ドライバーがモデルチェンジするたびに、メーカーも「飛び」と「やさしさ」を強くアピールしていますが、クラブを計測&試打して強く感じることがあります。それは、シャフトのフレックス表記が有名無実化していること。特にアベレージ向けと呼ばれるメーカー主力ドライバーは、モデルチェンジごとにシャフトが軟らかくなっています。そして、モデルによっては、RよりもSの方が軟らかいモデルがあったり、Sよりも硬いRがあったりします。ざっくばらんに言ってしまえば、メーカーが表記するRとかSとかの表記を見ても、シャフトの本当の硬さを知ることが非常に難しくなっています。
例えば、2,011年9月に発売されたブリヂストンのXドライブGR。
純正シャフト「ツアーAD B10-33w」の場合、
Sの振動数が240cpm。
これは10年前のRシャフトよりも軟らかいです。
かつては250cpm±5cpmぐらいが「R」シャフトの基準だったことを
考えると、今どきのSは昔のRと同じ硬さ、もしくは少し軟らかいです。
また、同じメーカーであっても対象ユーザーが異なると、
シャフトの硬さを大きく変えるモデルも増えてきました。
例えば、少し古いモデルになりますが、マックテック2010年モデルは、マックテックという同じブランドに、3つのターゲット層に合わせて3つのモデルを出しました。
アスリート向きに黒(DP101)、セミアスリート向きに赤(DH101)そしてアベレージ向きに青(DS101)がラインアップ。それぞれ純正シャフトとしてフジクラのモトーレ(マックテックオリジナル)が装着されていますが、それぞれのSシャフトの振動数は以下のように異なっています。
黒(DP101) 262cpm(従来のS相当)
赤(DH101) 245cpm(従来のR相当)
青(DS101) 236cpm(従来のA相当)
振動数が10~15cpm異なると、ワンフレックス硬さが異なってきます。それを考えると、この3モデルのSシャフトは見事なぐらい硬さがワンフレックスづつフローしているわけです。メーカー側はそれぞれのヘッドは対象ユーザーが異なる。対象ユーザーに合わせて硬さの設定を変えているのでしょう。これはマグレガーだけに限りません。多くのメーカーは統一基準でシャフトの硬さを決めることを止め、そのモデルを使おうと思われる対象にユーザーに合わせてシャフトの硬度(硬さ)を決めているわけです。
もう、ボクの言いたいことはお分かりでしょう。そうです、シャフトを硬さを決める時、「自分はSがちょうどいい」などと頭ごなしに決めつけてしまうと、必要以上に軟らかいシャフトを手にしたり、逆に、必要以上に硬いシャフトを手にする可能性が非常に高くなります。それを避けるためには、シャフトに貼ってあるRとかSとかというラベルではなく、実際に振ってみて硬さをチェックすること、そして自分のフィーリングだけでは不安ならば、客観的に計測したデータを元に硬さを決めること。誤解を恐れずに言うと、ラベルに頼らない方が「自分に合った硬さ」を見つけやすくなるのです。
ちなみに、振動数は主にシャフトの手元側の硬さを測っているので、同じ振動数であっても、振った時に感じる硬さが異なる場合があります。例えば、260cpmのシャフトの場合、‥‥
先調子の260cpmと元調子の260cpm
を比較すると、大抵の人は元調子の260cpmの方が硬く感じます。理由を簡単に説明すると、元調子の260cpmの方がシャフトの中間、先端側が硬くなっていることが多いです。