと言えます。
そして、テークバックでフェースを開いて上げる多くのアマチュアにとっては、操作性が高い(重心距離が短い)ドライバーの方が捕まった球を打ちやすくなります。メーカー側もそれが分かっているから、最近は、やや小ぶりなドライバーをラインアップに加えているのです。
大きいヘッド、やや小ぶりなヘッドは見た目が違うだけでなくヘッドの挙動がかなり異なります。そして使い勝手の良さは、ゴルファーによって異なっているのです。ちなみに、ヘッドスピードが遅いアマチュアが飛距離を求めるならば、迷うことなく大型ヘッドをお勧めします。大型ヘッドのほうがインパクトのエネルギーが大きく、より飛ばせる可能性があるからです。