ドライバー同様、最近はアイアンも飛距離重視のモデルが増えてきました。特にアマチュア向けモデルは、ロフトを立てることで飛距離アップを狙っているモデルが目立ちます。「7番で150ヤード以上飛ぶ」というのが大きなセールスポイントになるからでしょう。さて、このアイアン。ゴルファーの間でもうひとつこだわりが強いのが打感でしょう。インパクトの感触、手応えが心地良いアイアンは、昔も今も人気があります。
そこで今回はアイアンの打感の正体についてについて説明します。
打感に一番影響を与える要素は、打点位置(フェース)の厚みです。プロや上級者好む軟鉄鍛造のマッスルバックアイアンは打感が良いですが、このタイプはヘッドがひとつの塊です。フェース裏側が凹んでないので、必然的に打点位置が分厚い。打点位置が分厚いほどインパクトの感触がソフトになり、ゴルファーは打感が良いと感じるのです。加えて、打球面が分厚いほど球離れが遅く感じて、球筋を打ち分けやすくなります。
対して、キャビティアイアンはマッスルバックに比べると打感が良くないと言われてますが、こちらは打球面(フェース裏側)が凹んでいます。そして最近は反発を上げるために、わざとフェースを肉薄にしています。フェースが肉薄なほど打感が硬く感じ、ゴルファーは打感が良くないと感じるのです。そして、打球面が肉薄になると球離れが早く感じて、球筋を打ち分けづらくなります。
アイアンヘッドの場合、ステンレスよりも軟鉄の方が打感がソフトと言われてますが、打球面の厚みに比べると、打感の違いは微微たるもの。目隠しテストで、素材で打感の違いを判別できる人はめったにいません。また、鋳造よりも鍛造は打感がソフトになると言われてますが、これにも誤解があります。軟鉄鍛造でも、フェースとボディを溶接した2ピース構造のキャビティの場合、飛びを求めるためにフェース面が非常に薄くなっています。このタイプは球離れが早く、軟鉄鍛造であってもマッスルバックのようなソフトな打感は味わえません。アイアンにソフトな打感を求めるならば、素材や製法よりも打球面の厚みにこだわって下さい。