飛距離アップを実現する上で欠かせない要素と聞かれれば、多くのアマチュアは「ヘッドスピードを上げること」と答えます。
確かに、物理的にはヘッドスピードを1メートル上げると、ドライバーの飛距離は3~6ヤード伸びてきます。だからでしょう。最新ドライバーの多くは今までよりもクラブを長くすることで、ヘッドスピードアップを狙っています。
さて、このヘッドスピード。プロと違ってアマチュアの場合、「ヘッドスピード=飛距離」という図式が成立しない場合があります。ショップに設置されている弾道計測器の多くは、スイング軌道によってヘッドスピード数値が異なるからです。具体的に言うと、プロのようにヘッドがインサイドから入ってきて、そしてシャフトの逆しなりを使ってインパクトを迎える数値に誤差は発生しません。ヘッドスピード上がれば、上がった分だけボール初速も上がり、飛距離が伸びます。
ところが、アマチュアに多いアウトサイド・イン軌道で振ると、ヘッドスピードの割に飛距離は出ません。弾道計測器の多くはアウトサイド・イン軌道に振った時の方が、ヘッドスピードが出やすいからです。
例えばボクの場合、インサイドからヘッドを入れると46m/s前後、わざとアウトサイド・イン軌道で振ると49m/sまで上がります。3m/sも上がれば10ヤード以上飛んでもいいはずですが、そうは問屋が卸してくれません。後者の方がインパクト効率が悪い分だけボール初速が上がらないからです。
誤解を恐れずに言います。アウトサイド・イン軌道で振った時のヘッドスピードは、嘘のヘッドスピードなんです。ですので、ドライバーを選ぶ時はヘッドスピード至上主義に陥らないことが大事です。弾道計測器でチェックする時は、ヘッドスピードだけでなくボール初速にもこだわって下さい。ヘッドスピードが上がった分だけボール初速も伸びていれば、そのドライバーは飛びのポテンシャルが高い。コースで実際に使ってみても、飛距離アップが望めます。
女子プロのドライバーのヘッドスピードは40m/s前後。男性アマチュアとほぼ同じですが、彼女たちは男性アマチュアよりも10~20ヤード以上飛びます。飛距離の差がこれだけ出るのは、ヘッドスピードの出し方が異なることも少なからず影響しているのです。