アスリート指向ゴルファーに人気が高いタイトスト。前作910シリーズに引き続き、913シリーズにもD2とD3の2機種がラインナップされている。今回試打するのはヘッドが大きい方のD2。体積は460CC。D3に比べると15CC大きく、フェースはの厚みは約57ミリ。投影面積も大きいので、アスリート向けドライバーの中では「やさしい」印象を受ける。ヘッド形状はこれまでのタイト同様、トウ側が膨らんだ洋梨形状。ヘッドをポンと地面に置くとフェースが開いた感じになる特徴がある。ヘッドは910シリーズ同様、ボディだけでなくフェースもブラックに仕上げ。シャープな印象を上手く演出している。
910同様、913も弾道調整機能が追加されておりヘッドからシャフトを脱着できる。シャフトと一体になっている第1リングと、独立して回せる第2リングの組合わせ方によって、ライ角度とフェースアングルのセッティングを16通りに変えられるようになっているのだ。ヘッド後方に装着される重量調整ウエイトは、「ビス形状」から「くの字形状」にデザインが一新されている。デザイン的には大きな変更点があまり見受けられない913シリーズ。クラブは見た目だけでは分からないものだ。
試打したクラブは9.5度のS。シャフトは純正の「タイトリスト・ランバックス5.5」リアルロフトはノーマルポジション(A-1)で10度。フェースの向きは-3.5度。アスリート向けだけあってオープンフェースの度合いが強い。フェースはやや面長。見た目から重心距離が長く感じる。
シャフトはワッグルすると中間部分がグイッとやや大きめにしなる。振動数は240cpm。アスリート向けのドライバーにしてはやや軟らかめ。前作910の純正シャフトよりもさらに軟らかい。長さはヒールエンド計測で、45インチ(メーカー公称値は45.25インチ)。クラブ重量は308.5グラムでバランスはD3となっている。
シャフトの硬さに合わせて、抑え目に打ってみると、カキーンという金属音とともにボールが力強く飛び出した。913は鍛造フェース。910は球離れが遅い感じだったが、913は球離れがやや早く、音との影響もあるが明らかにフェースの弾き感がアップしている。
球筋は軽いフェード弾道。ノーマルポジションはオープンフェースの度合いが強いことが影響を感じる球筋。910同様、ダウンからインパクトにかけては、ヘッドがゆったり返る。捕まりよりも、捕まり過ぎを抑えたい設定だろう。フックフェース側に調整して打つと捕まりがアップ、それでも「スライサーがドローを打てる」ほどのお助け要素はない。ノーマルポジションよりは捕まりが良くなる感じである。
フェースのやや上側で捕えるとスピン量は2100~2500回転。910同様、913も重心は低めで、キャリーとランで飛距離を稼げる。純正シャフトの「タイトリスト・ランバックス5.5」は切り返しでは、シャフトの中間部分がグイッと大きめにしなり、ダウンからインパクトにかけてゆっくりしなり戻る。中間部分がかなり軟らかく、典型的な中調子の粘り系。スイングに中にしなりを感じ取りやすく、タイミングが取りやすいシャフトだ。
910と明らかに異なるのが打感。鍛造フェースに変わったことで弾き感が増し、ヘッドスピードが遅めの人でもボール初速を上げやすくなっている。低スピン弾道で強い球が打てる。弾道調整機能は付いているが、基本的なヘッド挙動、ノーマルポジションでのオープンフェースの度合いが強いことを考えるれば、スライサーよりもフッカーとの相性が良いドライバーだ。
リアルロフトはそれほど多くなくて、低スピン弾道が打ちやすい。ボールが上がりやすいタイプではないので、ロフトは多めを選択して欲しい。ボールが上がりづらい人は9.5度よりも10.5度の方がいいだろう。対して、とにかくボールを低く抑えたい人や、捕まるポジションで使いたい人は9.5度、もしくは8.5度をお勧めする。
タイトリストはアメリカの代表なメーカーだが、シャフトは日本仕様。アスリート向けにしてはソフトな仕上がりだ。Sでも硬さを感じない。Sシャフトのヘッドスピードのストライクゾーンは41~45m/sぐらいか。ちなみに913シリーズはシャフトのラインナップが豊富。USTマミヤのアッタス4U6、4U7、グラファイトデザインのツアーADGT6、GT7、三菱レイヨンのディアマナB60、B70もチョイスできる。